転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた

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643.神の名3

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「まあ、アルが千晴様を『さん』呼びするくらい
親しいのはいいとして。
千晴様かあ、何かめっちゃ繊細で華麗な女神様なんだろうな。
アル、おまえもしかしてご尊顔を拝したことあるのか?」

何言ってるのこいつ、糞みたいな啓示を下すプレーヤーだぞ
と誠一は心の中で呟いた。
無論、そんなことはおくびにも出さずに話を続けた。
「さあ、見たことないな。まあ、いいじゃんよ、そんなことは」

「アル、千晴様とお呼びしても失礼に当たらないかしら」
キャロリーヌまでも殊勝なことを言った。

「まあ、大丈夫じゃないかな」
まったくどいつもこいつも神という名に
惑わされやがって。
こいつは部屋に籠ってゲームで
日頃の鬱憤を晴らすような奴だぞ
と誠一は心の中で毒づいた。

「アル、もし教団を立ち上げたら、
千晴様の名を冠して、千晴教としても良いかしら」
祈り終えたシエンナが頭のおかしなことを言いだしている。
そうとしか誠一には聞こえなかった。
しかし、これが本当に実現してしまえば、
千晴が激怒してゲームから離れてしまうかもしれない。

誠一はこれだけは絶対に阻止しなければならなかった。

「シエンナ、ごめん。
千晴さんはそう目立つことを
好まない奥ゆかしい女神様なんだ。
だから、千晴教なんてもし僕らが始めたら、
恥ずかしさのあまり僕らの元から
去ってしまうかもしれない」
いやちょっと、シエンナさん、こんなことで
泣きそうな表情をされても困りますと
誠一は言いたかった。
しかし、本音を隠して誠一は別の事を伝えた。
「いや千晴さんはこの程度のことでは怒らないから。
シエンナの信心深い心にいつも感動しているし。
ははっ、教団を立ち上げる時は、
まあ、あまり目立たないようにと以前、
言付けを受けているからさ」

ほっとした表情のシエンナであった。
よく見ると、キャロリーヌやヴェルも
ほっとした表情であった。
どうもこの世界の神への信仰心に関して、
誠一はいつまでたっても慣れなかった。

「取り敢えず話を戻すと、千晴さんに害を及ぼす神を
この世界に堕とした。故に千晴さんは無事だと思うよ。
この地に堕ちた神は、大地に足を囚われて、
この世界の住人として生を全うすると思う」

「アル、それはどこに堕ちたか分からないの?」

「ごめん、シエンナ。流石にそれは分からない。
それに知ってどうするつもり?」

誠一は概ねシエンナの返答を予想できたが、念のため、聞いた。

「言うまでもなく、見つけたら殺す」

「ひっ」

予想を上回る答えとシエンナの形相と声色に
誠一は恐怖した。
そして、それに相槌を打つキャロリーヌとヴェルを見て、
更に誠一は悲鳴を追加した。
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