転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組！だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業？それとも社畜？誰か助けて

139.復活１

朦朧とする意識の中で誠一は
誰かの声が聞こえた。
心に直接、響く声のような気がした。
肉を潰した時に手に残ったぐちゃりとした感触、
潰れた頭から漏れ出す脳漿、
引き裂かれた肉から噴き出す血とその臭い。
連日のように続いたそれが知らぬ間に誠一の心を
蝕んでいた。

『単位を落とすぞー。留年するぞー』
嫌なことが心に響いて来た。
高校時代、地域のそこそこに優秀な高校に
進学したは良いが、玉の集まるその高校で
誠一は、輝くことが出来ず、留年すれすれであった。
卑屈と言うか捻くれていた思い出したくもない時代が
何故か走馬灯のように過ぎっていた。
「ううっ」
誠一は歯ぎしりをして、呻いた。

シエンナは心配そうに誠一の額を拭った。
拭い終わると誠一の手を取って、
必死に誠一が回復することを祈った。

「えっ」
シエンナが驚きの声をあげた。

誠一の胸に突然、アイテムが
いくつも落ち着て来た。

ヴェルやラムデールもその状況に驚いていた。
キャロリーヌ、剣豪も驚きを隠せなかった。

「おいおい、あり得ないだろ。
この状況で神の助けが入るなんて」
スターリッジは、眼前の神の奇跡を
胡散臭げに眺めていた。

突然、神より下賜されたアイテムであった。
アイテムは、今の誠一に必要な物ばかりであった。
シエンナは、アイテムの一つを持ち、
夜空に向かって掲げ、心から神へお礼を伝えた。
「ありがとうございます。ありがとうございます。
ありがたく使わせて頂きます」
シエンナは、強烈気付け薬を誠一の口に含ませた。

誠一の瞳が開いた。
「シエンナ？」

「うん、良かった。良かった。心配かけないでよね」
シエンナの涙が誠一の頬を伝っていた。

「よしっ！今度はこれだ！これでアルも完全回復だ」
ヴェルが強力精力剤Xを強引に誠一に飲ませた。
その直後、誠一がびくんびくんとエビぞりを
何度か繰り返した。
その動きにヴェルは真っ青になってしまった。

「このバカがぁーアルを殺す気なの」

「うううっ苦しい」
股間を張らせながら、苦しそうに呻く誠一だった。

シエンナは、誠一に回復薬を含ませた。
「シエンナ、ありがとう」

「ううん、良かった。それよりアル！
臭い消しをかけるから、もう少しそこで休んでいて」
誠一は下腹部の付近の膨らみに一切、
触れずにシエンナが対応してくれることに感謝した。

先端がむずむずして、湿っているが、
気付かぬ風を装ってシエンナが臭い消しを
振りまいてくれた。

しかし、ヴェルとラムデールは、
目聡くそれを見つけてしまい、
我慢できずに笑い出していた。
次の瞬間、二人は呻いて、地面に転がっていた。

キャロリーヌは二人を倒すと、
誠一へダンディーな大人の香水を振りかけた。

誠一は辛かった。
キャロリーヌとの距離が非常に近く、
彼女の甘い香りが彼を刺激した。

「ああっ」
彼は我慢できずに呻いた。

キャロリーヌの唇が彼の耳元に近づき、囁いた。
熱い吐息が彼を刺激した。
「アル君、今、相手してあげてもいいけど、
神があなたに接触しているうちに
お礼を言った方がいいよ」

そうだ、どこの輩か知らぬが、
奴に助けられたことは確かだった。
誠一は立ち上がり、頭を下げて、
心の中でお礼を伝えた。
その後、話していたが、何かしらの用事があるのか、
去っていた。