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改編前作品
永遠に君と
しおりを挟む「終わったな……アルト」
「ああ、だが、まだだ」
「最後の仕上げか?」
「ああ」
丘の上に広がる、花畑を男3人で歩く。
「アルト…花が似合わんな」
「お前には言われたくない」
『ぉーい!アルト様!隊長~!ラティル!!』
丘の上の木の根元付近にグレンが立っていた。隣には、レティ様が木に寄りかかっていた。
「アルト様、レティ様の傷は、治してあります」
「ああ、ありがとな」
レティの顔に触れる、腹部にあった空洞は、治っていた。顔も腕も、足も綺麗に拭かれていた。レティの体を抱き締めて、最後の仕上げにかかる。
立ち上がって、振り返らず問いかける。
「覚悟は良いか?」
「覚悟なら、とっくに出来てるさ」
「待つッスよ!レティ様をもう一度見たいっス!」
「俺も」
3人が、レティ様に近づき手を取り、手の甲に口付けを落とす。
『護れなくて、すみません』『ずっと慕ってました』『今世は護れなかったっスけど、来世は護るっスよ』
「よし!頼んだ!アルト」
「ああ」
彼らは、レティの前に跪き目を瞑った。
俺は、腰に提げていた剣を抜き取る。
刀身が、綺麗に光り輝く。
この剣は、レティ様の身体から作られた特別な剣、レティ様の一部。
『アルト…全てが済んだら、私も壊しておくれ。私も、レティ様の元に連れて行っておくれ』
「ああ」
剣を高く掲げ、光を集めラティルに突刺す。
グレン、ラルフと続いて突き刺していく。
「覚悟しろと言うから、めっちゃ覚悟してたのに、全然痛くねえじゃねぇか」
「レティの思いが詰まった、特別な剣だからな」
最後に、レティを抱き締めて、額に唇を落とし、剣を我が身に向ける。
自身の心臓を貫き、剣を破壊する。
「ラルフ、ありがとな。狂気に蝕まれた俺に付き合ってくれて……」
「腐れ縁だ、気にすんな」
「ありがとな」
「ああ」
「レティ……ずっと、一緒だよ
俺の愛しい、最愛の聖女レティレリア」
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