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三章
三章ノ肆『第一王子アシム』4
しおりを挟む立派な建物は王宮であるのは明らかで、神輿を下した男の人たちは、大量の汗を流しながら肩で息をしていた。その横で私は王子に手を引かれながらその建物内へ強引に招かれる。
「お帰りなさいませアシム様」
数十人の女性、メイドと呼ばれる彼女たちが男を誘うような薄着で王子を出迎える。
王子は私の腰に手を回してメイドたちに解散を促す。
「帰ったぞ、皆変わらず働け」
メイドたちがサッといなくなると、私は王子の私室へと連れていかれる。
「湯浴みの準備だ、早くしろ」
一人のメイドが王子の服を脱がし、続いて私の服を脱がし始める。私はただただそれを受け入れるしかなかった。服を全て脱がされた瞬間に、一度だけ力強く右胸の先をギュッと握られた私は、声を上げてメイドの手を叩いた。
「痛い!」
「この売女、王子様にあなたのような森の民は相応しくないわ」
女の嫉妬を直接体験したのはこの時が初めてだった。
そして、王子の私室は隣に湯浴み用の浴場が常設させられるほど広く、小さな池ほどのそこへ大量の湯が湯気を上げていた。
私がボーと立っていると、後ろから王子がお尻に触れて言う。
「体に少し傷があるな、森での生活のせいか」
王子の言う通り、私の体には森での生活で小さな傷が沢山ある。その傷は服を脱がないと見えないため、実質ロウ以外で始めて見せた相手が王子になる。
「そんな傷さえも、お前という女を引き立てる一つになっているな」
普通の女の子なら感激するかもしれないセリフだったのかもしれないけど、私は何を言っているのか分からなくて一言だけ吐いて湯船に浸かった。
「傷はただの傷」
「ふぅ、やれやれ――」
私の態度に王子は少し呆れた溜息を吐くと続いて湯に入る。
湯は白く濁っていて、それが薬湯であると直ぐ気付いたけど、初めて入った薬湯に少し感動していた。自身のそんな部分は図太いと正直関心する。
白い湯で自身の視界では確認できないけど、さっきから右側にいる王子の左手が私の股を弄っていて、最初は――またか、と無視していたけど、次第に妙な感覚に襲われ私はその手を拒絶した。
「もう、いいでしょ?止めて下さい……」
王子は口を私の耳に近づけて笑みを浮かべて言う。
「なんだ、感じてはいるのか」
私が薬湯だと思っていたこの湯が原因なのは明らかだけど、それがどういうものなのかは一切分からないままで、その後も王子に身体を弄ばれ続けた。
『ロウ、助けて……ロウ、ロウ――』
そうロウの名前を呼び続けることしか、その時の私には出来なかった。
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