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世話焼き系幼馴染×我儘美人
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設定:世話焼き幼馴染×一途なのに素直じゃない美人受け
攻:中村 陽太(なかむら ようた)
受:東條 茜音(とうじょう あかね)
※自尊心高い受けくんですが、攻めの事が大好きです。
故に我儘で癇癪持ち…(笑)
===========================
"もういい、別れる"
一方的なメッセージを送りつけてからスマホの電源を切れば、真っ暗になった画面には怒りに歪んでいても美しい男の顔が映っていた。
ふんっとソファーに腰を下ろしてもこの苛立ち消えない。
そうだよ、僕は悪くない。今日も家に来るって約束を破ったのはアイツの方なのだ。立て続けに、それも残業を理由にドタキャンしてくるとはいい度胸をしている。
(バーカバーカ!!お前が僕みたいな美人と付き合える機会なんてもう一生ないんだからな!!)
――――東條 茜音。
男なのに女みたいな名前が大嫌いだった、…そんな頃もあった。
だってみんなが僕を女の子と間違えるんだ、幼稚園の頃なんか誘拐されそうになったし、電車に乗れば痴漢されるわでホントにロクな人生じゃないと嘆いた。
ま、それっくらい僕の容姿が美少女だったからしょうがないんだけどさ?
吹っ切れるまでちょっと時間はかかったけど、コツは考え方一つ変えるだけだった。
僕のカワイイは無敵のステータスで女子にも効果絶大。僕が媚を売るだけでクラスメイトだけじゃなく、先生だろうが近所のおばちゃん連中も面白いくらい僕という存在にメロメロになった。
ついには親衛隊やファンクラブが出来て、ついたあだ名が【姫王子】だ(笑)。
不細工といった悪口とは無縁の生活。さらに社会人へと成長した今じゃ、儚い美少女から美人に昇格していた。
――で、勿論?僕が凡人なんかと付き合うはずもなく、過去の恋人達はモデルやどこそこの社長の息子やお嬢様と超一流の人間ばかりだった。
(……ふん。今頃、僕が送ったメッセージを見て青くなってるんだろうな?)
――――だから陽太。アイツは、ちょっとした箸休めだ。
中村陽太、と俺は単に家が近くて県外に引っ越してからも付き合いのある幼馴染だった。
今までの恋人に比べれば、花はなく仕事も中小企業に勤める営業サラリーマン。まぁパッとしない外見に、薄給だからデート服はMNIQLOに古着とかで…100歩譲ってそれはいいとしても、酷いときは寝癖頭のまま外出してくるような適当野郎なのだ。
(いや、マジでどうして僕はあんな男と付き合ったんだ!?)
自分でもビックリだ。
けど……去年のクリスマスに陽太が顔を真っ赤にして、ど~~~~しても付き合ってほしいとか言うからさぁ、幼馴染のよしみでオッケーしてやったんだ。
(なのに、あの男ときたら…っ!!)
わなわなと、信じられない怒りで震えそうだ。
先月も研修に出張!!今日だって同じ理由だ。繁忙期なんだか知らないけど結局残業で忙しいって、今月に入って二回目のドタキャンとかあんまりだろ!?
引く手あまたの僕が、気まぐれとはいえ告白をオッケーした相手に振り回されるなんて冗談じゃない!
「せっかく用意したのに。馬鹿陽太…」
ちらっと見たテーブルの上には出前で頼んだ、ちょっとした名店の料理が並んでいた。
仕事忙しいっていうから、普段食べられなさそうなAランクの和牛ステーキもあったのに…。
「もう!!なんなんだよ、くっそ!!」
陽太の好物を用意して、シャンパンだって陽太が飲んでみたいからって言うから買っただけだってのに…、これじゃ僕の方が会いたかったみたいじゃんか!?
アイツは結局僕なんてどうでもいいってのに、…鈍感平凡、にぶちん、ムッツリ性欲お化け!
うりゅっと目の奥が熱くなったのを堪えた。
「~~~~もおおぉお!!めそめそすんな僕らしくない!!お互いにとって友達の方が都合いいんならこれが最適解だろ!?」
こうなったらヤケ酒だ!!!!
もう別れたんだ、知るもんか!僕を蔑ろにしたアイツが悪い!!
何度も何度も心で恨み言を言った。
アイツのために買った酒でヤケ酒にしたあとは、ぐぅーっとソファーで眠りに落ちた。
・ ・
『茜音って、案外子供っぽいんだ』
『かわいいんだけど、俺は守ってやりたい感じがいいかな』
……皆に言われたから知ってるよ。僕の自尊心が高くて可愛げのない性格が、やっぱ陽太も嫌だったんだろ?
(それとも好きな人ができたのかな…)
アイツは確かに冴えない平凡だ。だけどそれを言っていいのは僕だけだろ…。
昔っから陽太は『パッとしない残念形』『なんで姫王子の隣にいるんだ?』と言われてたけどさ、僕が隣にいるだけで大抵の人間の存在は霞むんだもん。
陽太は僕の幼馴染だったこともあって、とくに親衛隊の連中には嫌われて真っ先に嫉まれてた。
だけど陽太は――――――――……。
やっぱり付き合ったのは失敗だった。
別れるくらいなら付き合う前の方が気楽だった、もっと気楽に会えていたのに…
『あか…あかね、おきて…』
――――なに?陽太の、声??
ちょっと低いけど… 幼い頃から聞き慣れた声は心地よくて、うんっと身を捩った。
「コラ。聞こえてんだろ?起きろって」
いやだよ、起きたくない。放置したお前が悪いんだ
それに起きてしまったら―――…
【ボクのこと、大事じゃないくせに…】
「おい、いい加減にしろよ」
「――――ふぇ!?」
へ!?と目を開けたら真顔の陽太がいた。
それも慌ててきたのかスーツはよれよれで、髪の毛だって跳ねまくってる。
「えっ…なんで!?今日はこれないんじゃ…??」
「馬鹿野郎。恋人から不穏な連絡きたら抜け出すに決まってんだろ?もーーなんなの、ほんと心臓止まると思ったじゃん…」
はぁ~~~~っとソファーの前で深くうなだれてから、んじっと恨めし気に陽太は俺を睨んでくる。
な、なに!?その拗ねたみたいな目は!?
「茜音が言ったんだろ?当分会いたくないし、セックスもしたくないって」
「い、言ったけど……もう随分経ってるじゃん」
「うん。だから昨日改めてセックスもしたいってLIMEしたろ?そしたら茜音がさ、『無理に来なくていい』って返信してくるからさ…。ぶっちゃけショックだったし、避けられてると思った」
「はぁ??あれのどこが!?前まではくんなつっても家来てたじゃん!?」
「いつの話してんだよ、それはガキん頃の話だろ?」
なんだよそれ!?
お前がヘンな気遣いするからややこしくなったんだろ!?陽太のくせに!
「それとも、ま~~た過去の経験と俺を比べてるわけ?すいませんねぇ気が利かない上にイケメンでも美女でもなくて」
「ばっ、ばっか!そんなこと言ってないじゃん!!」
第一、比べるにしても今まで付き合ってきた恋人とは「今夜はセックスしよう」なんて事前に約束したことなんかない。
もしもお前が来たらさ、仕事上がりの陽太がうちで風呂に入って、ご飯食べて酒を飲んでる最中もずっと僕は……"そろそろ誘われる?"なんて、陽太の指の動きまで気にして心臓をドキドキさせるハメになったんだ。
―――そんなのとんだ羞恥プレイだ、寿命が縮む!!
「僕は、お前みたいに飢えてないのっ」
「へぇ?俺の好物や酒まで用意しといて?」
「それは…そのっ、・…」
「冗談じゃない。これで別れる理由とか絶対納得しないかんな?」
ピリピリとした雰囲気で陽太が不機嫌なことくらい分かってた。だけど僕にも言い分くらい、ある。
「最初にっ、うざいとか会いたくないって言ったのは……僕がいやだって言ってるのに、ベタベタしてくる陽太のせいじゃん!僕はスキンシップとか好きじゃないのに、おっ…、お前がいっつもヘンに緊張させるから…!今だって心底面倒くさいって思ってんだろ!?別れたいって願ってるのは僕じゃなくて、お前の方なんじゃ」
「茜音」
「最後のはダメ。言い過ぎだ」
「……っ」
あまりの低い声と真顔に、最後まで言えなかったどころか息さえ詰まった。
な、なんだよ…。いつもの売り言葉に買い言葉なのにそんなに怒んなくたっていいじゃん…!
ココは自分んちなのにあまりの居心地の悪さに投げ出したくなった。
「ごめんね、は?」
「……っ、ご、ごめんなさい…」
「俺達、別れた?」
別れてない、と小さく首を左右に振った。
僕だって別れたいと本気で思ってたわけじゃない。
自分勝手なのもわかってるけどさ、ほったらかしてドタキャンされるとか、寂しい…
「ごめん。俺もごめん。怖い声出してビビらせた」
「………」
「会いたかったよ、茜音」
「………うん、」
ゆっくりソファーから立ち上がると、ぽすっと陽太の胸に体を預けた。
そして小さく、俺も。と呟いた。
「んふふ。茜音はデレ方が特殊すぎるよ」
下品な笑い方だし、いちいちムードを壊すヤツだなぁ?
そもそも僕に告白してきたのはお前の方だろ!?
「大事にしてよ…」
「勿論。でも、二度言うなよ?冗談でも別れる心臓に悪りぃから」
「分かった、もう言わない」
「……ん。よろしく頼むわ」
「てか言わないと、僕に構ってくんないの?」
「ん?」
「……この部屋ちょっと寒い。汗臭い陽太と一緒にベッド入るのは嫌だけど…、たまにはいいよ」
ハイハイ、お姫様。
丁寧に僕を抱き上げる腕。
みんな陽太を地味だって言うけど、知らない、みんな知らないんだ。
「啼かせすぎたらゴメン」。
―――――――――――――――
あとがき
この後、内心不機嫌マックスな攻に上も下もヨシヨシされて、「もういいから!早くしてよ!」と自分から誘う受けの茜音くん。
陽太くんにすきすき、すき…しかないのに素直になれなくて、そんな超美人の幼馴染受けに『俺のこと好きすぎる』て浸る攻め。
ちなみ茜音くんは陽太くんが県外に出ると知って追いかけてきたし、陽太くんはそれを知っててタイミングみながら告白した(茜音くんが自分がしてくることがないのは知ってた)。
攻:中村 陽太(なかむら ようた)
受:東條 茜音(とうじょう あかね)
※自尊心高い受けくんですが、攻めの事が大好きです。
故に我儘で癇癪持ち…(笑)
===========================
"もういい、別れる"
一方的なメッセージを送りつけてからスマホの電源を切れば、真っ暗になった画面には怒りに歪んでいても美しい男の顔が映っていた。
ふんっとソファーに腰を下ろしてもこの苛立ち消えない。
そうだよ、僕は悪くない。今日も家に来るって約束を破ったのはアイツの方なのだ。立て続けに、それも残業を理由にドタキャンしてくるとはいい度胸をしている。
(バーカバーカ!!お前が僕みたいな美人と付き合える機会なんてもう一生ないんだからな!!)
――――東條 茜音。
男なのに女みたいな名前が大嫌いだった、…そんな頃もあった。
だってみんなが僕を女の子と間違えるんだ、幼稚園の頃なんか誘拐されそうになったし、電車に乗れば痴漢されるわでホントにロクな人生じゃないと嘆いた。
ま、それっくらい僕の容姿が美少女だったからしょうがないんだけどさ?
吹っ切れるまでちょっと時間はかかったけど、コツは考え方一つ変えるだけだった。
僕のカワイイは無敵のステータスで女子にも効果絶大。僕が媚を売るだけでクラスメイトだけじゃなく、先生だろうが近所のおばちゃん連中も面白いくらい僕という存在にメロメロになった。
ついには親衛隊やファンクラブが出来て、ついたあだ名が【姫王子】だ(笑)。
不細工といった悪口とは無縁の生活。さらに社会人へと成長した今じゃ、儚い美少女から美人に昇格していた。
――で、勿論?僕が凡人なんかと付き合うはずもなく、過去の恋人達はモデルやどこそこの社長の息子やお嬢様と超一流の人間ばかりだった。
(……ふん。今頃、僕が送ったメッセージを見て青くなってるんだろうな?)
――――だから陽太。アイツは、ちょっとした箸休めだ。
中村陽太、と俺は単に家が近くて県外に引っ越してからも付き合いのある幼馴染だった。
今までの恋人に比べれば、花はなく仕事も中小企業に勤める営業サラリーマン。まぁパッとしない外見に、薄給だからデート服はMNIQLOに古着とかで…100歩譲ってそれはいいとしても、酷いときは寝癖頭のまま外出してくるような適当野郎なのだ。
(いや、マジでどうして僕はあんな男と付き合ったんだ!?)
自分でもビックリだ。
けど……去年のクリスマスに陽太が顔を真っ赤にして、ど~~~~しても付き合ってほしいとか言うからさぁ、幼馴染のよしみでオッケーしてやったんだ。
(なのに、あの男ときたら…っ!!)
わなわなと、信じられない怒りで震えそうだ。
先月も研修に出張!!今日だって同じ理由だ。繁忙期なんだか知らないけど結局残業で忙しいって、今月に入って二回目のドタキャンとかあんまりだろ!?
引く手あまたの僕が、気まぐれとはいえ告白をオッケーした相手に振り回されるなんて冗談じゃない!
「せっかく用意したのに。馬鹿陽太…」
ちらっと見たテーブルの上には出前で頼んだ、ちょっとした名店の料理が並んでいた。
仕事忙しいっていうから、普段食べられなさそうなAランクの和牛ステーキもあったのに…。
「もう!!なんなんだよ、くっそ!!」
陽太の好物を用意して、シャンパンだって陽太が飲んでみたいからって言うから買っただけだってのに…、これじゃ僕の方が会いたかったみたいじゃんか!?
アイツは結局僕なんてどうでもいいってのに、…鈍感平凡、にぶちん、ムッツリ性欲お化け!
うりゅっと目の奥が熱くなったのを堪えた。
「~~~~もおおぉお!!めそめそすんな僕らしくない!!お互いにとって友達の方が都合いいんならこれが最適解だろ!?」
こうなったらヤケ酒だ!!!!
もう別れたんだ、知るもんか!僕を蔑ろにしたアイツが悪い!!
何度も何度も心で恨み言を言った。
アイツのために買った酒でヤケ酒にしたあとは、ぐぅーっとソファーで眠りに落ちた。
・ ・
『茜音って、案外子供っぽいんだ』
『かわいいんだけど、俺は守ってやりたい感じがいいかな』
……皆に言われたから知ってるよ。僕の自尊心が高くて可愛げのない性格が、やっぱ陽太も嫌だったんだろ?
(それとも好きな人ができたのかな…)
アイツは確かに冴えない平凡だ。だけどそれを言っていいのは僕だけだろ…。
昔っから陽太は『パッとしない残念形』『なんで姫王子の隣にいるんだ?』と言われてたけどさ、僕が隣にいるだけで大抵の人間の存在は霞むんだもん。
陽太は僕の幼馴染だったこともあって、とくに親衛隊の連中には嫌われて真っ先に嫉まれてた。
だけど陽太は――――――――……。
やっぱり付き合ったのは失敗だった。
別れるくらいなら付き合う前の方が気楽だった、もっと気楽に会えていたのに…
『あか…あかね、おきて…』
――――なに?陽太の、声??
ちょっと低いけど… 幼い頃から聞き慣れた声は心地よくて、うんっと身を捩った。
「コラ。聞こえてんだろ?起きろって」
いやだよ、起きたくない。放置したお前が悪いんだ
それに起きてしまったら―――…
【ボクのこと、大事じゃないくせに…】
「おい、いい加減にしろよ」
「――――ふぇ!?」
へ!?と目を開けたら真顔の陽太がいた。
それも慌ててきたのかスーツはよれよれで、髪の毛だって跳ねまくってる。
「えっ…なんで!?今日はこれないんじゃ…??」
「馬鹿野郎。恋人から不穏な連絡きたら抜け出すに決まってんだろ?もーーなんなの、ほんと心臓止まると思ったじゃん…」
はぁ~~~~っとソファーの前で深くうなだれてから、んじっと恨めし気に陽太は俺を睨んでくる。
な、なに!?その拗ねたみたいな目は!?
「茜音が言ったんだろ?当分会いたくないし、セックスもしたくないって」
「い、言ったけど……もう随分経ってるじゃん」
「うん。だから昨日改めてセックスもしたいってLIMEしたろ?そしたら茜音がさ、『無理に来なくていい』って返信してくるからさ…。ぶっちゃけショックだったし、避けられてると思った」
「はぁ??あれのどこが!?前まではくんなつっても家来てたじゃん!?」
「いつの話してんだよ、それはガキん頃の話だろ?」
なんだよそれ!?
お前がヘンな気遣いするからややこしくなったんだろ!?陽太のくせに!
「それとも、ま~~た過去の経験と俺を比べてるわけ?すいませんねぇ気が利かない上にイケメンでも美女でもなくて」
「ばっ、ばっか!そんなこと言ってないじゃん!!」
第一、比べるにしても今まで付き合ってきた恋人とは「今夜はセックスしよう」なんて事前に約束したことなんかない。
もしもお前が来たらさ、仕事上がりの陽太がうちで風呂に入って、ご飯食べて酒を飲んでる最中もずっと僕は……"そろそろ誘われる?"なんて、陽太の指の動きまで気にして心臓をドキドキさせるハメになったんだ。
―――そんなのとんだ羞恥プレイだ、寿命が縮む!!
「僕は、お前みたいに飢えてないのっ」
「へぇ?俺の好物や酒まで用意しといて?」
「それは…そのっ、・…」
「冗談じゃない。これで別れる理由とか絶対納得しないかんな?」
ピリピリとした雰囲気で陽太が不機嫌なことくらい分かってた。だけど僕にも言い分くらい、ある。
「最初にっ、うざいとか会いたくないって言ったのは……僕がいやだって言ってるのに、ベタベタしてくる陽太のせいじゃん!僕はスキンシップとか好きじゃないのに、おっ…、お前がいっつもヘンに緊張させるから…!今だって心底面倒くさいって思ってんだろ!?別れたいって願ってるのは僕じゃなくて、お前の方なんじゃ」
「茜音」
「最後のはダメ。言い過ぎだ」
「……っ」
あまりの低い声と真顔に、最後まで言えなかったどころか息さえ詰まった。
な、なんだよ…。いつもの売り言葉に買い言葉なのにそんなに怒んなくたっていいじゃん…!
ココは自分んちなのにあまりの居心地の悪さに投げ出したくなった。
「ごめんね、は?」
「……っ、ご、ごめんなさい…」
「俺達、別れた?」
別れてない、と小さく首を左右に振った。
僕だって別れたいと本気で思ってたわけじゃない。
自分勝手なのもわかってるけどさ、ほったらかしてドタキャンされるとか、寂しい…
「ごめん。俺もごめん。怖い声出してビビらせた」
「………」
「会いたかったよ、茜音」
「………うん、」
ゆっくりソファーから立ち上がると、ぽすっと陽太の胸に体を預けた。
そして小さく、俺も。と呟いた。
「んふふ。茜音はデレ方が特殊すぎるよ」
下品な笑い方だし、いちいちムードを壊すヤツだなぁ?
そもそも僕に告白してきたのはお前の方だろ!?
「大事にしてよ…」
「勿論。でも、二度言うなよ?冗談でも別れる心臓に悪りぃから」
「分かった、もう言わない」
「……ん。よろしく頼むわ」
「てか言わないと、僕に構ってくんないの?」
「ん?」
「……この部屋ちょっと寒い。汗臭い陽太と一緒にベッド入るのは嫌だけど…、たまにはいいよ」
ハイハイ、お姫様。
丁寧に僕を抱き上げる腕。
みんな陽太を地味だって言うけど、知らない、みんな知らないんだ。
「啼かせすぎたらゴメン」。
―――――――――――――――
あとがき
この後、内心不機嫌マックスな攻に上も下もヨシヨシされて、「もういいから!早くしてよ!」と自分から誘う受けの茜音くん。
陽太くんにすきすき、すき…しかないのに素直になれなくて、そんな超美人の幼馴染受けに『俺のこと好きすぎる』て浸る攻め。
ちなみ茜音くんは陽太くんが県外に出ると知って追いかけてきたし、陽太くんはそれを知っててタイミングみながら告白した(茜音くんが自分がしてくることがないのは知ってた)。
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