6 / 13
本編
夜会
しおりを挟む
時刻は少し遡り、謁見室。
「おい、アレを持ってこい」
王は、兵士に何かを持ってくるよう命じた。
兵士は、それがなんなのか知っていて取りに行った。
暫くして、兵士が戻ってきた。
その手に名無しを担いで。
「名無し、お前に竜帝の世話係を命ずる」
ナナシと呼ばれた少女は、ひとつ頷く。
「あんな化け物に、使える人間など居らんからな。ナナシ、まずは......朝の仕事は朝食を部屋に持って行け。儂らと共に食すなど、吐き気がするわ!出掛けたいと言ったら、付いていけ。夜の世話も忘れるでないぞ」
一つ一つ命令する。
その度に頷くナナシ。
コレは、命令でなければ動けぬ欠陥品だ。
「化け物同士、気が合うであろうよ。だが、無駄話はするな。一切口を聞くでないぞ。よいな?!」
少女は、またひとつ頷いた。
そもそも、声など出ない。
言葉も知らない少女に、話す事は出来ないと言うことを王たちは忘れていた。
「ならば行け!奴らが帰るまで、離れるな!」
また頷き、謁見室を出ていった。
夜、竜帝陛下を迎えた宴が開かれた。
壁際には、バイキング形式の食事が用意されていた。テーブルの左右には、立食と着座の両方の机が用意されていた。
ナナシと呼ばれた少女は、宴の裏方を手伝わされていた。倉庫から食材を取ってきたり、洗い物をしたり。
誰もやりたがらない仕事をこなしていた。
命令されたから。
この時も、足りなくなった食材を取りに倉庫まで行った帰りだった。
小麦粉や米など、どれも重たいものだが、表情には出なかった。
途中、中庭を通ると1人の男の人が座り込んでいた。命令以外の行動は、普段しないのだが、何故か…惹かれた。
﹣行かないと﹣
????
よく分からない衝動に駆られ、男の人の元に向かった。
肩を叩いて、振り返った男性は驚いたような顔をしていた。
「?」
顔色は悪くない。
なら大丈夫だと、ナナシはその場を離れようとした。
けれど、男の人がナナシの腕を握った。
「??」
ナナシは、悩んだ。
命令違反は、【仕置き】が待っている。
だから、ナナシは握られても、その場を離れようとした。
いつもなら、握られても動けていた。だが、今回は動けなかった。
彼女は知らなかったが、相手はライオネルだった。力は、全種族のトップだ。
「?、??、???」
振っても離れない、動けない。
だから少女は、諦めた。
【仕置き】は、いつもの事だからだ。
例え自分が物と認識していても、無理なものは無理だと分かっていた。
そういう時は、諦めるのが1番だと理解もしていた。
「お前……」
男の人が、何か喋った。
少女の腕を強く握り、少女の頬に手を伸ばした。
「ライ!!」
「っ」
少女の頬に触れることなく、ライオネルは声のした方に顔を向けた。
「あれ?この子は?……灰色?金目?」
もう1人現れた男性は、少女の手を握る男性に目を止めた。物申すような視線に耐えられなくなった男の人が、瞳を逸らし少女の腕を離した。
「大丈夫か?悪かったな、ライが」
「……?」
男性が何を言ったのか理解出来なかった。なぜ謝るのか、心配されるのか…。
自分は物だ、傷つき壊れても代わりがある。
だから、心配する必要は無いのだ。
それを伝えようとしたが、話してはならぬという【命令】がある。命令が無くても話せないが。
少女は、立ち上がり頭を下げると、その場を去っていった。
※※※
「なぁ、あの子か?」
「ああ、間違いない」
大広間でライオネルは、令嬢に辟易していた。派手な衣装を身にまとった令嬢達に、ダンスを請われたからだ。断ってもしつこく付き纏う姿勢は、賞賛に値するがいい迷惑である。
彼女達は俺の身分に群がっているが、他所で竜人は化け物と罵っている。そんな奴らの相手は疲れる…こう言うのはフェルの方が得意だが、別の事を頼んでいるため、ここには居ない。
仕方が無いから、中庭に避難していたら、後ろから肩を叩かれた。
「っ!!」
見つかった!!
と思ったが、違ったようだ……使用人か?
この俺が、気配に気付かないとは……人間の気配なら、絶対に間違えないはずなのに…。
なぜだ?
俺が悩んでいる間に、幼い見た目の少女は離れようとした。
だが、無意識に彼女の手を取ってしまった。
「……」
だが、彼女手を取った瞬間に気が付いた。
分かってしまった。
この少女が……俺の、番いだと!
少女は、頭を捻りながらも離れようとした。俺に掴まれたまま……
(いや、無理だろ……)
動けないと気付いたのか、振り解こうしたが、そんな事で俺が離すわけもない。
フェルの登場で少女の手を離してしまったが……あの子は、俺の番で間違いないだろう。離れていく姿にどうしようもなく、心が騒ぐ。
﹣今すぐ、追いかけろ。心の向くままに抱き締めろ﹣
と、心が彼女を求めてやまない。
心の衝動のまま、触れて抱き締めたくて堪らない。
「…っ!これが、番いという事か」
「そうだ、離れると辛いだろ?……どうする?」
フェルの言いたい事は、俺が国を出る前に言ったことを気にしてるんだろう。
『国を乱す者を……』
「何となくだが、あの子は、大丈夫な気がする」
「ああ、それは俺も思ってる」
「何か、感じたか?」
「…いや、…感情がない……」
「そうか……」
匂いは微かにしか薫らず、触れても何も読み取れなかった。それでも、魂の繋がりのお陰で気付けたが……まさか、何の感情も読み取れないとは……思わなかった。
「また、会えると良いな」
「そうだな」
なんて、話していたのに…呆気なく、その願いは叶えられた。彼女が、宛てがわれた俺の部屋の前に立っていたからだ。
驚き固まる俺の隣でフェリドは、ニヤニヤと笑って「良かったな」と言った。
ああ、俺の心が喜びに震える。
彼女を俺のものにする……
俺に惚れされる…絶対に……
ライオネルは、心に決めたのだった。
「おい、アレを持ってこい」
王は、兵士に何かを持ってくるよう命じた。
兵士は、それがなんなのか知っていて取りに行った。
暫くして、兵士が戻ってきた。
その手に名無しを担いで。
「名無し、お前に竜帝の世話係を命ずる」
ナナシと呼ばれた少女は、ひとつ頷く。
「あんな化け物に、使える人間など居らんからな。ナナシ、まずは......朝の仕事は朝食を部屋に持って行け。儂らと共に食すなど、吐き気がするわ!出掛けたいと言ったら、付いていけ。夜の世話も忘れるでないぞ」
一つ一つ命令する。
その度に頷くナナシ。
コレは、命令でなければ動けぬ欠陥品だ。
「化け物同士、気が合うであろうよ。だが、無駄話はするな。一切口を聞くでないぞ。よいな?!」
少女は、またひとつ頷いた。
そもそも、声など出ない。
言葉も知らない少女に、話す事は出来ないと言うことを王たちは忘れていた。
「ならば行け!奴らが帰るまで、離れるな!」
また頷き、謁見室を出ていった。
夜、竜帝陛下を迎えた宴が開かれた。
壁際には、バイキング形式の食事が用意されていた。テーブルの左右には、立食と着座の両方の机が用意されていた。
ナナシと呼ばれた少女は、宴の裏方を手伝わされていた。倉庫から食材を取ってきたり、洗い物をしたり。
誰もやりたがらない仕事をこなしていた。
命令されたから。
この時も、足りなくなった食材を取りに倉庫まで行った帰りだった。
小麦粉や米など、どれも重たいものだが、表情には出なかった。
途中、中庭を通ると1人の男の人が座り込んでいた。命令以外の行動は、普段しないのだが、何故か…惹かれた。
﹣行かないと﹣
????
よく分からない衝動に駆られ、男の人の元に向かった。
肩を叩いて、振り返った男性は驚いたような顔をしていた。
「?」
顔色は悪くない。
なら大丈夫だと、ナナシはその場を離れようとした。
けれど、男の人がナナシの腕を握った。
「??」
ナナシは、悩んだ。
命令違反は、【仕置き】が待っている。
だから、ナナシは握られても、その場を離れようとした。
いつもなら、握られても動けていた。だが、今回は動けなかった。
彼女は知らなかったが、相手はライオネルだった。力は、全種族のトップだ。
「?、??、???」
振っても離れない、動けない。
だから少女は、諦めた。
【仕置き】は、いつもの事だからだ。
例え自分が物と認識していても、無理なものは無理だと分かっていた。
そういう時は、諦めるのが1番だと理解もしていた。
「お前……」
男の人が、何か喋った。
少女の腕を強く握り、少女の頬に手を伸ばした。
「ライ!!」
「っ」
少女の頬に触れることなく、ライオネルは声のした方に顔を向けた。
「あれ?この子は?……灰色?金目?」
もう1人現れた男性は、少女の手を握る男性に目を止めた。物申すような視線に耐えられなくなった男の人が、瞳を逸らし少女の腕を離した。
「大丈夫か?悪かったな、ライが」
「……?」
男性が何を言ったのか理解出来なかった。なぜ謝るのか、心配されるのか…。
自分は物だ、傷つき壊れても代わりがある。
だから、心配する必要は無いのだ。
それを伝えようとしたが、話してはならぬという【命令】がある。命令が無くても話せないが。
少女は、立ち上がり頭を下げると、その場を去っていった。
※※※
「なぁ、あの子か?」
「ああ、間違いない」
大広間でライオネルは、令嬢に辟易していた。派手な衣装を身にまとった令嬢達に、ダンスを請われたからだ。断ってもしつこく付き纏う姿勢は、賞賛に値するがいい迷惑である。
彼女達は俺の身分に群がっているが、他所で竜人は化け物と罵っている。そんな奴らの相手は疲れる…こう言うのはフェルの方が得意だが、別の事を頼んでいるため、ここには居ない。
仕方が無いから、中庭に避難していたら、後ろから肩を叩かれた。
「っ!!」
見つかった!!
と思ったが、違ったようだ……使用人か?
この俺が、気配に気付かないとは……人間の気配なら、絶対に間違えないはずなのに…。
なぜだ?
俺が悩んでいる間に、幼い見た目の少女は離れようとした。
だが、無意識に彼女の手を取ってしまった。
「……」
だが、彼女手を取った瞬間に気が付いた。
分かってしまった。
この少女が……俺の、番いだと!
少女は、頭を捻りながらも離れようとした。俺に掴まれたまま……
(いや、無理だろ……)
動けないと気付いたのか、振り解こうしたが、そんな事で俺が離すわけもない。
フェルの登場で少女の手を離してしまったが……あの子は、俺の番で間違いないだろう。離れていく姿にどうしようもなく、心が騒ぐ。
﹣今すぐ、追いかけろ。心の向くままに抱き締めろ﹣
と、心が彼女を求めてやまない。
心の衝動のまま、触れて抱き締めたくて堪らない。
「…っ!これが、番いという事か」
「そうだ、離れると辛いだろ?……どうする?」
フェルの言いたい事は、俺が国を出る前に言ったことを気にしてるんだろう。
『国を乱す者を……』
「何となくだが、あの子は、大丈夫な気がする」
「ああ、それは俺も思ってる」
「何か、感じたか?」
「…いや、…感情がない……」
「そうか……」
匂いは微かにしか薫らず、触れても何も読み取れなかった。それでも、魂の繋がりのお陰で気付けたが……まさか、何の感情も読み取れないとは……思わなかった。
「また、会えると良いな」
「そうだな」
なんて、話していたのに…呆気なく、その願いは叶えられた。彼女が、宛てがわれた俺の部屋の前に立っていたからだ。
驚き固まる俺の隣でフェリドは、ニヤニヤと笑って「良かったな」と言った。
ああ、俺の心が喜びに震える。
彼女を俺のものにする……
俺に惚れされる…絶対に……
ライオネルは、心に決めたのだった。
1
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。
BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。
父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した!
メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
「美しい女性(ヒト)、貴女は一体、誰なのですか?」・・・って、オメエの嫁だよ
猫枕
恋愛
家の事情で12才でウェスペル家に嫁いだイリス。
当時20才だった旦那ラドヤードは子供のイリスをまったく相手にせず、田舎の領地に閉じ込めてしまった。
それから4年、イリスの実家ルーチェンス家はウェスペル家への借金を返済し、負い目のなくなったイリスは婚姻の無効を訴える準備を着々と整えていた。
そんなある日、領地に視察にやってきた形だけの夫ラドヤードとばったり出くわしてしまう。
美しく成長した妻を目にしたラドヤードは一目でイリスに恋をする。
「美しいひとよ、貴女は一体誰なのですか?」
『・・・・オメエの嫁だよ』
執着されたらかなわんと、逃げるイリスの運命は?
冷徹公爵の誤解された花嫁
柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。
冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。
一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる