ずっとしたかった異世界転生!その夢叶いました

伏目 もももん

文字の大きさ
32 / 34
2章 屋敷での生活

え?聞いてません!!

しおりを挟む

 武器選びの報告も終え、家族とのんびりした時間を過ごしていたティナだったが、父の言葉でのんびりとした気持ちではいられなくなった・・・。



___________________

 「ティナ、明日王宮に行って貰いたい。」

「ンクッ!」
 紅茶を今まさに飲もうとしていたティナは父の言葉に驚き、紅茶を喉に詰まらせそうになる。

(お、王宮!?何ぜ??正直、攻略者の王子達が居るからあまり行きたくなかったのになぁ~。)

 いくらゲームとは違うと思っていても、本当にゲームじゃないか何てわからない。下手したらティナは死ぬかもしれないのだ。なるべく自分の身を危険にさらしたくないのは当然のことだろう。

(私がゲームの流れが事細かに覚えていたらっ!)
 
 ティナはキャラの設定や流れをぼんやりと覚えているくらいで、ストーリーなどを細かく覚えていないのだ。つまり、いつ何が起きるのかわからない。

「り、理由を伺っても?」
 ティナはそう問いかけ、ひきつりそうな顔を紛らわせるために紅茶をすする。

「あぁ、そんなに気を張らなくても大丈夫だぞ。ティナは皇太子殿の婚約者だろう?大々的に発表する前に少しでも仲が深められたらと陛下からのはからいでな。」

「ぐっ、げほっ!げほっ!」
 
「お行儀が悪くてよ?」

「大丈夫?ティナ」

 一度目は耐えたが、耐えきれずむせてしまったティナを厳しく母のマリーナが咎める。実は、武器を持つ代わりに礼儀作法も覚えなさいと母から言われてしまったのだ。なので言葉使いや細かい動きにも気を使わなければならない。しかし、前世の記憶もあるせいか、礼儀作法の基盤はできているので、あまり苦戦はいていない。礼儀作法の先生も、ティナのあまりの飲み込みの良さに驚いていた。ちなみに、家族や召し使い達は「さすがティナ(だわ)(様)!」とうなずいていた。もう少し疑問に思っても良いと思う、、、。


 兄のリュオは心配そうにティナの背をさすってくれた。

「あの、私と皇太子様が婚約者?初耳なのですが??」

「「「えっ」」」

 ティナ以外の三人が驚いた声を出す。

「あなた?以前ティナに説明するとおっしゃっていましたよね?」

「せっ説明したと思っていたのだが、、、。」

「あ・な・た?」

「すまない。忘れていたようだ。」

(お父様は仕事は出来るのに変な所で抜けてるっ!!)

 宰相のフェルナンドは、王宮でピクリとも笑わず、ミスをした者に絶対零度の視線を向けることから「生きる氷像」と呼ばれていると聞いたことがある。また、フェルナンドはとても有能で王宮の仕事で外交なども担当しているらしい。
(家ではデレデレした顔しか見たこと無いけどね。)

「理由は分かりました。断ることも出来ないのでしょう?」

「、、、まあ、そうだな。」

「、、、、分かりました。明日お伺いします。」





 こうしてティナは王宮に向かうことになったのだった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい

椰子ふみの
恋愛
 ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。  ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!  そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。  ゲームの強制力?  何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした

犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。 思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。 何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢によればこの世界は乙女ゲームの世界らしい

斯波@ジゼルの錬金飴③発売中
ファンタジー
ブラック企業を辞退した私が卒業後に手に入れたのは無職の称号だった。不服そうな親の目から逃れるべく、喫茶店でパート情報を探そうとしたが暴走トラックに轢かれて人生を終えた――かと思ったら村人達に恐れられ、軟禁されている10歳の少女に転生していた。どうやら少女の強大すぎる魔法は村人達の恐怖の対象となったらしい。村人の気持ちも分からなくはないが、二度目の人生を小屋での軟禁生活で終わらせるつもりは毛頭ないので、逃げることにした。だが私には強すぎるステータスと『ポイント交換システム』がある!拠点をテントに決め、日々魔物を狩りながら自由気ままな冒険者を続けてたのだが……。 ※1.恋愛要素を含みますが、出てくるのが遅いのでご注意ください。 ※2.『悪役令嬢に転生したので断罪エンドまでぐーたら過ごしたい 王子がスパルタとか聞いてないんですけど!?』と同じ世界観・時間軸のお話ですが、こちらだけでもお楽しみいただけます。

処理中です...