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一章 幼少期
初めての友達
しおりを挟むそんなことがあった次の日、ティナは鏡の前に立っていた。
(今日はルイドさんの子供に会える日だ!!どんな子なんだろ~!同い年の男の子って言ってたよね? ちびっ子黒豹が見れる!ふふふふっ!)
今日はティナが待ちに待ったルイドの子供と会う日で、いつもよりテンションが高めなのである。昨日の落ち込みはどこへ消えたのか・・・。
(髪の毛どこも跳ねてないよね?うん!大丈夫っぽい!!)
鏡の前でクルクルしていたら、後ろで誰かが動く気配がした。
「ハッ!」
ティナはシュバッ!っと振り返る。
「・・・ふっ、そんなに確認しなくても、髪は跳ねてないぞ。大丈夫だ。」
と、ティナを微笑ましそうに見ているルイドが
立っていた。
(うわぁぁああ!見られてたぁぁ!!恥ずかしい!!恥ずか死ぬ!)
「・・・準備は出来たみたいだな。おいで、もう待っている。」
(そうだった!!気を取り直していかなくちゃ!!)
一瞬で先ほどのことを忘れたティナはスキップしながらルイドの後を追った。
│││││││││││││││││││││
「・・・こんにちはリオンです。」
(やば・・・鼻血でる。めっちゃイケメン!!可愛さもありつつカッコいい!!将来が楽しみですなっ!あれ?この顔どこかで・・・ま、いっか!)
ティナがこんなことを考えている間、リオンは初めての会う人間に緊張しているようだった。
(あっ挨拶しなきゃ!)
「こっこんにちゅあ!」
(噛んだぁぁ!噛んだよぉぉお!恥ずかしぃいい!!)
ティナは顔を真っ赤にしてしゃがみこむ。
「ふふっ、よろしくね。」
ティナの様子を見ていたリオンは小さく笑い、そう言った。
「うん!よろしく!!」
(エンジェルスマイルとはこのことか・・・。末恐ろしい!!)
そんなことを思いながら、ティナも元気にそう告げるのであった。
│││││││││││││││││││││
それからというもの、ティナとリオンは一緒に居ることが多くなった。同い年だからか、二人は幼なじみのような関係になっていた。
ある日、騎士達と一緒に森へ薬草を摘みにでかけることになった。森の深くには行かないし、騎士もそばにいるから三歳でも安心だろうということで、ティナ達もついて行くことになったのだ。団長いわく、「何事も経験だ!ガハハ!!」とのことだ。
・・・「リオン!これまりょくかいふくのやくそうじゃない?」
ティナ達は今森の中にいる。丁度ティナが魔力回復の薬草を見つけたようだ。
「ほんとだ!ぼくもみつける!あっ!あっちにありそう!!」
「あっ!あんまりはなれると危ないよ!!リオン!まって!」
・・・ガサッ[ブモォォォオ!」
「「ひっ!」」
いきなり茂みから熊ほどの大きさの猪がでてきた。
(何あれ!怖い!・・・もしかして魔物!?)
リオンは腰が抜けてしまったのか、震えながら座り込んでしまっている。
(どうしようどうしようどうしようっ!助けを!助けを呼ばなきゃ!!)
「ヒュッ!」
(喉がひきつって声がでない!)
[ブモォォ!!!]
(もうダメだ!)
ティナは固く目を閉じる。
(・・・?)
いつまでも来ない衝撃に目を開けると・・・
「えっ!?」
そこには氷の塊が刺さった猪型の魔物がそびえ立っていたのだ。
(え、なに!?何があったの??でも、助かったのかな?)
「おい!!大丈夫か!?」
(あっ、騎士さん達だ。もう、大丈夫・・・かな・・・。)
ティナは安心したのか、気絶してしまった。
│││││││││││││││││││││
「怖い思いさせてほんっとうにすまねぇ!ティナ、リオン!!」
今、どんな状況かというと、団長がティナとリオンに土下座をしている。
(おぉ~う、ジャパニーズ土下座~。異世界でも見れるとは・・・)
「もともとぼくがはなれちゃったせいだし、けがもしなかったから・・・。」
リオンは目を伏せながら答える。
「わたしもけがしなかったしへいきだよ!」
「うぅ、ありがとよぉ~」
団長は、団長がティナ達の警護をしなければいけなかったのに、目を離したことでティナ達を危険にさらしたと他の騎士達にボロクソに言われていた。そのためすでにHPはゼロに近いのだ。いつもの威厳はほぼ無いと言える。
「そぉ~いえば、あの猪型の魔物だれが倒したんだい?」
ヒュースは隣の騎士達に聞いた。
「それが、俺たちが駆けつけたときにはすでに倒されていて・・・」
「そうそう!でっけー氷が突き刺さってて、凄かったですよ!」
「ふぅ~ん?あれ、それじゃあ僕達騎士が倒した訳じゃないんじゃない?獣人は魔力が少ない。せいぜい身体能力強化位しか出来ないだろうから。」
「確かにそうです!じゃあ誰が・・・?」
「・・・ティナは何か知ってる?」
ヒュースはつい先程目を覚ましたティナに優しく問いかける。
(さっきのことだよね??私何も知らないしよぉ~。むしろ教えて欲しいよ!!)
「えっと、よくわからないの。めをとじてて、あけたらああなってたの!!」
「ふぅ~ん。(もしかしたら、精霊様が助けてくれたのかもね。)」
ティナの話を聞き、ヒュースはそんなことを思うのであった。
「まぁ、ティナ達が無事だったなら良かった。おい、一応森の中を調べておいてくれ。」
そう団長は騎士に指示をだしたのであった。
│││││││││││││││││││││
その日の夜、ティナにステータスカードを見せられたリオンは一人部屋の中で考えていた。
(ティナはぼくよりまりょくがすくなくて、あぶないんだ。ぼくがまもってあげなくちゃ!!)
リオンは獣人の中でも飛び抜けて魔力が多い。これがリオンのステータスだ。
│││││││││││││││││││││
レベル/1
体力:60/60
魔力:800/800
筋力:30/30
敏捷:40/40
運 :40
属性:闇
称号:闇を操る者
│││││││││││││││││││││
リオンの魔力は今の状態で一般の人間よりも多く、まだ3歳だ。これから魔力はどんどん増えていくだろう。また、闇属性は光属性と並んで珍しいのだ。将来有望といえる。
こうして、次の日からリオンは騎士の訓練に参加することになる。
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