学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

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第187話

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松本明良まつもとあきら 視点◆

今日の講義は2コマ目からだからもう少し自宅でゆっくりしていられるかと思っていたら玲香れいかがやってきた。


「昨日、佐々木ささき先輩にみはるんを紹介しろって言われて断ったんだけど、偶然を装って引き合わせろって食い下がられて、しぶしぶ請け負っちゃったんだよね・・・
 悪いんだけどアキラくんもその場にいてフォローしてくれないかなぁ」


「佐々木先輩かぁ・・・たしかに押しが強い人だし、断りづらいよね。
 玲香はお世話になっているんだっけ?」


「そう。だからね、できるだけ穏便に流しちゃいたいんだよ」


「なら美晴みはるさんにお願いして、素直に協力してもらったら?」


「うーん、みはるんにはそういう打算的なアタシを見せたくないんだよね。
 それにみはるんは冬樹ふゆき君一筋だから何を言われても靡かないはずだし、佐々木先輩は女好きで女性関係にだらしないと評判だけど、無理やり迫る様な人でなしではないから黙ってたらわからないかなって・・・」


ぼくが居ても平気で下品なことを言う人だし、女性関係にだらしないとも聞くけど、たしかに人格とか人間性が酷いという話は聞かないね」


「そう。だから、偶然出会わせる時だけ凌げれば良いかなって。その時の保険でアキラくんにも一緒にいて欲しいの」


「まったく、仕方ないなぁ。美晴さんには会いたいし、良いよ」


「ありがとう!
 じゃあさ、みはるんに今からメッセ送ってOKだったら、3コマ目終わった後に時間もらって良い?」


「うん、良いよ」



結局、美晴さんも都合が良くて3コマ目が終わった後の時間に玲香の相談があるという事にして、3人でいる時に佐々木先輩と遭遇することになった。



約束のカフェで論文のまとめをしていたら、3コマ目が終わって少し経った位の時間になって玲香と美晴さんがぼくの元へやってきた。


「アキラくん、お待たせー」


「こんにちは、明良さん」


「こんにちは、美晴さん。玲香のわがままに付き合ってくれてありがとう」


「良いんですよ。明良さんに比べたら付き合いは全然短いですけど、私だって玲香さんの友達なんですから・・・」


美晴さんが言うやいなや玲香が抱き着いた。


「ありがとうみはるん!嬉しい!」


玲香のこういう行動に慣れてきているのか、美晴さんは軽く抱き返したら両手で玲香の胸を押して身体を離し椅子へ誘導して座らせた。

美晴さんも椅子へ座ると玲香の話が始まり、最初は設定のための相談かと思っていたけど、玲香が懇意にしている先輩の立ち上げている輸入品雑貨の品物選びで意見を聞かせて欲しいとタブレットの画像を見せつつ話し始めた。

こういうビジネスの話をする時の玲香は真剣な眼差しがかっこよくて親友ながら惚れ惚れする。いつもこうしていれば良いのにと思うこともあるけど、なんだかんだで普段の奔放な玲香の表情も好きなので、このオンオフある玲香が良いというところに落ち着いてくる。


玲香の相談が終わったのにまだ佐々木先輩が姿を見せないので、時間を稼ぐために雑談をすることにした。


「美晴さんは最近なにか変わった事などありましたか?」


「玲香さんの話を始めちゃったから言いそびれてしまっていましたね・・・実は妊娠してました」


「ええっ!妊娠!」


「はい、先週の土曜日に検査薬を使って陽性だったので、一昨日病院へ行って検査して間違いないとわかりました」


「それはめでたいね。もちろん相手はだよね?」


「はい、冬樹くんです。
 ちなみに、付き添ってくれた友人との待ち合わせ場所に偶然居合わせた玲香さんも一緒に病院へ行ってくれたんですけど、玲香さんからは聞いていなかったのですね」


「ああ、玲香はそういう大事なことには口が硬いから言わないし、匂わせもしないよ。
 そういうところは信頼できるし、美晴さんにも信頼してもらえるとぼくも嬉しいかな」


美晴さんのの話を続けていたけど、思いの外ショックだった。初めて出会った時から美晴さんと付き合っていた相手で、ぼくが付き合える可能性なんて微塵もないと認識していた・・・それでもぼくの女らしい格好を褒めてくれた冬樹君のことは特別な存在になっていて、美晴さんと幸せになって欲しいと思っていたけど理性の埒外では付き合いたいという潜在願望が大きかった様で、自分にそんな側面があったのかと狼狽している。



津島つしま玲香 視点◆

佐々木先輩に頼まれていた偶然みはるんと鉢合わせる話はアキラくんの協力を得て場面の設定はできてた。

時間を伝えてあるし、来るという返答も有ったのにやって来ない。先輩からの返答であった見込みの時間から20分くらい過ぎアタシが用意していた話が終わってしまってて、今は雑談でみはるんが妊娠した話になってしまっている。みはるんはもう用事が終わっていると思っているはずだから、この話に区切りがつけば解散という流れになってしまうだろう。

アタシは約束を果たしたわけで『佐々木先輩がすっぽかしたのが悪いのだから次はないです』とすれば良いのだけど、アタシがそれをちゃんと押し通せる相手ならそもそもこんな事にはなっていないので、佐々木先輩にはちゃんと来て欲しい。

仕方がないので『ちょっと連絡を』と断りを入れて話をしながらスマホで佐々木先輩へメッセを送ったら即レスで【食器返却口の側まで来てくれ】と返ってきたので、そちらの方を見ると佐々木先輩の姿が見えた。

そこに居るならすぐに来いと思いながらも、みはるん達に断りを入れて佐々木先輩の側へ行き、みはるんから見えない様にしながら話しかけた。


「先輩、何してんすか!やめてくださいよ本当に!
 先輩がやれって言うから呼び出したのに、もう呼び出した口実の話も終わってるんで帰りますよ?」


「すまん、津島ちゃん。ところであの女性ひとは何者?」


「はぁ?みはるんを呼び出させたの先輩ですよね?」


「違う。もうひとりの背の高い人の方だ」


様子がおかしいとは思ったけど、よく見ると美女スタイルのアキラくんに一目惚れしたのかソワソワしている様だ。


「そっちはアキラくんですよ」


「アキラくん!?それって津島ちゃんと同じ高校だったイケメンだよな?」


「もしかして、アキラくんのこと男だと思ってました?」


「え?男じゃないのか?」


「アタシたち、女子校だったんですよ」


「っ!」


先輩は声にならない声を出した。そして、何かを思い出したかのように顔色が悪くなっている。その様子だと本当に男だと思い込んでいて、男同士だから言う様な下品な事を言ったことに思い至ったのだろう。


「津島ちゃん、いや津島様。予定変更でアキラくんを紹介してくれ」


「はぁ?紹介するも何も、もう知り合ってますよね?」


「あー、そうだな、違うな。実は男だと思っててシモネタをブチかました事があったんだよ。それをなかった事にしたい」


「そんなの無理に決まってるじゃないですか。せいぜい本人が忘れてるかどうかくらいですよ。でも、たぶん忘れていませんね」


「ええ!?そこを何とかできないか?」


「何とかも何も・・・ネタバラシすると、みはるんと先輩を鉢合わせるのにアタシひとりでフォローしきれるか不安だったからアキラくんにも来てもらったんですけど、そのお願いをした時に先輩のこと『下品なことを言う人』って言ってましたよ」


先輩は崩れ落ち、泣きそうな表情で見上げてくる・・・こんな先輩を見るのは初めてでなんか可笑しくなった。


「頼む、助けてくれ!」


「助けるも何もアキラくん記憶力良いですし、下手したら一言一句たがえずに言えちゃうんじゃないですかね?」


「そこをなんとか!」


言うやいなやアタシに抱き着いてきた。顔をお腹に擦り付けてきて頭が下乳に当たるし両腕がクロスしてその先端の手は微妙にお尻に掠り、その状況に混乱してそのまま力強く脚を上げて蹴り倒してしまった。


「あっ、すみません!」


「いや、今のは俺が悪い・・・すまなかった。
 それとすまんが仕切り直したい。岸元きしもとちゃんはもう良いから、後日アキラくん・・・さんをちゃんと紹介してくれないか?」


「はぁ・・・アキラくんに聞いて良いって言ったら良いですけど・・・」


「実質ダメって言ってないか?」


「ぼくが何?」


気付いたらアキラくんが側に居た。


「アキラくん、今のどこから聞いてた?」


「ぼくが話しかける直前に玲香が『アキラくんに聞いて良いって言ったら良いですけど』って言ったところだよ」


「ありがと。紹介するね、こちら佐々木先輩」


「知ってるよ、今更なに?
 それより美晴さんが訝しんでるから早く戻ってきてよ。
 佐々木先輩も早く来てくださいね」


そう言ってアキラくんはアタシ達が座っているテーブル席へ戻っていった。

急に間近でアキラくんに声を掛けられたからか、先輩は呆けていた。


「じゃあ、そういう事でアタシ戻りますから。
 来なかったらもうみはるんは良いってことで帰りますからね」



武士の情けで10分待ってあげたけど、先輩は食器返却口の側から動かなかった。
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