塔を目指す冒険

阿波野治

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 今回購入したのはゲームソフトで、タイトルは『塔』。気に入った作品を飽きるほどやり込むという形で愛する朔也にとって、約二か月ぶりに買ったソフトになる。

『塔』の舞台は中世ヨーロッパ風の王国。平穏な町にある日突然、天を摩する巨大な石塔が一夜にして築き上げられた。頂上には宝が眠ると噂されているが、内部には数多の強力なモンスターが棲息し、複雑な仕掛けや罠が張り巡らされている。プレイヤーは一攫千金を狙う冒険者となって、遥かなる塔の頂を目指す。
 最大の特徴は、プレイヤーは「塔」側に回って、モンスターや罠を創造し、配置する役目も担えることだろう。さらにはモンスターや罠は配置、時間経過と共にランダムに性質を変容させるため、プレイヤーが想定していない環境が築き上げられていくという。

 グラフィックは美しく、作品紹介のムービーを眺めているだけでも冒険心をかき立てられた。やり込み要素がたくさん用意されているというのは、彼のプレイスタイルに合致している。ちょうどサーフィンがモチーフのアクションゲームにも飽きてきた頃合いだ。ひきこもりのニートながらも、姉から小遣いを貰い続けているから、購入資金には困らない。『塔』の存在を知った半時間後には早くも注文手続きを完了していた。
 気楽だが、変化に乏しい日々を送る朔也にとって、『塔』は小さな太陽も同然だった。遊べる日が待ち遠しかった。自覚はしなかったが、輝夜に対する言葉づかいが多少柔らかくなりさえした。



 注文から五日後、実質よりも二倍も三倍も長く感じられる五日間を経て、待望していた商品が届いた。
 受け取り役を担った輝夜が、商品を部屋まで届けにきたさいに余計な詮索をしてきたが、にべもなく追い払ってさっそく『塔』で遊びはじめた。

 たちまち魅了された。ストーリー、グラフィック、操作性、世界観、全てが期待を裏切らなかった。チュートリアルの時点で、早くも鳥肌が立つような面白さで、長く深い付き合いになると予感した。
 最初は冒険者として「塔」に乗り込んだが、思うようにコツを掴めず、なかなか上階に進めない。そこで、ものは試しと「塔」側に回ったところ、その自由度の高さに舌を巻くとともに、時間を忘れた。
 それからは、いかにすれば冒険者を邪魔できるかを探求することに時間を費やした。
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