ずっとしたかった異世界転生!その夢叶いました

伏目 もももん

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一章 幼少期

獣人の町

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今日はルイド達に連れられて、獣人の町に行くことになった。周りは屋台やお店で溢れかえっており、活気に満ち溢れている。
 ちなみに、今のティナはフードをかぶり人間だと分からないようにしている。いくら子供でも、人間がいるとしれば町がパニックになる可能性があるからだ。


「うわぁぁあ!すっご~い!」
(なんじゃこりゃあ!!ケモミミがいっぱいいる!町並みも、ザ・異世界って感じだ!!)
 初めて町にきたティナはキョロキョロと周りを見渡す。

「すげーだろ!俺らの育った町は!」
 自慢げにそう告げるカイ。

「うん!すごい!!」
(見てて新鮮なものばかり!色んなお店を見てみたいな!)

「おや、可愛らしいお嬢ちゃんだこと!ほれ、うちの串肉は旨いよ。食べてみな!」
 そう言って、熊の獣人だろう。串肉屋のおばさんがティナに串肉を差し出す。

「ありがとう!!」
 そう言い、串肉をもらいかぶりついた。

(何これっ、噛んだ瞬間肉がほぐれて、噛めば噛むほど肉汁が溢れてくる!外はカリッと、中はジューシー!ピリッと辛いソースも絶妙だ~!!)

「はふぅ~、おいしいっ!!」
 思わず大きな声を出してしまった。

「あっ、ごめんなさい・・・」
 大きな声を出してしまい、恥ずかしくなったティナはうつむく。

「ハハハ!いいのいいの!!美味しいって言ってもらっておばちゃんも嬉しいよ。ん?そう言えば隣にいるのカイ坊たちかい?」

「よ!おばあちゃん久しぶり!!」

「・・・お久しぶりです。」

「そう言えば久しぶりですねぇ。ここに来るの。」

 カイ達はそれぞれ挨拶をする。

「あぁ、久しぶり。所で、何でこの嬢ちゃんと一緒にいるんだい?」

「んー、色々あってうちの寄宿舎で保護してるんだ。」
目をそらし気まずそうに告げるカイ。

「そうなのかい。・・・何か訳ありって感じだね。他の奴には言わないでおくよ。」

「助かる!さすがおばあちゃんだな!!」

「お世辞はいいから串肉買っていっておくれ!」

「もちろんだ!三十本くれ!!」

「毎度あり!」
 そうして串肉を買ったカイ達は屋台を離れたのであった。




│││││││││││││││││││││



「あぁ~、ティナちゃんはなに着ても可愛いわぁ!あら、そっちの服もいいわねぇ!あなたそこの服持ってきて!!」

「確かによく似合いそうだ!今持っていくよ。」




 ・・・ティナは着せ替え人形となっていた。さかのぼること三十分前。





「なぁ、これから何するんだ?」

「う~ん、することなくなっちやったねぇ。」

「・・・ティナに洋服を買うのはどうだろうか。」

「おお!ナイスアイデア!!確か子供用の服売ってる所あったよな。」

「うん。ここを真っ直ぐ行った突き当たりだったはずたよ。」

(洋服かぁ。確かにこの服もへたってきたし、ちょうど良かったかも。)
 ティナは寄宿舎で過ごすさいに、森にいたときの豪華な服を着ておく訳にもいかず、リオンの古着を貰っていたのだ。その服を着たとき、リオンが「なっなんだろうこのきもち。ティナがぼくのふくをきてるのみてたらドキドキしてきた!」とかなんとか言っていたが今はスルーするとしよう。


 そんなこんなで、今は洋服屋にきている。洋服屋の名前は『ルウベルジュ』この世界で「美しい人」という意味らしい。ここの洋服屋は夫婦で経営していて、二人の間にはティナとより一歳年上の娘もいる。なかなか繁盛しているらしい。




カランコロン♪
「いらっしゃい。」「いらっしゃいませ~!」

 
 パタパタと奥から出てきたのは二十歳位の男女だった。


「あれ、久しぶりだなカイ、ルイド、ヒュース。」
 そう言って出てきたのは旦那のフォーカスだ。フォーカスは主に店の管理をしている。

「本当にねぇ~!何か必要な服があるなら見立てるけど。」
  そう言っていきたのは妻のセリカ。セリカは主に洋服を作っている。しかし、ここの洋服は夫婦でアイデアをだしあって作っているものがほとんどなので、二人の作った服と言ってもいいだろう。

「久しぶり!この子の服を用意してくれないか?」

「可愛らしい顔ねぇ!任せて~!張り切っちゃうわよ!!さぁ、フードをとって!」

「あっ」
 ティナはフードをとられてしまった。

「えっ、この子は人間だったの!?」

「・・・あぁ。訳あってうちの寄宿舎で過ごさせている。」

「できればあまり広めないでほしいなぁ~」

「はぁ。私達にこうも簡単にバラすってことは、私達を信用してくれてるってことでしょ。そう簡単に信用を無くすようなことしないわ!」

「あぁ。信用は商売を仕事にしているものたちが唯一金で買えない物だからね。」
 この会話で夫婦二人がとても優しい人だとわかる。

「じゃ、話はここまでにして~、さぁ!お着替え開始よ!!」

 ・・・そして、今にいたる。

「おいおい、そんなあってもかえねぇーって!」
 カイが積み上げられた洋服の量をみて、焦ってそう言う。

「は!楽しくてつい!!」
 

やっと着せ替えから解放されたティナはもうヘトヘトだ。そして積み上げられた洋服から気に入ったものを何枚か選び、店を出たのだった。





│││││││││││││││││││││





(今日獣人の人達とふれたけど、いい人ばかりだったな。)
 ヒュースの話によると、獣人は仲間意識が強く、一度仲間と認めたものを簡単に裏切らないそうだ。そんなことを考えながら布団に入った。
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