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第189話
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◆岸元美晴 視点◆
昨日は講義の後に玲香さんから先輩さんの事業の品物選定の相談を受けて、同じく相談相手として呼ばれていた明良さんにも私が妊娠したことを伝えることができた。
別れる直前に玲香さんの様子が少しおかしかったのが気になって尋ねてみたけど、問題はないというので無理に聞き出すのも難だと思い『困ったことがあったら相談してくださいね』と伝えたらいつもの調子で喜んでくれたので、そんなに深刻な事ではなさそうと様子見することにした。
帰宅してからは冬樹くんが今まで以上に甲斐甲斐しくお世話をしてくれようとしてくれて嬉しくなったけど、私ができることは自分でしたいので気持ちだけもらって冬樹くんは冬樹くんのことをしっかりやってほしいとお願いしたらわかってくれて、でもその時の残念そうな表情がまた愛おしくてますます好きが大きくなった。
また、高卒認定試験の結果が届いていて無事に全教科合格していたと言うことだった。冬樹くんなら大丈夫だと思っていたけど、実際にそういう結果が出てくれて嬉しいし、冬樹くんと一緒に受けていた美波からも全教科合格していたという連絡が届いたので良かったと思う。冬樹くんも美波も学校へ通いたいならそれも良いけど、別の選択肢があるというのは不安定なふたりには良い状況だと思う。
冬樹くんはお婆様に電話して私の妊娠と婚約の話をして挨拶をしに行きたい旨を伝えて、日程未定で年明けくらいまでには会いに行く方針が決まった。また、お婆様には実家の近くへ引っ越しをする際にも同意書の親権者になって欲しいとお願いしたのだけれど、お婆様からご両親へ頼みなさいと諭されて、冬樹くんもたしかにそうするべきという事で納得していた。
そんな事があってから明けた今日は1コマ目と2コマ目が講義で朝早くから動き出したけど、逆に昼過ぎに終わるのでその後に区役所へ行き妊娠に関する手続きをしてこようと思っている。
2コマ目の講義が終わって帰り支度をしていたら隣の席で同じ講義を受けていた玲香さんから声を掛けられた。
「みはるん、この後どうするの?」
「今日はもう大学での授業や用事がないので、区役所へ行って妊娠に関する手続きをしてこようと思っています」
「なるほど。たしかにそういうのやんないと駄目だもんね。
じゃあさ、アタシも今日はこれで終わりだから駅まで一緒に行かない?」
「もちろん良いですよ。
私はもう準備ができているので、準備ができたら声を掛けてください」
「え?はやっ。すぐ片付けるからちょっと待ってて!」
「別に焦らないで大丈夫ですよ。私は急いでないですから」
少し待っていると玲香さんは資料などをバッグに仕舞い終えた。
「おまたせ、じゃあ行こ」
「はい」
私たちは駅へ向かうために移動を開始した。
「津島ちゃん!」
ひとりの男性が玲香さんの名前を呼びながら近寄ってきた。
「悪い、ちょっといいか?」
「良くないです。もう帰るので、失礼します」
「じゃあ、駅までで良いから話聞いてくれ」
「アタシ、今連れが居ますし」
「あの、別に私はひとりで帰っても良いですよ」
「アタシがヤなの。せっかくみはるんと帰れるのに!」
「でも、せめてご一緒しては」
「話がわかるね、ありがとう!」
「はぁ、しょうがないか・・・一応紹介しとくね、こちらひとつ上の佐々木先輩」
「もしかして景子先輩の立ち上げた会社で働かれている佐々木先輩ですか?」
景子先輩はフルネームで加藤景子さんと言い、私と玲香さんと同じ学部の2つ上の先輩で私達が入学した時には既に学業の傍らで事業を開始していて、景子先輩が4年に上がる頃には順調に営業していて同期や後輩だけでなく既に社会人として何年も働いている人も転職してきて在籍している様な会社になっていた。私も声を掛けてもらったけれどあまりの規模と勢いに圧倒されたこともあって、お断りさせてもらった経緯もある。ちなみに、玲香さんは社員としては参加していないものの取引先みたいな繋がりがあるらしい。ただ、玲香さんから直接この件で話を聞いたことがないので本当のところはわからない。
この佐々木先輩もその会社で幹部役員として参加しているという話だけは知っていたが、実際に接したのは今が初めてになる。
「そうそう、景子さんの会社、エバーグロースで常務を務めさせてもらってます佐々木雷斗と言います。今後ともご贔屓によろしく!」
「は、はい、よろしくお願いします。あと、申し遅れましたが現在3年生の岸元美晴です」
「知ってる知ってる、岸元ちゃんは男子の間では可愛いって有名だから」
「そ、そうなのですか?」
「うんうん」
佐々木先輩と挨拶をしたところで、佐々木先輩を交え3人で駅まで話しながら向かった。
佐々木先輩からの話の内容は最近女性らしい格好をする様になった明良さんの事が気になってちゃんと話をしたいので、明良さんと仲が良い玲香さんにその間を取り持って欲しいというお願いだった。
玲香さんは佐々木先輩のことを女好きの良くない噂があるし、派手な見た目通りで女性関係がだらしない人だと思っていて、そんな人を明良さんと取り持ちたくないと突っぱねたものの、真剣な眼差しで繰り返しお願いしている。先入観がない私は玲香さんの持っている印象と今見た佐々木先輩に違和感を覚えた。
「玲香さん、私には佐々木先輩がそんな悪い人に見えないのですけど・・・噂に誤解があるかもしれないので一度ちゃんと腰を落ち着けて話を聞いてみたらどうでしょうか?」
「・・・たしかに、噂話と見た目だけで否定するのはアタシもされて嫌な思いをしたこともあるし・・・自分がされて嫌なことを先輩にしちゃってましたね・・・」
「いや、たしかに良くない噂が流布しているのは認識してるけど・・・そんなにひどいの?」
「・・・噂を聞く限りはけっこう酷い男ですよ」
「そっかぁ、津島ちゃんは付き合いがあるから、そこは斟酌してくれてると思ってたけど・・・」
駅に着いた時には玲香さんは偏見を持っていて言い過ぎたと謝罪し、後日仕切り直してちゃんと話をすることにして、何故か私もその場に同席して欲しいというふたりからの懇願に折れて立ち会うことになった。
昨日は講義の後に玲香さんから先輩さんの事業の品物選定の相談を受けて、同じく相談相手として呼ばれていた明良さんにも私が妊娠したことを伝えることができた。
別れる直前に玲香さんの様子が少しおかしかったのが気になって尋ねてみたけど、問題はないというので無理に聞き出すのも難だと思い『困ったことがあったら相談してくださいね』と伝えたらいつもの調子で喜んでくれたので、そんなに深刻な事ではなさそうと様子見することにした。
帰宅してからは冬樹くんが今まで以上に甲斐甲斐しくお世話をしてくれようとしてくれて嬉しくなったけど、私ができることは自分でしたいので気持ちだけもらって冬樹くんは冬樹くんのことをしっかりやってほしいとお願いしたらわかってくれて、でもその時の残念そうな表情がまた愛おしくてますます好きが大きくなった。
また、高卒認定試験の結果が届いていて無事に全教科合格していたと言うことだった。冬樹くんなら大丈夫だと思っていたけど、実際にそういう結果が出てくれて嬉しいし、冬樹くんと一緒に受けていた美波からも全教科合格していたという連絡が届いたので良かったと思う。冬樹くんも美波も学校へ通いたいならそれも良いけど、別の選択肢があるというのは不安定なふたりには良い状況だと思う。
冬樹くんはお婆様に電話して私の妊娠と婚約の話をして挨拶をしに行きたい旨を伝えて、日程未定で年明けくらいまでには会いに行く方針が決まった。また、お婆様には実家の近くへ引っ越しをする際にも同意書の親権者になって欲しいとお願いしたのだけれど、お婆様からご両親へ頼みなさいと諭されて、冬樹くんもたしかにそうするべきという事で納得していた。
そんな事があってから明けた今日は1コマ目と2コマ目が講義で朝早くから動き出したけど、逆に昼過ぎに終わるのでその後に区役所へ行き妊娠に関する手続きをしてこようと思っている。
2コマ目の講義が終わって帰り支度をしていたら隣の席で同じ講義を受けていた玲香さんから声を掛けられた。
「みはるん、この後どうするの?」
「今日はもう大学での授業や用事がないので、区役所へ行って妊娠に関する手続きをしてこようと思っています」
「なるほど。たしかにそういうのやんないと駄目だもんね。
じゃあさ、アタシも今日はこれで終わりだから駅まで一緒に行かない?」
「もちろん良いですよ。
私はもう準備ができているので、準備ができたら声を掛けてください」
「え?はやっ。すぐ片付けるからちょっと待ってて!」
「別に焦らないで大丈夫ですよ。私は急いでないですから」
少し待っていると玲香さんは資料などをバッグに仕舞い終えた。
「おまたせ、じゃあ行こ」
「はい」
私たちは駅へ向かうために移動を開始した。
「津島ちゃん!」
ひとりの男性が玲香さんの名前を呼びながら近寄ってきた。
「悪い、ちょっといいか?」
「良くないです。もう帰るので、失礼します」
「じゃあ、駅までで良いから話聞いてくれ」
「アタシ、今連れが居ますし」
「あの、別に私はひとりで帰っても良いですよ」
「アタシがヤなの。せっかくみはるんと帰れるのに!」
「でも、せめてご一緒しては」
「話がわかるね、ありがとう!」
「はぁ、しょうがないか・・・一応紹介しとくね、こちらひとつ上の佐々木先輩」
「もしかして景子先輩の立ち上げた会社で働かれている佐々木先輩ですか?」
景子先輩はフルネームで加藤景子さんと言い、私と玲香さんと同じ学部の2つ上の先輩で私達が入学した時には既に学業の傍らで事業を開始していて、景子先輩が4年に上がる頃には順調に営業していて同期や後輩だけでなく既に社会人として何年も働いている人も転職してきて在籍している様な会社になっていた。私も声を掛けてもらったけれどあまりの規模と勢いに圧倒されたこともあって、お断りさせてもらった経緯もある。ちなみに、玲香さんは社員としては参加していないものの取引先みたいな繋がりがあるらしい。ただ、玲香さんから直接この件で話を聞いたことがないので本当のところはわからない。
この佐々木先輩もその会社で幹部役員として参加しているという話だけは知っていたが、実際に接したのは今が初めてになる。
「そうそう、景子さんの会社、エバーグロースで常務を務めさせてもらってます佐々木雷斗と言います。今後ともご贔屓によろしく!」
「は、はい、よろしくお願いします。あと、申し遅れましたが現在3年生の岸元美晴です」
「知ってる知ってる、岸元ちゃんは男子の間では可愛いって有名だから」
「そ、そうなのですか?」
「うんうん」
佐々木先輩と挨拶をしたところで、佐々木先輩を交え3人で駅まで話しながら向かった。
佐々木先輩からの話の内容は最近女性らしい格好をする様になった明良さんの事が気になってちゃんと話をしたいので、明良さんと仲が良い玲香さんにその間を取り持って欲しいというお願いだった。
玲香さんは佐々木先輩のことを女好きの良くない噂があるし、派手な見た目通りで女性関係がだらしない人だと思っていて、そんな人を明良さんと取り持ちたくないと突っぱねたものの、真剣な眼差しで繰り返しお願いしている。先入観がない私は玲香さんの持っている印象と今見た佐々木先輩に違和感を覚えた。
「玲香さん、私には佐々木先輩がそんな悪い人に見えないのですけど・・・噂に誤解があるかもしれないので一度ちゃんと腰を落ち着けて話を聞いてみたらどうでしょうか?」
「・・・たしかに、噂話と見た目だけで否定するのはアタシもされて嫌な思いをしたこともあるし・・・自分がされて嫌なことを先輩にしちゃってましたね・・・」
「いや、たしかに良くない噂が流布しているのは認識してるけど・・・そんなにひどいの?」
「・・・噂を聞く限りはけっこう酷い男ですよ」
「そっかぁ、津島ちゃんは付き合いがあるから、そこは斟酌してくれてると思ってたけど・・・」
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