ずっとしたかった異世界転生!その夢叶いました

伏目 もももん

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一章 幼少期

獣人の国で

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ここは獣人の国だ。昔の戦争のせいで俺たち獣人は人間に恐れられている。まぁ、人間は非力だ。俺たちの見た目も怖がられる原因か・・・

(ぐすっ、ひっく!ひっく!)

!泣き声だ。・・・子供か?

 ガサガサ、ガサッ・・・!人間の子供!いくら人間の国境が近い森とはいえ、なぜ人間の子供がここに?っもしかして、捨てられたのか?汚れてはいるものの、綺麗な服を着ている。おそらく貴族だったのだろう。

「・・・大丈夫か?」

「・・・・・」
 怖がられてしまっただろうか・・・

「・・・だれ?」
 少女は不安そうに呟いた。その鈴のような澄んだ声に驚き、まじまじと少女の姿を見て、俺は息を飲んだ。

 辺りは暗闇に包まれているのにも関わらず、月のわずかな光を反射させ輝く美しい銀髪、見る角度によって色合いをかえる青い瞳。涙に濡れた瞳は深い海を連想させ、見つめていると吸い込まれるような感覚に陥る。

(・・・あぁ、美しいとはこういうものなのだな。今はまだ子供らしいが、成長したらそれは美しい女性になるだろう。)

 パッと見ると、美しさ故にどこか冷たい雰囲気に見れる少女だ。笑ったらとても可愛いのだろう。少女はまだ俺を不安そうな顔で見つめている。

「大丈夫だ。危害を加えるつもりはない。」

 すると、安心したのか少女は・・・
ぎゅ・・・

 !!手を!俺のことが怖くないのか?とりあえず仲間のいる陣営に戻ろう・・・



「お!おかえり~ってどうしたんだその子!?人間の子供じゃねぇか!!」

「・・・それが、森に捨てられいた。」

「はっ?森に・・・?」

「おそらく貴族だろうが・・・権力争いに巻き込まれたのだろう。人間の国に帰したとしても、殺されるのが落ちだろう」

「っ、酷いことしやがる・・・まだこんな小さな子供だぞ!」

「あぁ。本当にな」

 そういえば、ずっと静かだな・・・あぁ、寝てしまったのか。この子は見た感じだと三歳くらいか?

「そういえばその子、お前見た瞬間泣かなかったのか?」

「いや、泣かなかったな。俺も驚いた。」

「へぇー!変わった子供だな。ふつービビッて泣くのに。つーかどうするわけ?その子」

「・・・俺達が住んでる寄宿舎で暮らせさせることは出来るだろうか?」

「はぁ~!?本気なのかよ?まぁ、俺は賛成かな!可愛いし!!」

 とりあえず、騎士団長に聞いてみよう。

「団長に聞いてくる。」

「おう!いってら~」

│││││││││││││││││││││
「・・・あの、団長。ちょっとお話があるのですが。」

「お!ルイドか。どうした?」

「それが、森に捨てられた人間の子供を拾ったのですが・・・うちの寄宿舎で暮らせさせることはできませんか?」

「・・・いきなり話がぶっ飛びすぎだ馬鹿!・・・詳しく教えろ。」

「!・・・はい!」




「はぁ~。短くまとめると、お前が森を散策していたらその子が泣いていたってことでいいのか?」

「はい。そうです。」

「んで、お前はその子をうちの寄宿舎で暮らせさせたいと。」

「・・・はい。駄目でしょうか?」

「あぁ~もう。そんな顔すんなや。俺ぁ駄目なんて一言も言ってないだろ?」

「それじゃあ!」

「あぁ。俺は別に良いと思うぜ。むしろそんな小さい子供を森に置いていけるわけねぇだろ。だが、住んでるあいつらがなんて言うかわからんけどな。」

「ありがうごさいます!」

・・・あいつがここまで必死になるのは珍しいな。なんか楽しくなりそうだな!
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