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三章
三章ノ肆『第一王子アシム』3
しおりを挟む神輿が揺れ始めて数分経ったくらいで、紐を外された私は、ベタベタと体をアシム王子に自分の物のように触れられ耳に息を吹きかけられる。
「止めて下さい」
「俺様に薬を飲ませろ」
そう要求され、私は入れ物を要求する。
「入れ物はどこですか?」
「何を言っている、お前は病人に口移しで薬を与えるのだろう?」
本当に嫌な人だ、そう思いながら薬を口に含んだ私は、彼の頬を押さえ無理やり口を開いて含んだ薬を吹き入れた。
「貴様王子様に何を!」
「構わん、気の強い女は嫌いではない」
だめだ、何をやってもこの人を喜ばせるだけなんだ。私は、ただただ何もしない方が一番彼が嫌がると考え、私の体を好き勝手に触れ撫で舐める王子をその後は話しかけられても無視していた。
「俺は無視されることさえも美人なら許せると考えている、それが何年続くか楽しみだぞ」
私は無視を続けていたけど、それさえも彼は、私の心を汚すために利用しようとしていた。
私は自身の状況に、かつて母も同じ気持ちで王の傍で囚われていたのだろうと考えていた。
「アシム王子様だ!」
「キャァァア!アシム様」
「王子様カッコイイ!」
首都に馬車が入ると、そんな女性の声が聞こえてくる。どうやら、アシム王子は容姿がとても良いらしい、そう分かったのはその出来事が一度や二度ではなかったからだ。
父と母を亡くして以来の首都、嫌な思い出が私の気分を悪くさせた。
「どうした?気分が悪いようだな」
「……おかげさまで」
強がってはみても、今は彼に触れられることより、当時を思い出してしまうことの方が心にくるものがあった。むしろ、人の体温に心が逃げたがっていて、それを私が望んでいることを気が付かれないようにした。でないと、今は誰にでもすがってしまいそうな気分だったから。
「耳の裏が弱いのか?」
「……」
私が反応する弱い部分を探す王子、気持ちいいと感じる場所は脇の下と私だけが知っている。
「私はあなたには感じないから」
私の言葉に眉を顰めた王子は慌てた様子で言う。
「あなたには?お前、誰か恋人でもいるのか?」
私はロウを思い浮かべ笑みを作って言う。
「私にはロウがいるわ」
その時の王子の悔しそうな表情は今でも忘れられない。まるで、子どもが自分の玩具を他人に取られたような反応だった。
「ま、まぁいい、お前が誰かと想い合っていようと、いずれ私のものにしてやる」
そう言って王子は私の鎖骨を舌で舐める。ロウと比べるとただただ擽ったいだけのその行為を、私はジッと無表情で受け続けていた。
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