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本編
壊れた少女
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「全く!ボーッとしてんじゃないよっ!今日から、忙しくなるって言っただろ?!早く戻るよ!」
コク
少女は、無表情で頷く。
その顔には、鞭で打たれた真新しい傷跡があった。
少女の名前は、名無し。
セスティア王国のとある貴族と使用人の間に生まれた不義の子である。
認知はされず、王城の奴隷として売られた。
幼い頃から奴隷として扱われ、自分は人ではなく物だと認識している。
物は、自分で考えない。
物は、命令によって動く。
物は、感情を持たない。
物は、話さない。
物は...、傷つかない。
私は物、王様の所有物。
セスティア王国、王城
謁見室に、黒髪赤目の偉丈夫ライオネルと赤髪緑目のガタイの良いフェリドが、セスティア王の前に立っていた。
セスティア王国国王グラートは、玉座にて来訪の挨拶を聞いていた。
…チッ
直接手を出せば、確実に殺される。
だが、っとグラートは、彼らのそばを浮遊する黒く丸い浮遊物に目を向けた。
それは、監視球と言われるもので、竜帝国の者が外(外国)に出る時に付けられるそうだ。
世界警察によって、義務付けられていると。
世界警察とは、どの国にも属さない中立の裁判人。国同士の揉め事に介入し、公正な判断で裁きを下すと聞く。
監視球は、食事時も風呂時も寝てる時も24時間休まず監視すると。
あれがある限り、無闇に手は出してこないだろうと、王は考えていた。
だが、王は気付いていない。
明確な理由があれば、手を出しても許される理由があれば、問題が無いことを...
王は気付いていない...
奴隷の少女が、名も無き少女が...竜帝の唯一無二の番だと言うことに
「我が城でごゆるりとお過ごし下さい、竜帝陛下(化け物め)」
頭を下げた時、声には出さず罵倒する。
「うむ、視察中の間、よろしく頼む」
執事長とメイド長を呼び、竜帝国の人間達を案内するよう命じた。
「本日の夜は宴を催しますので、是非ともご参加下さいませ」
「ああ、ありがとう」
そして、謁見室を出て行った。
「フェリド」
「何ですか?」
「反応が強くなっている」
城に入って数時間経った時、自分の中の感覚?が強くなった。
番が近くにいる...
「調べるか?」
「ああ、頼む」
「了解」
太陽の様な笑顔で笑うと、俺から何となくの特徴を聞き、離れて行った。
亜人と竜人で、番に関する事柄には多少差異があるが...
竜人は、番を魂のより深い所で認識しているため、感覚と匂いの両方で判断する事が多い。
匂いは、相手から発せられるそうだ。血液や体液は、蕩けるほどに甘く感じると聞く。
感覚は、相手の状態を軽く知れるそうだ。何となく身体的特徴や、何となく痛みや感情を知れると聞く。
曖昧なのは、両親から聞かされただけで、実際はよく分からないからだ。
ただ、俺は空から、番と繋がった感覚がした。今も...繋がっている気がする。
何の感情も伝わってこないが……こういうものなのか?フェリドに聞いたら、違うと言っていた。もっと、分かるそうだが...
あぁ、フェリドには番がいる。そりゃもう、惚気を毎日聞かされる程に愛した人が。相手は男性だがな。フェリドの番は、男だった。
まぁ、そういう場合もある...感覚的に俺の番は、女だ。
とにかく、フェリドには身体的特徴を伝え、探しに行ってもらう事にした。
その日の夜、歓迎の宴が開かれた時に偶然出会う事になるが……
ライオネルは、まだ気付かない。
唯一無二の少女が、王の奴隷で物の様な扱いを受けている事に...
ライオネルは、まだ気付かない。
小国セスティアの繁栄が、少女によるものだと(少女も王も知らない)
ライオネルは、まだ気付かない。
久方振りに大激怒し、セスティアを滅ぼす事を...
コク
少女は、無表情で頷く。
その顔には、鞭で打たれた真新しい傷跡があった。
少女の名前は、名無し。
セスティア王国のとある貴族と使用人の間に生まれた不義の子である。
認知はされず、王城の奴隷として売られた。
幼い頃から奴隷として扱われ、自分は人ではなく物だと認識している。
物は、自分で考えない。
物は、命令によって動く。
物は、感情を持たない。
物は、話さない。
物は...、傷つかない。
私は物、王様の所有物。
セスティア王国、王城
謁見室に、黒髪赤目の偉丈夫ライオネルと赤髪緑目のガタイの良いフェリドが、セスティア王の前に立っていた。
セスティア王国国王グラートは、玉座にて来訪の挨拶を聞いていた。
…チッ
直接手を出せば、確実に殺される。
だが、っとグラートは、彼らのそばを浮遊する黒く丸い浮遊物に目を向けた。
それは、監視球と言われるもので、竜帝国の者が外(外国)に出る時に付けられるそうだ。
世界警察によって、義務付けられていると。
世界警察とは、どの国にも属さない中立の裁判人。国同士の揉め事に介入し、公正な判断で裁きを下すと聞く。
監視球は、食事時も風呂時も寝てる時も24時間休まず監視すると。
あれがある限り、無闇に手は出してこないだろうと、王は考えていた。
だが、王は気付いていない。
明確な理由があれば、手を出しても許される理由があれば、問題が無いことを...
王は気付いていない...
奴隷の少女が、名も無き少女が...竜帝の唯一無二の番だと言うことに
「我が城でごゆるりとお過ごし下さい、竜帝陛下(化け物め)」
頭を下げた時、声には出さず罵倒する。
「うむ、視察中の間、よろしく頼む」
執事長とメイド長を呼び、竜帝国の人間達を案内するよう命じた。
「本日の夜は宴を催しますので、是非ともご参加下さいませ」
「ああ、ありがとう」
そして、謁見室を出て行った。
「フェリド」
「何ですか?」
「反応が強くなっている」
城に入って数時間経った時、自分の中の感覚?が強くなった。
番が近くにいる...
「調べるか?」
「ああ、頼む」
「了解」
太陽の様な笑顔で笑うと、俺から何となくの特徴を聞き、離れて行った。
亜人と竜人で、番に関する事柄には多少差異があるが...
竜人は、番を魂のより深い所で認識しているため、感覚と匂いの両方で判断する事が多い。
匂いは、相手から発せられるそうだ。血液や体液は、蕩けるほどに甘く感じると聞く。
感覚は、相手の状態を軽く知れるそうだ。何となく身体的特徴や、何となく痛みや感情を知れると聞く。
曖昧なのは、両親から聞かされただけで、実際はよく分からないからだ。
ただ、俺は空から、番と繋がった感覚がした。今も...繋がっている気がする。
何の感情も伝わってこないが……こういうものなのか?フェリドに聞いたら、違うと言っていた。もっと、分かるそうだが...
あぁ、フェリドには番がいる。そりゃもう、惚気を毎日聞かされる程に愛した人が。相手は男性だがな。フェリドの番は、男だった。
まぁ、そういう場合もある...感覚的に俺の番は、女だ。
とにかく、フェリドには身体的特徴を伝え、探しに行ってもらう事にした。
その日の夜、歓迎の宴が開かれた時に偶然出会う事になるが……
ライオネルは、まだ気付かない。
唯一無二の少女が、王の奴隷で物の様な扱いを受けている事に...
ライオネルは、まだ気付かない。
小国セスティアの繁栄が、少女によるものだと(少女も王も知らない)
ライオネルは、まだ気付かない。
久方振りに大激怒し、セスティアを滅ぼす事を...
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