学校の空き教室へ仕掛けた防犯カメラにマズい映像が映っていた

したらき

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第210話

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梅田香織うめだかおり 視点◆

周囲の方々の協力のお陰で期末テストは自分でも驚くくらい良い成績で終えることができました。

学力が全てではないとは言え、学校の偏差値で言えば前の学校よりも秀優しゅうゆう高校の方が高くてわたくしが転校に際して一番悩んだ点ではあったのですが、嘘みたいに順位が高く自分が一番驚いています。

良かった要因は春華はるかさんや冬樹ふゆきさんの教え方が良かったことなのですが、どうしてそれほどまでに教え上手なのかという事については岸元きしもとさんが元々勉強が苦手とのことでその岸元さんを引っ張り上げるためにお二人が小学生の頃から教え慣れていたかららしいです。

余談で、冬樹さんと春華さんおふたりのお姉さんの夏菜かな先輩も教え上手らしいですが、勉強会では受験目前で3年生同士で固まっていらっしゃったのでその教え方を目の当たりにする機会はまだ得られていません。

そういう意味では岸元さんは神坂さん達と幼馴染みで羨ましくもなります。



テスト返却もあらかた終わり、今学期・・・今年はもう授業がなく終業式を明日に控えた木曜日の朝、登校したら春華さんと岸元さんが既に教室にいらっしゃいました。


「彼氏に手作りケーキを食べてもらいたいから作るのを手伝って欲しいんだ」


「すーちゃんを手伝ってあげたいのは山々なんだけど、先約が・・・」


お隣のクラスの春原すのはらさんと田井中たいなかさんが春華さんを訪ねて来られ、春原さんがクリスマスケーキを手作りしたくてそれを手伝って欲しいとお願いしている様でしたが、春華さんは先約があると言いつつ岸元さんの方へ視線を動かしました。


「先約って岸元さん?
 ・・・申し訳ないのだけど、時間の融通をしてもらうことはできないかな?」


「わたしだけだったら春原さん達に譲っても良いのだけど・・・むしろ、ケーキ作りをするから一緒にやるのも良いのだけど・・・」


「岸元さん以外にも一緒にケーキ作りする人がいるの?
 それなら、私とよっちゃんも参加させてもらうことはできない?」


「・・・たぶんダメではないと思うけど、春原さんと田井中さんが良くないんじゃないかなぁ・・・って」


「大丈夫だよ。むしろこっちが無理言っているんだし・・・お願い!」


春原さんは岸元さんに拝み一緒にケーキ作りをさせてもらう様にお願いしていますが、岸元さんも春華さんも目が泳いでいて言葉を選んでいるようです。


「すーちゃん・・・二之宮にのみやさんも一緒だけど良い?」


春華さんは声を潜め春原さんの耳元に口を近付けて参加者について確認されていました。


「・・・うん、大丈夫・・・よっちゃんも良いよね?」


「うん、わたし達が無理言っている側だし・・・二之宮さん・・・が良いならお願いして良いと思う」


春原さんが田井中さんへ確認をし、田井中さんは二之宮さんのところだけ声量を落としてよしと返答されました。


「うん。じゃあ美波みなみちゃん、悪いんだけど二之宮さんにすーちゃんとよっちゃんも一緒で良いか確認してくれないかな?」


「良いよ。今すぐメッセージ送るね。
 大丈夫だと思うけど、先約だから春原さんと田井中さんには申し訳ないけど・・・」


春華さんから振られた岸元さんは二之宮さんに確認をお願いし、岸元さんはそれをスマホで行おうとしました。


「あっ、あの!わたくしも参加させていただけませんか!」


お菓子を含め料理の腕には自信があるものの、友達とケーキ作りをするというのは経験がないことなので羨ましいと思って見ていたのはその通りなのですが、自分でも驚くくらい唐突に口をついてお願いの言葉が出てしてしまいました。

春原さんと田井中さんはたまに春華さんを訪ねてクラスにお見えになるので転校してきてすぐ紹介していただいてましたが、わたくしからだけでなく春原さん達からしても春華さんともだちの友達というクラスすら違う他人みたいな希薄な関係ですし、二之宮さんと仰る方は存じ上げもしませんが、それでも混ぜて欲しいという思いが込み上がってしまいました。



この場にいる方達にはすぐに了承してもらい、元々春華さん達と約束されていた二之宮さんにも了解してもらえて無事に参加ができることになりました。


ケーキ作りをするのはクリスマスイブの日の土曜日に春華さんのお家で行うということで、勢い任せで参加表明してしまったためスケジュールの確認すらしていませんでしたが、幸いにも予定が何もなく『やっぱり予定が入っていました。申し訳ございません』と言わずに済み助かりました。

事務所にも直前で土曜日のこととは言えNGを入れてもらう様にお願いし、予定を確実なものとできました。



神坂かみさか春華 視点◆

「・・・ってことでさ、明後日うちでケーキ作りするが3人増えるからよろしくね」


「6人じゃ狭そうよねぇ」


「うん、だけどどうしてもクリスマスイブに手作りケーキを食べてもらいたいんだっていうからさ」


「女の子が頑張りたいところだからしょうがないわね。
 お父さんも、夏菜も良いわよね?」


「ああ、もちろん構わないよ」


フユとの関係が悪化してから仕事へ逃げてたパパも最近では休日出勤が減っていて当日も家にいるらしい。


「私もだ。部屋で大人しく受験勉強しているから、お前たちは気にせず楽しめ」


「みんなありがとう」


「しかし、美波はケーキ作りはできないし、他もみんなできないのでは大変じゃないか?」


「ううん、お姉。
 香織ちゃんは料理が得意でケーキ作りもできるんだって」


「じゃあ、なんでわざわざ・・・」


「なんかね、あたし達が楽しそうだったから混ぜて欲しかったんだって言ってた」


「なるほどな。せっかくクラスメイトになったんだし交友は深めた方が良いよな」


「うん、せっかくのクリスマスで冬休みの始まりだから目一杯楽しむよ」


「そうだ、夏菜、春華、せっかくだから言っておきたいことがある」


あたしとお姉のやり取りが途切れたところでパパが話を切り出してきた。


「なに?」


「何ですか?」


「まだ、正式に決まった話ではないんだけど、幸博ゆきひろ君がな、高校は東京こっちで進学したいそうで合格したら居候させて欲しいと言ってきているんだ」


「そっか、ユッキーは東京こっちでの進学希望なんだね」


「幸博がですか・・・叔母様がよく許しましたね」


裕香ゆうかは渋っていたみたいなんだけど、向こうのお祖父様が口添えして秀優しゅうゆうくらいの学力の学校だったらと条件を付けて、結果秀優しゅうゆう1校だけ受験して合格したら良いと言うことにしたらしい」


「そうなんだ、ユッキーが後輩になるかもしれないんだね」


従兄弟のユッキーは長野に住んでいるパパの妹に当たる裕香叔母さんの子どもで、親戚筋の中では唯一あたし達の年下で可愛い弟分にあたる。

ユッキーが小学生の頃はお正月とかお盆とか法事とかでパパの実家へ行った時など年に1~2回会っていたけど、ここ3年くらいはあたしがパパの実家へ行けない事があったり、逆にあたしが行けた時でもユッキーが来れなかったりとタイミングが合わなくて会えていない。

ユッキーはお姉やフユには礼儀正しいのにあたしにだけはけっこう砕けてて、そして生意気な態度を取っていたりもするけど、弟という存在がいないあたしにはそれでも可愛い存在で会うと構っていた・・・合格したら一緒に住むことになるし、その時はお姉さんのすごさをとくと見せ付けてやろうと思う。


「そんな話でとりあえず受験の時はうちに来るから、まずはその時に面倒を見てやって欲しい。
 夏菜も自分の受験で大変だろうが頼むな」


「もちろんです」


「そっか、受験で来るんだね。
 もちろん任せてよ、受験生のお姉の分まであたしがフォローするから」
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