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恋愛経験の乏しい二人
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「ねぇ、今って夏休みだよね?」
「何当たり前のこと言ってるの?」
「高二の夏休みっていえばまさに青春真っ只中だよね?」
「あんたさっきから何言ってるの?」
「なのになんで女二人でファミレスにいるの!」
「誘ってきたのあんたでしょ……」
言葉の通り、高二の夏といえばまさに青春真っ只中であり、海や花火大会、キャンプにバーベキューといったイベントが盛りだくさんで、そしてなにより甘酸っぱい恋、これが夏の醍醐味じゃない?
なのに特に予定も無いまま、一ヶ月半ある夏休みのうち半月が過ぎてしまった。このままではいけない、つまらない、楽しくないと思い寂しくなった私はお昼頃から乃々花をいつもの駅前のファミレスに呼び出した。
「だって寂しいんだもん!」
「そんなのいつものことじゃない」
「ぐっ…… いつもより冷たい……」
まぁ乃々花の機嫌が少し悪い理由は大体分かっている。これは毎年のことだから。
「毎年言ってるけど家族で旅行できるっていいことだと思うよ」
「今年はね、うちだけじゃなくて他の家族も一緒に出かけるらしいのよ。だから余計に嫌なの」
「それはそれで楽しくなるって!」
「それが知らない家族でも?」
今年はいつもより嫌がってるね。毎年とは言っても中学三年の時から。その時から乃々花の反抗期が来たらしく、それが今も続いているというながいながーい反抗期である。
「家族と一緒にいられるのは当たり前のことじゃないってよく言うでしょ! やっぱり一緒にいられる時に家族と楽しいことしないと!」
「そうだね」
うん。この話題を変えよう! 私もただ寂しくて呼んだわけじゃなくて、相談事があったから!
「あのね、話変わるんだけどさー、クラスの女子から海に行かないかって誘われてるんだけど乃々花は誘い来てる?」
「ううん、来てないけど」
「そっか~。ねぇ、これってやっぱり——」
「断った方がいいわね」
行ったほうがいいよねと私が聞くよりも先に乃々花は答えた。
「それ金沢とかじゃないの?」
「そうだけどなんで知ってるの!」
「大体分かるわよ。クラスで愛華のこと誘うとしたら金沢かその取り巻きでしょ」
「なんで?」
「……なんとなくよ。で、私は断った方がいいと思うけど愛華は行きたいのね?」
すごい、また当たってる。乃々花は私のこと何でも分かってるみたい。
「うん! だってクラスの子と仲良くなりたいし!」
すると乃々花は少し溜息をついた。
「じゃあ私も行くわ。あんた一人じゃ色々と心配だから」
「うん、お願い!」
これで夏のイベントが一つできた! まぁ徹君がいないのはしょうがないけど。遊ぶなんて贅沢言わないからせめて夏休み中に一度くらいは会えるといいなぁ。
そんなことを思っていると今度は乃々花から質問された。
「そういえば徹君とLINKしてるの?」
「もちろんしてるよ!」
私は夏休みに入ってから毎日のように徹君とLINKで連絡を取り合っている。迷惑かなとも思ったが、聞いてみたらそんなことないと返事が来たのでお言葉に甘えて毎日している。どうやら徹君は忙しいようで、ある程度決まった時間に返信が来るので一日のやり取り自体はそんなに多い訳じゃないけど毎日やり取りできているだけで幸せなんだよね!
「遊ぶ約束はしたの?」
「……ん?」
「……ん? じゃないでしょ。一体徹君とはどんなやり取りしてるの?」
「それは好きな食べ物とか趣味とか?」
「小学生なの……? あんたから誘わないと徹君とは遊べないわよ?」
「分かってるけど、こういうの初めてだからどう誘ったらいいかとか分かんないの! それに恥ずかしいし……」
「突然連絡先聞こうとする方が恥ずかしいことだと思うけど。まぁ誘い方が分からないっていうのは分かるわ」
「ねぇ乃々花ならどう誘う?」
「遊びに行こう」
「え? 何それそのまんまじゃん!」
「私だって恋なんてしたこと無いから分からないのよ! だからさっき言ったでしょ? 誘い方が分からないっていうのは分かるって」
「じゃあこれ私たちには無理難題なんじゃ……」
「まぁそうかもね」
「そこは否定してよ!」
「まだ夏休みは一ヶ月くらいあるんだしそのうち考えましょ」
「あ、さっきまで早く遊ぶ約束しなさいよ的なスタンスだったのに急に消極的になった! ってかそのうちなんて言ってたらいつの間にか夏休み終わってたパターンになっちゃうよ」
「あ、あんたにしては珍しく察しがいいわね。冗談よ、一緒に考えてあげるから」
そう言いながらも乃々花は明らかにバレたって表情をしていた。
「絶対冗談じゃなかったでしょ……? まぁいいや! あ、言うの忘れてたけど海に行くのは来週の土曜日ね。家族で出かける日と被ってない?」
「大丈夫よ、明日から一泊二日だから」
「え⁈ 今日遊んでていいの? 準備とかは」
「もうしてあるから大丈夫。それに私が準備するものはほとんどないから」
「そっか! じゃあ今日はこのままどうやって徹君と遊ぶ約束をするか考えよう!」
「……帰っていい?」
そう言いながらも乃々花は結局夕方の18時まで徹君をどう遊びに誘うかを考えてくれたのだった。
「何当たり前のこと言ってるの?」
「高二の夏休みっていえばまさに青春真っ只中だよね?」
「あんたさっきから何言ってるの?」
「なのになんで女二人でファミレスにいるの!」
「誘ってきたのあんたでしょ……」
言葉の通り、高二の夏といえばまさに青春真っ只中であり、海や花火大会、キャンプにバーベキューといったイベントが盛りだくさんで、そしてなにより甘酸っぱい恋、これが夏の醍醐味じゃない?
なのに特に予定も無いまま、一ヶ月半ある夏休みのうち半月が過ぎてしまった。このままではいけない、つまらない、楽しくないと思い寂しくなった私はお昼頃から乃々花をいつもの駅前のファミレスに呼び出した。
「だって寂しいんだもん!」
「そんなのいつものことじゃない」
「ぐっ…… いつもより冷たい……」
まぁ乃々花の機嫌が少し悪い理由は大体分かっている。これは毎年のことだから。
「毎年言ってるけど家族で旅行できるっていいことだと思うよ」
「今年はね、うちだけじゃなくて他の家族も一緒に出かけるらしいのよ。だから余計に嫌なの」
「それはそれで楽しくなるって!」
「それが知らない家族でも?」
今年はいつもより嫌がってるね。毎年とは言っても中学三年の時から。その時から乃々花の反抗期が来たらしく、それが今も続いているというながいながーい反抗期である。
「家族と一緒にいられるのは当たり前のことじゃないってよく言うでしょ! やっぱり一緒にいられる時に家族と楽しいことしないと!」
「そうだね」
うん。この話題を変えよう! 私もただ寂しくて呼んだわけじゃなくて、相談事があったから!
「あのね、話変わるんだけどさー、クラスの女子から海に行かないかって誘われてるんだけど乃々花は誘い来てる?」
「ううん、来てないけど」
「そっか~。ねぇ、これってやっぱり——」
「断った方がいいわね」
行ったほうがいいよねと私が聞くよりも先に乃々花は答えた。
「それ金沢とかじゃないの?」
「そうだけどなんで知ってるの!」
「大体分かるわよ。クラスで愛華のこと誘うとしたら金沢かその取り巻きでしょ」
「なんで?」
「……なんとなくよ。で、私は断った方がいいと思うけど愛華は行きたいのね?」
すごい、また当たってる。乃々花は私のこと何でも分かってるみたい。
「うん! だってクラスの子と仲良くなりたいし!」
すると乃々花は少し溜息をついた。
「じゃあ私も行くわ。あんた一人じゃ色々と心配だから」
「うん、お願い!」
これで夏のイベントが一つできた! まぁ徹君がいないのはしょうがないけど。遊ぶなんて贅沢言わないからせめて夏休み中に一度くらいは会えるといいなぁ。
そんなことを思っていると今度は乃々花から質問された。
「そういえば徹君とLINKしてるの?」
「もちろんしてるよ!」
私は夏休みに入ってから毎日のように徹君とLINKで連絡を取り合っている。迷惑かなとも思ったが、聞いてみたらそんなことないと返事が来たのでお言葉に甘えて毎日している。どうやら徹君は忙しいようで、ある程度決まった時間に返信が来るので一日のやり取り自体はそんなに多い訳じゃないけど毎日やり取りできているだけで幸せなんだよね!
「遊ぶ約束はしたの?」
「……ん?」
「……ん? じゃないでしょ。一体徹君とはどんなやり取りしてるの?」
「それは好きな食べ物とか趣味とか?」
「小学生なの……? あんたから誘わないと徹君とは遊べないわよ?」
「分かってるけど、こういうの初めてだからどう誘ったらいいかとか分かんないの! それに恥ずかしいし……」
「突然連絡先聞こうとする方が恥ずかしいことだと思うけど。まぁ誘い方が分からないっていうのは分かるわ」
「ねぇ乃々花ならどう誘う?」
「遊びに行こう」
「え? 何それそのまんまじゃん!」
「私だって恋なんてしたこと無いから分からないのよ! だからさっき言ったでしょ? 誘い方が分からないっていうのは分かるって」
「じゃあこれ私たちには無理難題なんじゃ……」
「まぁそうかもね」
「そこは否定してよ!」
「まだ夏休みは一ヶ月くらいあるんだしそのうち考えましょ」
「あ、さっきまで早く遊ぶ約束しなさいよ的なスタンスだったのに急に消極的になった! ってかそのうちなんて言ってたらいつの間にか夏休み終わってたパターンになっちゃうよ」
「あ、あんたにしては珍しく察しがいいわね。冗談よ、一緒に考えてあげるから」
そう言いながらも乃々花は明らかにバレたって表情をしていた。
「絶対冗談じゃなかったでしょ……? まぁいいや! あ、言うの忘れてたけど海に行くのは来週の土曜日ね。家族で出かける日と被ってない?」
「大丈夫よ、明日から一泊二日だから」
「え⁈ 今日遊んでていいの? 準備とかは」
「もうしてあるから大丈夫。それに私が準備するものはほとんどないから」
「そっか! じゃあ今日はこのままどうやって徹君と遊ぶ約束をするか考えよう!」
「……帰っていい?」
そう言いながらも乃々花は結局夕方の18時まで徹君をどう遊びに誘うかを考えてくれたのだった。
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