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「住友さん、数日前に僕に対して、『由佳の秘密を教えて』って言ったよね。強い口調で、教えてくれるまでは僕と話をしたくないって」
「うん、言ったよ。たしかに言った」
「その夜に、由佳に言われたんだ。住友さんか由佳、どちらか一人を選べって。僕が由佳のことを黙っているのは、誰にも言いたくないからだ。それを尊重しないような人間とは、絶交するべき。それが嫌なら、由佳とすっぱり縁を切って、住友さんとだけ付き合うようにすればいいって」
「由佳がそう言ったということは――」
「僕がそう思っているということ。どちらか一人を選ぶほうが楽だと、心の底では思っているからこそ、もう一人の僕である由佳がそう言ったわけだね。でも、僕は由佳の意見には賛同できないよ。首を縦には振れない」
「え……」
「僕は今まで、由佳が言うことは僕の本心なんだ、だからそちらを選んだほうが上手くいくって、思いこんでいた。信じきっていた。
だけど、今回に関していえば、それは違うんじゃないかって思う。邪魔だから遠ざける、不都合だから遠ざかるっていうのは、違うんじゃないかって。
だって何度考えても、由佳も住友さんも、僕にとって同じくらい大切な存在だから。
優劣をつけてどちらか一方を斬り捨てるなんて、僕にはできないよ」
魂が高ぶって、頬が紅潮したのを感じた。しかし、想像していたよりもずっと心は落ち着いている。
「私が、大切……」
無意識にこぼれたような住友さんのつぶやき。僕から外れた視線が、一秒にも満たない短い時間を挟んで、再び僕の顔へと注がれた。
「そう、大切だよ。僕は住友さんのことが大切だって思ってる」
眼差しに応えて、僕は深くうなずく。
「昼休みにお弁当をいっしょに食べたり、休日にいっしょに出かけたり。住友さんにとってみれば、僕と行動をともにするくらい、なんでもないことなのかもしれない。だけど、幼いころから友だちがいたことがなくて、積極的には作ろうとしなくて、そのくせさびしがりで……。由佳という存在を創り出すくらいに人との交流に飢えていた僕には、とても刺激的で、楽しくて、胸がときめくような時間だった。
住友さんの目的は他にあったわけだけど、僕もそれはわかっていたんだけど、それでもうれしかった。僕のために時間を使ってくれてありがとうっていう、感謝の気持ちでいっぱいだよ」
僕はほほ笑む。笑うべき場面で、なにかに邪魔されて顔を綻ばせるのをためらっている人に、笑っても大丈夫だと伝えるように。こんなふうに笑えばいいよと、お手本を見せるように。
「僕が住友さんに由佳の秘密について話すことに決めたのは、住友さんが僕にとって大切な人だって気がついたからだよ。
どんな反応が返ってくるのか、怖い気持ちは当然あった。それがきっかけで、築き上げてきた関係が壊れたらどうしようっていう、不安もあった。だけど、それでも言うべきだって思ったんだ。大切な人だからこそ隠しごとは抜きにしたかったし、言いづらいことも正直に言うことで、もっと仲よくなれると思ったから。
住友さんだって、僕と同じように考えたからこそ、友だち付き合いが苦痛だって僕に打ち明けてくれたんでしょ?」
「うん、言ったよ。たしかに言った」
「その夜に、由佳に言われたんだ。住友さんか由佳、どちらか一人を選べって。僕が由佳のことを黙っているのは、誰にも言いたくないからだ。それを尊重しないような人間とは、絶交するべき。それが嫌なら、由佳とすっぱり縁を切って、住友さんとだけ付き合うようにすればいいって」
「由佳がそう言ったということは――」
「僕がそう思っているということ。どちらか一人を選ぶほうが楽だと、心の底では思っているからこそ、もう一人の僕である由佳がそう言ったわけだね。でも、僕は由佳の意見には賛同できないよ。首を縦には振れない」
「え……」
「僕は今まで、由佳が言うことは僕の本心なんだ、だからそちらを選んだほうが上手くいくって、思いこんでいた。信じきっていた。
だけど、今回に関していえば、それは違うんじゃないかって思う。邪魔だから遠ざける、不都合だから遠ざかるっていうのは、違うんじゃないかって。
だって何度考えても、由佳も住友さんも、僕にとって同じくらい大切な存在だから。
優劣をつけてどちらか一方を斬り捨てるなんて、僕にはできないよ」
魂が高ぶって、頬が紅潮したのを感じた。しかし、想像していたよりもずっと心は落ち着いている。
「私が、大切……」
無意識にこぼれたような住友さんのつぶやき。僕から外れた視線が、一秒にも満たない短い時間を挟んで、再び僕の顔へと注がれた。
「そう、大切だよ。僕は住友さんのことが大切だって思ってる」
眼差しに応えて、僕は深くうなずく。
「昼休みにお弁当をいっしょに食べたり、休日にいっしょに出かけたり。住友さんにとってみれば、僕と行動をともにするくらい、なんでもないことなのかもしれない。だけど、幼いころから友だちがいたことがなくて、積極的には作ろうとしなくて、そのくせさびしがりで……。由佳という存在を創り出すくらいに人との交流に飢えていた僕には、とても刺激的で、楽しくて、胸がときめくような時間だった。
住友さんの目的は他にあったわけだけど、僕もそれはわかっていたんだけど、それでもうれしかった。僕のために時間を使ってくれてありがとうっていう、感謝の気持ちでいっぱいだよ」
僕はほほ笑む。笑うべき場面で、なにかに邪魔されて顔を綻ばせるのをためらっている人に、笑っても大丈夫だと伝えるように。こんなふうに笑えばいいよと、お手本を見せるように。
「僕が住友さんに由佳の秘密について話すことに決めたのは、住友さんが僕にとって大切な人だって気がついたからだよ。
どんな反応が返ってくるのか、怖い気持ちは当然あった。それがきっかけで、築き上げてきた関係が壊れたらどうしようっていう、不安もあった。だけど、それでも言うべきだって思ったんだ。大切な人だからこそ隠しごとは抜きにしたかったし、言いづらいことも正直に言うことで、もっと仲よくなれると思ったから。
住友さんだって、僕と同じように考えたからこそ、友だち付き合いが苦痛だって僕に打ち明けてくれたんでしょ?」
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