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第148話
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◆神坂夏菜 視点◆
2年の修学旅行が始まり、当然2年である春華も参加して不在になり、我が家は寂しいものになっている。特に父さんは冬樹が家を出ていってから、その事実から目を背けるように仕事に没頭し家に居ない時間が飛躍的に増えていて、今も母さんとふたりで食事をしている。
私も母さんも必要な会話をすれども雑談といった何気ない会話を積極的にする方ではなく我が家はもっぱら春華が会話の中心になりがちで、その春華が居ないため僅かな食器と動作の音が響くだけの静けさがリビングに広がっている。
ふたりで食事を終え、ふたり分の食器の片付けを終わらせ部屋へ戻るとスマホがメッセージ受信を受信していた。
春華からかと思い気安くスマホを見ると、友人たちのグループからでやり取りが進んでいて未読のメッセージがかなりの数になっていた。
古いものから順に追いかけると、例の事件の被害者である美波たちが極秘に登校しているというもので、情報源は学校裏サイトでそこでは最近撮影されたと思われる特別教室へ入っていく美波、仲村さん、芳川さんの写真と、鷺ノ宮らサッカー部などの連中が辱めていた時の写真を並べて投稿し、それを題材に悪趣味で人格を蔑ろにした唾棄すべき妄想で美波達を貶めるような書き込みが大量に書き込まれて盛り上がっているというものだ。
私も直接裏サイトでその書き込みを見たが吐き気がするほど下劣で憤りを覚えた。
そんな中で見過ごせなかったのが、特別教室で待ち構え美波達に接触し自分たちとも交わろうと声を掛けようというもので、そこへ参加する者を募集する内容も有った。
一通り目を通したところで、友人のグループの方は既読を付けただけでメッセージは送らずにスマホを持って美波の元へ向かった。
夜分の急な訪問を詫つつ美波に緊急の話があると伝え美波の部屋で対峙した。
「・・・と言うことで、最悪の状況になっている。
私でも恐ろしい悪意を感じ気持ち悪くなるほどなので、お前は間違っても絶対に見ようとするな」
要点だけを端的に抜き出した説明をしたところ、それだけでも美波は顔色がどんどん悪くなり俯いていった。
「・・・そんなことに・・・夏菜お姉ちゃん、わたし、どうしたらいいかな?」
「とりあえず状況が落ち着くまでは学校へ行くな。
それと、このあいだ受けた高卒認定試験は手応えがあったのだろう?
結果が出るのはもう少し先だが、もう学校へは行かず大学受験に専念したらどうだ?」
「うん・・・それが良いかも知れないね・・・
でもさ、夏菜お姉ちゃん・・・せっかく冬樹との関係が戻ってきていたのに、また会えなくなるのは嫌だよ・・・」
「それは・・・うん、そうだな・・・あとで冬樹にも相談して何とかしてもらえないか頼んでみよう」
一番気になったのは妹分の美波だから真っ先にここへ駆け付けたが、仲村さんと芳川さんも心配だ。ふたりにはこの場で連絡した方が情報共有しやすいかも知れないと思い、美波に了承を得て仲村さんと芳川さんにも連絡をした。
仲村さんはもうすぐ卒業というタイミングでもあるので今後登校しないでも卒業できるように学校側へ配慮を求める方向で私も協力することとし、芳川さんは通信制の高校への転校も考えるということだ。どうするにせよ、仲村さんも芳川さんも美波と同様に明日は休み私が学校側へ掛け合うと言うことで現時点での話をまとめた。
いずれにしても裏サイトで話題になったのが今日の放課後になってからなのでこれを見た生徒たちがどういう行動を取るのかもわからないし、学校側もどういう対応をしてくれるのかもわからないのでこれ以上はどうにもできないということで続きは明日以降にすることも申し合わせて今日のところは閉めることにした。
「あの、夏菜お姉ちゃん・・・今日は一緒に寝てもらっても良いかな?」
「構わんぞ。私がここで寝ようか?
それとも美波が私の部屋へ来るか?」
「夏菜お姉ちゃんが良いならお部屋にお邪魔したい・・・今は日常から少しでも離れた状況にしておきたいの」
「わかった。じゃあ、私は先に部屋へ戻っているから、準備ができたら来い」
「うん、ありがとう」
美波の気持ちもわかる。不安な時に環境を変えることで意識を逸らすというのは有効な手段だ。いつもと同じ環境だと、反復して思い出し易くなるからその方が良いだろう。
姉貴分としてはできる限りのことをしてあげたいと思う。
あと、できることは・・・
◆神坂冬樹 視点◆
姉さんから電話があり、学校の裏サイトで美波達が特別教室に登校していることが暴露され、凌辱されていた時の動画とセットで冷やかしのネタにされ炎上しているといった話をされた。
それを受けて、今のところ話題になっていないけど僕も明日は学校へ行くべきではないと言われ、その通りだと納得した。
その上で美波が不安がっているので明日の昼間だけでも美波の側に居て欲しいという話もされた。
色々あったとは言え幼馴染みだし美晴さんの妹でもあるのでそれを了承し、明日は学校ではなく岸元家へ行くことにした。
美晴さんにその話をしたところ美晴さんも大学が終わったら実家へ行き、美波を励まし協力もしたいということで話は決まった。
それにしても、修学旅行で2年生が1週間いなくなるこのタイミングで行ったのはどういった目的なのかも気になるところだ・・・
◆高梨百合恵 視点◆
修学旅行の初日の勤務が終わり帰宅してみゆきとテレビを見ながら雑談をしていたら夏菜さんから電話があった。
内容は学校の裏サイトで特別教室に登校している女子たちのことが暴露され、一学期の事件と組み合わせでひどい盛り上がり方をしているということだった。そして、夏菜さんからは学校へ特別教室の女子たちについて学校へ配慮を求めるということで、できる範囲で良いので協力して欲しいということだった。
生徒会長として色々尽力していた事は知っていたけど、改めて彼女の面倒見の良さと大人相手にも物怖じしない心の強さを感じさせられた。既に教師になって10年が経っていると言うのに、わたしには校長先生や理事の方々どころか同僚の先生に対してすらそういう配慮を求めていく様な交渉をできそうになく、比較して情けない気持ちになってしまう。
自己嫌悪は置いて、実際に裏サイトにアクセスして確認したところ夏菜さんの説明から受ける印象よりもはるかに無自覚な悪意に満ちた書き込みが多く気持ちが悪くなった。側で見ていたみゆきが心配するくらいには表情に出してしまっていた様だけど、それも仕方がないことだと思うくらいの酷さだった。
2年の修学旅行が始まり、当然2年である春華も参加して不在になり、我が家は寂しいものになっている。特に父さんは冬樹が家を出ていってから、その事実から目を背けるように仕事に没頭し家に居ない時間が飛躍的に増えていて、今も母さんとふたりで食事をしている。
私も母さんも必要な会話をすれども雑談といった何気ない会話を積極的にする方ではなく我が家はもっぱら春華が会話の中心になりがちで、その春華が居ないため僅かな食器と動作の音が響くだけの静けさがリビングに広がっている。
ふたりで食事を終え、ふたり分の食器の片付けを終わらせ部屋へ戻るとスマホがメッセージ受信を受信していた。
春華からかと思い気安くスマホを見ると、友人たちのグループからでやり取りが進んでいて未読のメッセージがかなりの数になっていた。
古いものから順に追いかけると、例の事件の被害者である美波たちが極秘に登校しているというもので、情報源は学校裏サイトでそこでは最近撮影されたと思われる特別教室へ入っていく美波、仲村さん、芳川さんの写真と、鷺ノ宮らサッカー部などの連中が辱めていた時の写真を並べて投稿し、それを題材に悪趣味で人格を蔑ろにした唾棄すべき妄想で美波達を貶めるような書き込みが大量に書き込まれて盛り上がっているというものだ。
私も直接裏サイトでその書き込みを見たが吐き気がするほど下劣で憤りを覚えた。
そんな中で見過ごせなかったのが、特別教室で待ち構え美波達に接触し自分たちとも交わろうと声を掛けようというもので、そこへ参加する者を募集する内容も有った。
一通り目を通したところで、友人のグループの方は既読を付けただけでメッセージは送らずにスマホを持って美波の元へ向かった。
夜分の急な訪問を詫つつ美波に緊急の話があると伝え美波の部屋で対峙した。
「・・・と言うことで、最悪の状況になっている。
私でも恐ろしい悪意を感じ気持ち悪くなるほどなので、お前は間違っても絶対に見ようとするな」
要点だけを端的に抜き出した説明をしたところ、それだけでも美波は顔色がどんどん悪くなり俯いていった。
「・・・そんなことに・・・夏菜お姉ちゃん、わたし、どうしたらいいかな?」
「とりあえず状況が落ち着くまでは学校へ行くな。
それと、このあいだ受けた高卒認定試験は手応えがあったのだろう?
結果が出るのはもう少し先だが、もう学校へは行かず大学受験に専念したらどうだ?」
「うん・・・それが良いかも知れないね・・・
でもさ、夏菜お姉ちゃん・・・せっかく冬樹との関係が戻ってきていたのに、また会えなくなるのは嫌だよ・・・」
「それは・・・うん、そうだな・・・あとで冬樹にも相談して何とかしてもらえないか頼んでみよう」
一番気になったのは妹分の美波だから真っ先にここへ駆け付けたが、仲村さんと芳川さんも心配だ。ふたりにはこの場で連絡した方が情報共有しやすいかも知れないと思い、美波に了承を得て仲村さんと芳川さんにも連絡をした。
仲村さんはもうすぐ卒業というタイミングでもあるので今後登校しないでも卒業できるように学校側へ配慮を求める方向で私も協力することとし、芳川さんは通信制の高校への転校も考えるということだ。どうするにせよ、仲村さんも芳川さんも美波と同様に明日は休み私が学校側へ掛け合うと言うことで現時点での話をまとめた。
いずれにしても裏サイトで話題になったのが今日の放課後になってからなのでこれを見た生徒たちがどういう行動を取るのかもわからないし、学校側もどういう対応をしてくれるのかもわからないのでこれ以上はどうにもできないということで続きは明日以降にすることも申し合わせて今日のところは閉めることにした。
「あの、夏菜お姉ちゃん・・・今日は一緒に寝てもらっても良いかな?」
「構わんぞ。私がここで寝ようか?
それとも美波が私の部屋へ来るか?」
「夏菜お姉ちゃんが良いならお部屋にお邪魔したい・・・今は日常から少しでも離れた状況にしておきたいの」
「わかった。じゃあ、私は先に部屋へ戻っているから、準備ができたら来い」
「うん、ありがとう」
美波の気持ちもわかる。不安な時に環境を変えることで意識を逸らすというのは有効な手段だ。いつもと同じ環境だと、反復して思い出し易くなるからその方が良いだろう。
姉貴分としてはできる限りのことをしてあげたいと思う。
あと、できることは・・・
◆神坂冬樹 視点◆
姉さんから電話があり、学校の裏サイトで美波達が特別教室に登校していることが暴露され、凌辱されていた時の動画とセットで冷やかしのネタにされ炎上しているといった話をされた。
それを受けて、今のところ話題になっていないけど僕も明日は学校へ行くべきではないと言われ、その通りだと納得した。
その上で美波が不安がっているので明日の昼間だけでも美波の側に居て欲しいという話もされた。
色々あったとは言え幼馴染みだし美晴さんの妹でもあるのでそれを了承し、明日は学校ではなく岸元家へ行くことにした。
美晴さんにその話をしたところ美晴さんも大学が終わったら実家へ行き、美波を励まし協力もしたいということで話は決まった。
それにしても、修学旅行で2年生が1週間いなくなるこのタイミングで行ったのはどういった目的なのかも気になるところだ・・・
◆高梨百合恵 視点◆
修学旅行の初日の勤務が終わり帰宅してみゆきとテレビを見ながら雑談をしていたら夏菜さんから電話があった。
内容は学校の裏サイトで特別教室に登校している女子たちのことが暴露され、一学期の事件と組み合わせでひどい盛り上がり方をしているということだった。そして、夏菜さんからは学校へ特別教室の女子たちについて学校へ配慮を求めるということで、できる範囲で良いので協力して欲しいということだった。
生徒会長として色々尽力していた事は知っていたけど、改めて彼女の面倒見の良さと大人相手にも物怖じしない心の強さを感じさせられた。既に教師になって10年が経っていると言うのに、わたしには校長先生や理事の方々どころか同僚の先生に対してすらそういう配慮を求めていく様な交渉をできそうになく、比較して情けない気持ちになってしまう。
自己嫌悪は置いて、実際に裏サイトにアクセスして確認したところ夏菜さんの説明から受ける印象よりもはるかに無自覚な悪意に満ちた書き込みが多く気持ちが悪くなった。側で見ていたみゆきが心配するくらいには表情に出してしまっていた様だけど、それも仕方がないことだと思うくらいの酷さだった。
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