竜帝は番を見つける

紫宛

文字の大きさ
5 / 13
本編

壊れた少女

しおりを挟む
「全く!ボーッとしてんじゃないよっ!今日から、忙しくなるって言っただろ?!早く戻るよ!」

コク

少女は、無表情で頷く。
その顔には、鞭で打たれた真新しい傷跡があった。


少女の名前は、名無しナナシ
セスティア王国のとある貴族と使用人の間に生まれた不義の子である。
認知はされず、王城の奴隷として売られた。

幼い頃から奴隷として扱われ、自分は人ではなく物だと認識している。

物は、自分で考えない。
物は、命令によって動く。

物は、感情を持たない。
物は、話さない。

物は...、

私は物、王様の所有物。




セスティア王国、王城

謁見室に、黒髪赤目の偉丈夫ライオネルと赤髪緑目のガタイの良いフェリドが、セスティア王の前に立っていた。

セスティア王国国王グラートは、玉座にて来訪の挨拶を聞いていた。

…チッ

直接手を出せば、確実に殺される。

だが、っとグラートは、彼らのそばを浮遊する黒く丸い浮遊物に目を向けた。

それは、監視球と言われるもので、竜帝国の者が外(外国)に出る時に付けられるそうだ。
世界警察によって、義務付けられていると。

世界警察とは、どの国にも属さない中立の裁判人。国同士の揉め事に介入し、公正な判断で裁きを下すと聞く。

監視球は、食事時も風呂時も寝てる時も24時間休まず監視すると。

あれがある限り、無闇に手は出してこないだろうと、王は考えていた。

だが、王は気付いていない。
明確な理由があれば、手を出しても許される理由があれば、問題が無いことを...

王は気付いていない...
奴隷の少女が、名も無き少女が...竜帝の唯一無二の番だと言うことに




「我が城でごゆるりとお過ごし下さい、竜帝陛下(化け物め)」

頭を下げた時、声には出さず罵倒する。

「うむ、視察中の間、よろしく頼む」

執事長とメイド長を呼び、竜帝国の人間達を案内するよう命じた。

「本日の夜は宴を催しますので、是非ともご参加下さいませ」
「ああ、ありがとう」

そして、謁見室を出て行った。

「フェリド」
「何ですか?」
「反応が強くなっている」

城に入って数時間経った時、自分の中の感覚?が強くなった。

番が近くにいる...

「調べるか?」
「ああ、頼む」
「了解」

太陽の様な笑顔で笑うと、俺から何となくの特徴を聞き、離れて行った。

亜人と竜人で、番に関する事柄には多少差異があるが...

竜人は、番を魂のより深い所で認識しているため、感覚と匂いの両方で判断する事が多い。

匂いは、相手から発せられるそうだ。血液や体液は、蕩けるほどに甘く感じると聞く。
感覚は、相手の状態を軽く知れるそうだ。何となく身体的特徴や、何となく痛みや感情を知れると聞く。

曖昧なのは、両親から聞かされただけで、実際はよく分からないからだ。

ただ、俺は空から、番と繋がった感覚がした。今も...繋がっている気がする。

何の感情も伝わってこないが……こういうものなのか?フェリドに聞いたら、違うと言っていた。もっと、分かるそうだが...

あぁ、フェリドには番がいる。そりゃもう、惚気を毎日聞かされる程に愛した人が。相手は男性だがな。フェリドの番は、男だった。

まぁ、そういう場合もある...感覚的に俺の番は、女だ。

とにかく、フェリドには身体的特徴を伝え、探しに行ってもらう事にした。



その日の夜、歓迎の宴が開かれた時に偶然出会う事になるが……

ライオネルは、まだ気付かない。
唯一無二の少女が、王の奴隷で物の様な扱いを受けている事に...

ライオネルは、まだ気付かない。
小国セスティアの繁栄が、少女によるものだと(少女も王も知らない)

ライオネルは、まだ気付かない。
久方振りに大激怒し、セスティアを滅ぼす事を...
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!

山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」 夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。

五月ふう
恋愛
 リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。 「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」  今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。 「そう……。」  マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。    明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。  リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。 「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」  ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。 「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」 「ちっ……」  ポールは顔をしかめて舌打ちをした。   「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」  ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。 だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。 二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。 「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」

完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。

音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。 だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。 そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。 そこには匿われていた美少年が棲んでいて……

王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る

家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。 しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。 仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。 そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

処理中です...