35 / 41
世間話
しおりを挟む
「それでね、今日は恵さんと徹君とお茶会をしたんですよ!」
「お茶会ですか! いいですね」
「今日は徹君がいたからいつもと違った楽しみがあったわ!」
「全く恵さんったら~! と言いつつ私も楽しんじゃったんですけどね」
フフフと笑っていますがママさん、これをお茶会だと知らない人が聞いたらどんな意味に捉えられることでしょうか。
「あの、お茶会の話ですよね?」
「え? そうよ? ……え⁈ 先生嫌ね~」
「人妻の身で徹君に何かするわけないでしょ~」
「「ねぇ~」」
二人は私をからかうようにクスクスと笑った。ママさん達からすればただの軽い冗談かもしれないが、21歳の私には少し刺激が強いのです。それに私の先輩である隣のリス組の先生がついこの間二つの不倫の報告をママさんから受け、その後とんでもない揉め事になったのを聞きました。
なので冗談だと分かっていてもこういうことには敏感に反応してしまうのです。
「絶対だめですからね? 特に徹君に手を出すようなことは——」
「「しませんよ!!!」」
口を揃えて否定されたことにびっくりしつつも少し慌てた二人がおかしくて笑ってしまった。二人も私につられるように笑った。
「最近リス組さんは大変だったみたいだから、高山先生が気にするのも分かるわ」
「やっぱり知ってますよね。広まらないように努めたんですが」
「あら! ママさんを舐めたらだめよ~。こういった話なんて特に好きなんだから! ものすごく話題になってたわよ」
「そうですよね。先輩には悪いですが、パンダ組で起こらなくてよかったと思ってしまいましたよ」
「高山先生って確かまだ21歳よね? なら思って当然よー。私達だって嫌なんだから」
「本当よ。不倫なんて当人たちの問題なのに関係ない先生が巻き込まれるなんて可哀想よね」
こうして保育園の話題について話した後、私はかねてから気になっていたことを聞いた。
「そういえば文香さんに聞きたいことがあったんです!」
「何でも聞いてちょうだい!」
「にんじんのやつとは何でしょうか?」
「……え?」
「あー、言葉足らずでした。あかりちゃんに好きな食べ物を聞いたらですね、にんじんのやつと答えたんですがそれが一体何なのか分からなくて気になっていたんです」
「にんじんのやつねー……」
文香さんはうーんと考えるが思いつくものがなかったのかさっぱりといった表情をした。
「確かキラキラしていて、ほそくて美味しいやつだとも言っていたんですが」
あかりちゃんが教えてくれたわずかな情報を伝えるとどうやら分かったらしく、あっと声を出した。
「多分きんぴらね」
文香さんは小さく笑って答えた。
「あーきんぴらですか!」
「雄二さんもあかりもゴボウが苦手でね。だからうちではきんぴらを作るときはにんじんのみなの。おそらくみりんで出した照りのことをキラキラって言ってるのかも」
「なるほど! これでやっとすっきりしましたよ」
満足そうに頷く私に文香さんは笑って言う。
「そんなに気になることですか?」
「毎日のようにあかりちゃんは咲ちゃんとそれぞれの好きなものについてお話をしてるんです! なのでずっとモヤモヤしてたんですよ」
「そ、そうだったのね」
私の勢いに少し圧倒されてしまったようで文香さんは苦笑いだった。するとここで恵さんがにっこり微笑んである方向を指差して言った。
「ねぇ文香さんも先生も見て」
言われるがまま恵さんの指差す方を見てみると——
「本当にいい子よね。大ちゃんもあんな風に優しい子に育ってほしいわ」
そこにはもう一人の先生がいたのだった。
「お茶会ですか! いいですね」
「今日は徹君がいたからいつもと違った楽しみがあったわ!」
「全く恵さんったら~! と言いつつ私も楽しんじゃったんですけどね」
フフフと笑っていますがママさん、これをお茶会だと知らない人が聞いたらどんな意味に捉えられることでしょうか。
「あの、お茶会の話ですよね?」
「え? そうよ? ……え⁈ 先生嫌ね~」
「人妻の身で徹君に何かするわけないでしょ~」
「「ねぇ~」」
二人は私をからかうようにクスクスと笑った。ママさん達からすればただの軽い冗談かもしれないが、21歳の私には少し刺激が強いのです。それに私の先輩である隣のリス組の先生がついこの間二つの不倫の報告をママさんから受け、その後とんでもない揉め事になったのを聞きました。
なので冗談だと分かっていてもこういうことには敏感に反応してしまうのです。
「絶対だめですからね? 特に徹君に手を出すようなことは——」
「「しませんよ!!!」」
口を揃えて否定されたことにびっくりしつつも少し慌てた二人がおかしくて笑ってしまった。二人も私につられるように笑った。
「最近リス組さんは大変だったみたいだから、高山先生が気にするのも分かるわ」
「やっぱり知ってますよね。広まらないように努めたんですが」
「あら! ママさんを舐めたらだめよ~。こういった話なんて特に好きなんだから! ものすごく話題になってたわよ」
「そうですよね。先輩には悪いですが、パンダ組で起こらなくてよかったと思ってしまいましたよ」
「高山先生って確かまだ21歳よね? なら思って当然よー。私達だって嫌なんだから」
「本当よ。不倫なんて当人たちの問題なのに関係ない先生が巻き込まれるなんて可哀想よね」
こうして保育園の話題について話した後、私はかねてから気になっていたことを聞いた。
「そういえば文香さんに聞きたいことがあったんです!」
「何でも聞いてちょうだい!」
「にんじんのやつとは何でしょうか?」
「……え?」
「あー、言葉足らずでした。あかりちゃんに好きな食べ物を聞いたらですね、にんじんのやつと答えたんですがそれが一体何なのか分からなくて気になっていたんです」
「にんじんのやつねー……」
文香さんはうーんと考えるが思いつくものがなかったのかさっぱりといった表情をした。
「確かキラキラしていて、ほそくて美味しいやつだとも言っていたんですが」
あかりちゃんが教えてくれたわずかな情報を伝えるとどうやら分かったらしく、あっと声を出した。
「多分きんぴらね」
文香さんは小さく笑って答えた。
「あーきんぴらですか!」
「雄二さんもあかりもゴボウが苦手でね。だからうちではきんぴらを作るときはにんじんのみなの。おそらくみりんで出した照りのことをキラキラって言ってるのかも」
「なるほど! これでやっとすっきりしましたよ」
満足そうに頷く私に文香さんは笑って言う。
「そんなに気になることですか?」
「毎日のようにあかりちゃんは咲ちゃんとそれぞれの好きなものについてお話をしてるんです! なのでずっとモヤモヤしてたんですよ」
「そ、そうだったのね」
私の勢いに少し圧倒されてしまったようで文香さんは苦笑いだった。するとここで恵さんがにっこり微笑んである方向を指差して言った。
「ねぇ文香さんも先生も見て」
言われるがまま恵さんの指差す方を見てみると——
「本当にいい子よね。大ちゃんもあんな風に優しい子に育ってほしいわ」
そこにはもう一人の先生がいたのだった。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
バイト先の先輩ギャルが実はクラスメイトで、しかも推しが一緒だった件
沢田美
恋愛
「きょ、今日からお世話になります。有馬蓮です……!」
高校二年の有馬蓮は、人生初のアルバイトで緊張しっぱなし。
そんな彼の前に現れたのは、銀髪ピアスのギャル系先輩――白瀬紗良だった。
見た目は派手だけど、話してみるとアニメもゲームも好きな“同類”。
意外な共通点から意気投合する二人。
だけどその日の帰り際、店長から知らされたのは――
> 「白瀬さん、今日で最後のシフトなんだよね」
一期一会の出会い。もう会えないと思っていた。
……翌日、学校で再会するまでは。
実は同じクラスの“白瀬さん”だった――!?
オタクな少年とギャルな少女の、距離ゼロから始まる青春ラブコメ。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる