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140.復活2

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 体力の回復した誠一も夜営の警戒に参加した。
まだ、完全に回復しているとは他のメンバーも
考えておらず、最後の順番でキャロリーヌと
組むことになった。
剣豪やスターリッジでは誠一の負担に
なるとの判断からであった。

 誠一の身体は冴えわたっており、
全く寝付けなかった。
ヴェルが飲ませた薬は、どうやら相当、
効果の強い精力剤だったようだ。

焚き火を絶やさないように薪を逐次、
くべる誠一だった。
対面にはキャロリーヌが所在無さげに座っていた。
彼女の白い肌が炎でほのかに紅く染まると
より煽情的な光景になった。

「んん?アル君、どうしたの?
じーっとこっちを見つめて。
後方に何か気配を感じたのかな?」

色っぽい声が誠一の脳裏を刺激した。
くそっヴェルの奴、余計な薬を飲ませやがって、
心の中で毒づく誠一だった。

キャロリーヌは立ち上がると、誠一の隣に座った。
彼女の腕が誠一の腕にぴたりと付いていた。
弓を引くその腕は、誠一が思っていたほど、
筋肉質でなかった。
彼女の髪が誠一の肩にかかっていた。
そして、彼女の人差し指が誠一の手の平を
なぞっていた。

誠一は我慢の限界を迎えていた。
彼女の右腕を掴むと、下腹部に強引に誘導した。
キャロリーヌは、抵抗することもなく右手で
誠一のアレをなぞった。

「ううっ、はぁはぁ。ああっ」

ビクン、ビクンと勢い良く放出し、
誠一は果ててしまった。
キャロリーヌは何も言わず、
そのまま、誠一にもたれ掛かった。

そして、そのまま、朝を迎えた。

身体が気だるく、誠一は朝から
ぼっーとしていた。
その横でキャロリーヌが
上手くサポートしていた。

「一旦、テルトリアに戻りますかな。
その後、向う先を決めましょう」
剣豪はそう言うと、馬車を出す様に
ラムデールに指示した。

誠一とキャロリーヌを後ろから、
眺めて、口を膨らますシエンナだった。

ヴェルは、良い雰囲気の二人を見て、
頭を悩ませていた。

「なによう、何を悩んだ振りしてるのよ!」

「いやいや、ないだろ!
アルが義理の兄貴とか!ないわー」

「はっ、どんだけ飛躍してるのよ!
ありえないでしょ!うん、ありえないはず。
ヴェル、あんたもそうなりたくないでしょ!
あの二人の雰囲気を邪魔してきなさい」

嗾けられたヴェルは、心得たとばかりに
勇んで二人の間に入ろうとしたが、
その直前で動きが固まってしまった。

「ぐううっ。この幸せオーラを
邪魔するなんて、俺にはできねー」
諦めたような表情で回り右をして、
シエンナの下へ戻って来た。

「おう、アレは無理だな。
アルもどうやらリシェーヌのことに
踏ん切りがついたのかもな」

「はっ?」

シエンナに一睨みされると、
速攻で自説をひっこめるヴェルだった。

「ふん、ヴェルに期待した私が馬鹿だったようね」
そう言い残して、二人の間に割って
入ろうとしたシエンナだった。
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