聖獣物語~人狼の森のロウとカイナ~

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三章

三章ノ肆『第一王子アシム』1

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 最近、朝は汗ばんで目を覚ます。この季節のロウの体は傍にいると暑くて仕方がない。

 でも、あえてくっついて寝ていると、喉が渇いたのか私の汗をロウが舐めるのがとても心地いいからやめられない。

 首をペロペロ、胸元をペロペロ、特にロウのお気に入りは脇の下を舐めることだ。

 くすぐったさと、よく分からない感覚で私は悶えてしまうけど、ロウは執拗に脇の下を舐めてくる。朝起き上がると体はベトベトになってるけど、なぜか満足感から嫌ではない。

 ベトベトなのは洗えばどうとでもなるし、ただ一つ言うなら、最近はそれだけじゃ物足りなくなってきている自分がいるということが問題と言えば問題かもしれない。

「……もしかして、私、ロウのこと思っている以上に好きなのかも」

 でもロウは人狼の末裔で、ただの狼で、でも頼りになって、世界で一番大切で、これからもずっとそばにいたい、でも人ではない。

「どうして人間じゃないとだめなのかな……」

 私は不意に悲しくなってそう呟く。寝台から降りると、一度背伸びをし膝を曲げてから朝食の準備を始める。

 食事の準備はもう慣れたもので、いつものように米櫃の取り出しの栓を外すと、お米がサラサラと音を立ててザルにお椀一杯分だけ出てくる。

「またやっちゃった――」

 米櫃を切らしてしまうのも昔は何度もあったけど、最近ではかなり久しくしていない失敗だった。いやむしろ、私の唯一の失敗はこの米櫃から始まり米櫃に終わると言っても間違っていない。

「村に買いに行こうかな、ついでに少し早いけど薬も持っていけば喜ぶよね」

 私がそんなことを考えていると、ロウはいつの間にか水浴びをしに祠を出ていて、その後はまた魔の物が現れていないか森の奥へと様子を見るために向かうのだろう。

 ロウは森の奥へと向かう時、いつも私のことを考えているのだろうか、そんな事を私が考えていることをきっとロウは知らないだろうし、私はただただ自分がロウを想いさえすればそれでいいと考えていた。たぶん、その頃からもうロウのことを、ただ好きというものではなくなっていたと自分で思い返しても分かる。

「はぁ~ロウとお話できたらな~」

 そんなことを考えながら、私は漬物と煮物と汁物を作って、ロウがいつも食べる寝台の隣の小さな机の上へ置いておく。

 そうしておくと、森から帰ってきたロウがいつの間にか食べて空になっているのだ。

 私も自身の朝食を食べ終えると、お米を買うためにリユイ村へ向かう。
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