学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

文字の大きさ
148 / 252

第148話

しおりを挟む
神坂夏菜かみさかかな 視点◆

2年の修学旅行が始まり、当然2年である春華はるかも参加して不在になり、我が家は寂しいものになっている。特に父さんは冬樹ふゆきが家を出ていってから、その事実から目を背けるように仕事に没頭し家に居ない時間が飛躍的に増えていて、今も母さんとふたりで食事をしている。

私も母さんも必要な会話をすれども雑談といった何気ない会話を積極的にする方ではなく我が家はもっぱら春華が会話の中心になりがちで、その春華が居ないため僅かな食器と動作の音が響くだけの静けさがリビングに広がっている。


ふたりで食事を終え、ふたり分の食器の片付けを終わらせ部屋へ戻るとスマホがメッセージ受信を受信していた。

春華からかと思い気安くスマホを見ると、友人たちのグループからでやり取りが進んでいて未読のメッセージがかなりの数になっていた。

古いものから順に追いかけると、例の事件の被害者である美波みなみたちが極秘に登校しているというもので、情報源は学校裏サイトでそこでは最近撮影されたと思われる特別教室へ入っていく美波、仲村なかむらさん、芳川よしかわさんの写真と、鷺ノ宮さぎのみやらサッカー部などの連中が辱めていた時の写真を並べて投稿し、それを題材に悪趣味で人格を蔑ろにした唾棄すべき妄想で美波達を貶めるような書き込みが大量に書き込まれて盛り上がっているというものだ。

私も直接裏サイトでその書き込みを見たが吐き気がするほど下劣で憤りを覚えた。

そんな中で見過ごせなかったのが、特別教室で待ち構え美波達に接触し自分たちとも交わろうと声を掛けようというもので、そこへ参加する者を募集する内容も有った。

一通り目を通したところで、友人のグループの方は既読を付けただけでメッセージは送らずにスマホを持って美波の元へ向かった。


夜分の急な訪問を詫つつ美波に緊急の話があると伝え美波の部屋で対峙した。


「・・・と言うことで、最悪の状況になっている。
 私でも恐ろしい悪意を感じ気持ち悪くなるほどなので、お前は間違っても絶対に見ようとするな」


要点だけを端的に抜き出した説明をしたところ、それだけでも美波は顔色がどんどん悪くなり俯いていった。


「・・・そんなことに・・・夏菜お姉ちゃん、わたし、どうしたらいいかな?」


「とりあえず状況が落ち着くまでは学校へ行くな。
 それと、このあいだ受けた高卒認定試験は手応えがあったのだろう?
 結果が出るのはもう少し先だが、もう学校へは行かず大学受験に専念したらどうだ?」


「うん・・・それが良いかも知れないね・・・
 でもさ、夏菜お姉ちゃん・・・せっかく冬樹との関係が戻ってきていたのに、また会えなくなるのは嫌だよ・・・」


「それは・・・うん、そうだな・・・あとで冬樹にも相談して何とかしてもらえないか頼んでみよう」


一番気になったのは妹分の美波だから真っ先にここへ駆け付けたが、仲村さんと芳川さんも心配だ。ふたりにはこの場で連絡した方が情報共有しやすいかも知れないと思い、美波に了承を得て仲村さんと芳川さんにも連絡をした。


仲村さんはもうすぐ卒業というタイミングでもあるので今後登校しないでも卒業できるように学校側へ配慮を求める方向で私も協力することとし、芳川さんは通信制の高校への転校も考えるということだ。どうするにせよ、仲村さんも芳川さんも美波と同様に明日は休み私が学校側へ掛け合うと言うことで現時点での話をまとめた。

いずれにしても裏サイトで話題になったのが今日の放課後になってからなのでこれを見た生徒たちがどういう行動を取るのかもわからないし、学校側もどういう対応をしてくれるのかもわからないのでこれ以上はどうにもできないということで続きは明日以降にすることも申し合わせて今日のところは閉めることにした。


「あの、夏菜お姉ちゃん・・・今日は一緒に寝てもらっても良いかな?」


「構わんぞ。私がここで寝ようか?
 それとも美波が私の部屋へ来るか?」


「夏菜お姉ちゃんが良いならお部屋にお邪魔したい・・・今は日常から少しでも離れた状況にしておきたいの」


「わかった。じゃあ、私は先に部屋へ戻っているから、準備ができたら来い」


「うん、ありがとう」


美波の気持ちもわかる。不安な時に環境を変えることで意識を逸らすというのは有効な手段だ。いつもと同じ環境だと、反復して思い出し易くなるからその方が良いだろう。

姉貴分としてはできる限りのことをしてあげたいと思う。

あと、できることは・・・



◆神坂冬樹 視点◆

姉さんから電話があり、学校の裏サイトで美波達が特別教室に登校していることが暴露され、凌辱されていた時の動画とセットで冷やかしのネタにされ炎上しているといった話をされた。

それを受けて、今のところ話題になっていないけど僕も明日は学校へ行くべきではないと言われ、その通りだと納得した。

その上で美波が不安がっているので明日の昼間だけでも美波の側に居て欲しいという話もされた。

色々あったとは言え幼馴染みだし美晴さんの妹でもあるのでそれを了承し、明日は学校ではなく岸元きしもと家へ行くことにした。

美晴さんにその話をしたところ美晴さんも大学が終わったら実家へ行き、美波を励まし協力もしたいということで話は決まった。


それにしても、修学旅行で2年生が1週間いなくなるこのタイミングで行ったのはどういった目的なのかも気になるところだ・・・



高梨百合恵たかなしゆりえ 視点◆

修学旅行の初日の勤務が終わり帰宅してみゆきとテレビを見ながら雑談をしていたら夏菜さんから電話があった。

内容は学校の裏サイトで特別教室に登校している女子たちのことが暴露され、一学期の事件と組み合わせでひどい盛り上がり方をしているということだった。そして、夏菜さんからは学校へ特別教室の女子たちについて学校へ配慮を求めるということで、できる範囲で良いので協力して欲しいということだった。

生徒会長として色々尽力していた事は知っていたけど、改めて彼女の面倒見の良さと大人相手にも物怖じしない心の強さを感じさせられた。既に教師になって10年が経っていると言うのに、わたしには校長先生や理事の方々どころか同僚の先生に対してすらそういう配慮を求めていく様な交渉をできそうになく、比較して情けない気持ちになってしまう。

自己嫌悪は置いて、実際に裏サイトにアクセスして確認したところ夏菜さんの説明から受ける印象よりもはるかに無自覚な悪意に満ちた書き込みが多く気持ちが悪くなった。側で見ていたみゆきが心配するくらいには表情に出してしまっていた様だけど、それも仕方がないことだと思うくらいの酷さだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※夏休み小話編2が完結しました!(2025.10.16)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが

akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。 毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。 そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。 数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。 平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、 幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。 笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。 気づけば心を奪われる―― 幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!

イケボすぎる兄が、『義妹の中の人』をやったらバズった件について

のびすけ。
恋愛
春から一人暮らしを始めた大学一年生、天城コウは――ただの一般人だった。 だが、再会した義妹・ひよりのひと言で、そんな日常は吹き飛ぶ。 「お兄ちゃんにしか頼めないの、私の“中の人”になって!」 ひよりはフォロワー20万人超えの人気Vtuber《ひよこまる♪》。 だが突然の喉の不調で、配信ができなくなったらしい。 その代役に選ばれたのが、イケボだけが取り柄のコウ――つまり俺!? 仕方なく始めた“妹の中の人”としての活動だったが、 「え、ひよこまるの声、なんか色っぽくない!?」 「中の人、彼氏か?」 視聴者の反応は想定外。まさかのバズり現象が発生!? しかも、ひよりはそのまま「兄妹ユニット結成♡」を言い出して―― 同居、配信、秘密の関係……って、これほぼ恋人同棲じゃん!? 「お兄ちゃんの声、独り占めしたいのに……他の女と絡まないでよっ!」 代役から始まる、妹と秘密の“中の人”Vライフ×甘々ハーレムラブコメ、ここに開幕!

処理中です...