14 / 44
第13話 プルフンフォレストの魔獣
しおりを挟む
私がこの国に来て、ひと月半ほど経った頃……
今日は朝から、お城が騒がしい。
帝都の近くの森で魔獣が発生したと、走り抜けていく誰かが言ってました。
「魔獣が発生したなら、行かねばなりませんね」
兵士さんが多く出入りしている謁見室へ、私も入っていった。私の登場に、王であるナファール様は顔を顰め、エリス王妃様は悲しげな顔になった。その場にいたゾファロ様達も厳しい顔をしている。
「ずっと、休ませて貰ってましたから。お願いです。私の力を使って下さい」
私がお城でのんびり過ごしていた間も、帝都付近に魔獣は出没してたそうですが、将軍様が兵士さんを率いて討伐をしていたそうです。ですが、今回かなりの大物の魔獣が出たみたいで、将軍様が苦戦していると、救援を求めてると報告に戻ってきたそうです。
一体だけなら、将軍様が苦戦するとは思えません。
だから、もしかしたら複数体いるんじゃないかと私は思っています。もちろん私だけじゃなく、ルジャイ様やナファール様も同じ考えみたいですが……
「上位種魔獣アクィラクルル討伐中に、同じく上位種魔獣ヴォルフファング、フレアシュバインが現れ、ブルースク将軍より救援要請です!」
やはり……ですね。
しかも、鳥型上位種アクィラクルル、狼型上位種ヴォルフファング、猪型上位種フレアシュバイン…
どの魔獣も、状態異常を与える危険な魔獣です。
上位種の魔獣だから、知能は高く一体の魔獣に集中すれば他の魔獣が好機と襲ってくるでしょう。
ルナファルナの兵士さんは屈強な戦士が多いですが、上位種に引き寄せられた下位種の相手もあります。
危険な状態です。
戦いが長引けば、状態異常に侵された者が命を落とす可能性が出てきます。上位種の異常攻撃は、その場で薬を飲むなどして抑えなければ本当に危険なんです。
「今の私ならば、必ず力になれます!役に立ってみせます!だから、お願いです。私の力を使って下さい」
いえ、昔の私でも必ず力になりまたしけど。でも今の私なら……何故か力が漲る今の私ならば!必ず役に立つはず!
「分かった」
「ナファール……」
「ゾファロ、ロク頼むぞ」
「はいッス!」
「この命に変えましても」
ナファール様の許可がおり、エリス様が心配そうな顔で「無茶だけはしないのよ」と仰られた。
急いで支度をして、ゾファロ様の馬に乗せてもらい…近くの森、プルフンフォレストと呼ばれる森に向かった。
街を駆け抜け、門を抜けると扉は直ぐに閉ざされ、その門のそばには、多くの兵士が街の防衛に回っていた。万が一、魔獣が森を抜け街に入らないようにする為です。
森に行く道の各所にも兵士さんは多く居ました。
やがて、武器のぶつかる音や魔法の音が聞こえ始めてきました。誰かが指示する声や、「救援はまだか!」「救護兵!」と言う声も聞こえて来ました。
もうすぐ到着するでしょう。
だから私は、聖気を集中させました。私達聖女が使う、魔獣討伐における攻撃魔法は2つしか使えません。それは、聖なる槍か聖なる矢です。
聖気に形を与え、魔獣に直接ぶち込むんです。
「メシア様は、魔獣に集中してくれッス!メシア様に近付く魔獣は、俺が叩き潰すッスから」
「ありがとうございます!!」
ロクさんとゾファロ様は、私のそばを離れないと言いました。ロクさんは分かりますが、ゾファロ様はブルースク様の援護に回った方が効率的だと思うのですが……?
そうは思うものの、2人がそばに居て下さるのはとても心強いです。この後には、ナファール様が派遣する兵士さん達も到着するでしょう。
ブルースク様が戦う場所に到着すると、思った通り苦戦を強いられていました。私は先ず、早急に回復が必要な方を癒して回りました。
治癒と治療が得意で良かったと、こういう時は本当に思います。状態異常も、まだ初期段階に近い状態なので治療も早く終わりました。
「メシア様の手を煩わせてしまい、申し訳ない!」
「謝らないで下さい!」
最前線に向かえば、ブルースク様が横目で私を見て驚いた顔をしたかと思うと謝ってきました。手元では魔法を構築し放ちつつ、他の者に指示や私への謝罪、他の魔獣の動向を確認したりと、同時に色々とこなしている。
流石、ルナファルナで将軍の地位にいる方です。
私も、ここに来た目的を果たします!
「聖なる槍!」
先程まで練っていた聖気を、複数の聖なる槍に変えて魔獣に放ちます。ですが、ただ放つだけだと知能のある上位種魔獣には避けられてしまうでしょう。
私が聖なる槍を放つと同時に、ブルースク様が魔獣の動きを封じて下さいました。ロクさんは、私のそばで暗器を使って魔獣を近寄らせないように戦い、ゾファロ様は上位種魔獣が私の方に来ないように一撃入れては離れを繰り返していました。
2人とも魔獣と相対しますが、絶対に深追いはせず一定の距離を保ち私のそばにいて下さっています。
聖なる槍が当たった、フレアシュバインが黒い血を流し後ずさると、アクィラクルルが旋回し急降下してきました。
「グギャオオォ!」
「っ、聖域結界!」
「ギャウウッ」
私は瞬時に結界を張り、結界に触れたアクィラクルルは、攻撃が失敗に終わり怒ってるようだった。
今日は朝から、お城が騒がしい。
帝都の近くの森で魔獣が発生したと、走り抜けていく誰かが言ってました。
「魔獣が発生したなら、行かねばなりませんね」
兵士さんが多く出入りしている謁見室へ、私も入っていった。私の登場に、王であるナファール様は顔を顰め、エリス王妃様は悲しげな顔になった。その場にいたゾファロ様達も厳しい顔をしている。
「ずっと、休ませて貰ってましたから。お願いです。私の力を使って下さい」
私がお城でのんびり過ごしていた間も、帝都付近に魔獣は出没してたそうですが、将軍様が兵士さんを率いて討伐をしていたそうです。ですが、今回かなりの大物の魔獣が出たみたいで、将軍様が苦戦していると、救援を求めてると報告に戻ってきたそうです。
一体だけなら、将軍様が苦戦するとは思えません。
だから、もしかしたら複数体いるんじゃないかと私は思っています。もちろん私だけじゃなく、ルジャイ様やナファール様も同じ考えみたいですが……
「上位種魔獣アクィラクルル討伐中に、同じく上位種魔獣ヴォルフファング、フレアシュバインが現れ、ブルースク将軍より救援要請です!」
やはり……ですね。
しかも、鳥型上位種アクィラクルル、狼型上位種ヴォルフファング、猪型上位種フレアシュバイン…
どの魔獣も、状態異常を与える危険な魔獣です。
上位種の魔獣だから、知能は高く一体の魔獣に集中すれば他の魔獣が好機と襲ってくるでしょう。
ルナファルナの兵士さんは屈強な戦士が多いですが、上位種に引き寄せられた下位種の相手もあります。
危険な状態です。
戦いが長引けば、状態異常に侵された者が命を落とす可能性が出てきます。上位種の異常攻撃は、その場で薬を飲むなどして抑えなければ本当に危険なんです。
「今の私ならば、必ず力になれます!役に立ってみせます!だから、お願いです。私の力を使って下さい」
いえ、昔の私でも必ず力になりまたしけど。でも今の私なら……何故か力が漲る今の私ならば!必ず役に立つはず!
「分かった」
「ナファール……」
「ゾファロ、ロク頼むぞ」
「はいッス!」
「この命に変えましても」
ナファール様の許可がおり、エリス様が心配そうな顔で「無茶だけはしないのよ」と仰られた。
急いで支度をして、ゾファロ様の馬に乗せてもらい…近くの森、プルフンフォレストと呼ばれる森に向かった。
街を駆け抜け、門を抜けると扉は直ぐに閉ざされ、その門のそばには、多くの兵士が街の防衛に回っていた。万が一、魔獣が森を抜け街に入らないようにする為です。
森に行く道の各所にも兵士さんは多く居ました。
やがて、武器のぶつかる音や魔法の音が聞こえ始めてきました。誰かが指示する声や、「救援はまだか!」「救護兵!」と言う声も聞こえて来ました。
もうすぐ到着するでしょう。
だから私は、聖気を集中させました。私達聖女が使う、魔獣討伐における攻撃魔法は2つしか使えません。それは、聖なる槍か聖なる矢です。
聖気に形を与え、魔獣に直接ぶち込むんです。
「メシア様は、魔獣に集中してくれッス!メシア様に近付く魔獣は、俺が叩き潰すッスから」
「ありがとうございます!!」
ロクさんとゾファロ様は、私のそばを離れないと言いました。ロクさんは分かりますが、ゾファロ様はブルースク様の援護に回った方が効率的だと思うのですが……?
そうは思うものの、2人がそばに居て下さるのはとても心強いです。この後には、ナファール様が派遣する兵士さん達も到着するでしょう。
ブルースク様が戦う場所に到着すると、思った通り苦戦を強いられていました。私は先ず、早急に回復が必要な方を癒して回りました。
治癒と治療が得意で良かったと、こういう時は本当に思います。状態異常も、まだ初期段階に近い状態なので治療も早く終わりました。
「メシア様の手を煩わせてしまい、申し訳ない!」
「謝らないで下さい!」
最前線に向かえば、ブルースク様が横目で私を見て驚いた顔をしたかと思うと謝ってきました。手元では魔法を構築し放ちつつ、他の者に指示や私への謝罪、他の魔獣の動向を確認したりと、同時に色々とこなしている。
流石、ルナファルナで将軍の地位にいる方です。
私も、ここに来た目的を果たします!
「聖なる槍!」
先程まで練っていた聖気を、複数の聖なる槍に変えて魔獣に放ちます。ですが、ただ放つだけだと知能のある上位種魔獣には避けられてしまうでしょう。
私が聖なる槍を放つと同時に、ブルースク様が魔獣の動きを封じて下さいました。ロクさんは、私のそばで暗器を使って魔獣を近寄らせないように戦い、ゾファロ様は上位種魔獣が私の方に来ないように一撃入れては離れを繰り返していました。
2人とも魔獣と相対しますが、絶対に深追いはせず一定の距離を保ち私のそばにいて下さっています。
聖なる槍が当たった、フレアシュバインが黒い血を流し後ずさると、アクィラクルルが旋回し急降下してきました。
「グギャオオォ!」
「っ、聖域結界!」
「ギャウウッ」
私は瞬時に結界を張り、結界に触れたアクィラクルルは、攻撃が失敗に終わり怒ってるようだった。
17
あなたにおすすめの小説
「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます
七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。
「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」
そう言われて、ミュゼは城を追い出された。
しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。
そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
聖女らしくないと言われ続けたので、国を出ようと思います
菜花
ファンタジー
ある日、スラムに近い孤児院で育ったメリッサは自分が聖女だと知らされる。喜んで王宮に行ったものの、平民出身の聖女は珍しく、また聖女の力が顕現するのも異常に遅れ、メリッサは偽者だという疑惑が蔓延する。しばらくして聖女の力が顕現して周囲も認めてくれたが……。メリッサの心にはわだかまりが残ることになった。カクヨムにも投稿中。
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて
奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】
※ヒロインがアンハッピーエンドです。
痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。
爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。
執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。
だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。
ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。
広場を埋め尽くす、人。
ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。
この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。
そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。
わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。
国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。
今日は、二人の婚姻の日だったはず。
婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。
王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。
『ごめんなさい』
歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。
無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる