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【黒の創造召喚師 ―Closs over the world―】
第025話 逆鱗に触れた者の末路①
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白桜学院の帰り道に存在するとある道――通称「地獄通り」。その先にある廃工場が「アリゲーターバイト」の根城だ。
陽が落ち、街が夜の帳に包まれる時間――それが彼らの本当の時間だ。
昼間の「偽りの自分」から夜の「本当の自分」へ。それは丁度、蛹から羽化する綺麗な蝶のように。
「うぅ……」
「…………」
この日、廃工場に群がる男たちは、自分たちの領域に連れ込まれた二人の女に湧いていた。両手首をロープで縛られ、白いブラウスとスカート姿で天井から吊られた茜とソアラである。
まるで自分たちを品定めするように、胸や尻などへ粘つく視線を向ける男たちに、茜は嫌悪感を露わにする一方、ソアラは全く動揺を見せることなく、ただ口を噤んでいるだけだ。
「ほぉ……こんな状況になってもまだ悲鳴一つないとはな。女とはいえ、恐れ入ったぜ」
ソアラたちがこの廃工場に連れ込まれてほどなく、場内の奥から九条武治が姿を現す。
「あ゛ぁ? なんだよ、二人いるじゃねぇか。オイ、俺は『写真の女』を連れて来い、つったよな?」
ソアラの横で同じように天井から吊るされている茜の存在に気付いた九条は、隣にいた幹部らしき男に訊ねる。
「えぇ……ですが、なかなか一人になる様子が無かったので、一緒に連れて来ました。目的は写真のあの女だけですし……どうします?」
「ふむ……」
少しばかり考え込む仕草を見せた九条は、たむろする男たちに一度だけチラリと目を向けると、その表情が邪悪なものに歪む。
「……俺はこのチームのボスとして、メンバーを労わる役目がある。折角ついでの獲物がかかったんだ。だから―そっちはお前たちの好きにすればいい。俺はコイツで十分だ」
「いやっほぅ! さっすが九条さんだぜ!」
「オイ! ボスから直々に許可が出たぞ!」
「なぁなぁ、早速だけど、どーするよ? 全部剥いて裸にしちまうか?」
「おいおい、折角のご馳走だ。壊れないように頼むぞ」
九条の言葉を受け、男たちは茜の方に躙り寄り、下卑た笑みを向けながら「どうやってこの玩具で遊ぼうか」と様々な意見を出し合う。
一方、ボスである九条はソアラに近づくと、その手で彼女の顎を持ち上げる。九条の顔を間近でみたソアラは、その彼の表情がまるで奴隷をアクセサリーか何かと同じ類のものとして買い漁る貴族と似たものであると思えてならなかった。
「ハッ! いいねぇ、その反抗的な目つき。ますますそそられるじゃねぇか……」
ソアラの強い意志が宿った目を見た九条は、その笑みを濃くしながら舌なめずりをする。
「知ってるか? 男――いや、オスにとって女ってのは自らの力と欲望を吐き出す対象なんだよ」
顎を持ち上げる手に力を込め、まるでペットを躾けるように持論を展開する九条に、ソアラは冷えた目を向けながらポツリと呟く。
「ふぅん……武闘派と息巻いているようだけど、実際にこの目で見ると……何なの? 女なんて力で簡単に屈服させられるだなんて。そんなの、自分が一番と錯覚している子どもとどこが違うっていうの? 正直、見ていて痛々しく思えるんだけど?」
この言葉に、九条のこめかみに太い血管が浮かび、着ていた白いブラウスがボタン部分が破られ、その勢いで穿いていたスカートがストンと下に落ちる。
破れたブラウスから覗くソアラの下着に、周囲にいた男たちがにわかに色めき立つ。隣の茜は終始ガタガタと恐怖で身を震わせ、目の端に涙を溜めながらか細い悲鳴を上げていたが、ソアラはここまでされてもまだ動じることはなかった。
「クハッ! ますます気に入ったぜ! これでもまだ怖がらないのかよ! 大したタマだぜ。だが……その目はイラッとすんだよ、な!」
九条は目と口の端を吊り上げながら、その右拳をソアラの頬に叩き込む。
「ソアラ!?」
「あーあ、やっちまったよ。ありゃあ、頬骨とか顎の骨でも折れたんじゃね?」
「最悪、粉々に砕けてるかもな。大の大人でも気を失うほど凄えからな、ボスの右ストレートは。子どもだとまず耐えられねぇだろうな……」
殴られたソアラに、茜の鋭い声が響き、同時に周囲にいた男たちが顔を顰めながら言葉を交わす。
だが――
「ねぇ……その程度? 私はまだ平気だけど?」
殴られた頬が真っ赤に腫れ上がりながらも、ソアラの態度は巌のように動じず、冷めた目で九条を見やりながら呟く。
口の中を切ったのか、ペッと地面に血を吐き出したが、ソアラにとってこの程度なダメージのうちにも入らない。
「このアマ……言わせておけばあああぁぁぁ!」
冷笑を湛えながらあからさまに嘲るソアラの態度に、九条は完全に堪忍袋の緒が切れ、ソアラの身体に拳と蹴りを叩き込む。天井から吊るされているソアラは、ボクシングのサンドバッグよろしくその身体に九条の攻撃を受けて右に左にと揺れた。
周囲の男たちは、キレた九条が無抵抗なソアラに拳と蹴りを叩き込む様子をただ眺めていた。そこには先ほどまでの色めきたった空気は掻き消え、誰も彼もが九条の一挙手一投足に注目している。
もはや完全に忘れ去られた存在となりつつある茜は、ただ呆然とした表情でソアラの様子を見ることしかできない。
(――よし。ちょっと不安だったケド、魔闘技のスキルはちゃんと発動してる。これなら……まだ大丈夫かな)
九条の攻撃を一身に受けながら、ソアラはポツリと心の中に呟く。
ソアラはただ何もせずに九条の攻撃を受けているわけではなかった。先ほど、九条の右ストレートを頬に受けた際、ソアラは反射的に「魔闘技」のスキルを発動させた。
魔闘技は自身の魔力を纏い、筋力や敏捷性その他の基礎的な身体能力を向上させるスキルだ。ディエヴスの手により界渡りする前、ソアラたちは魔物など敵との交戦時に、ほぼ無意識的にこのスキルを発動させていた。
今回、このスキルを反射的に発動できたのは、これまでの「クセ」によるところが大きい。魔闘技が向上させる基礎的な身体能力には、耐久力も該当する。ソアラはこのスキルで向上した耐久力によって見た目ほどのダメージを回避できた。
また、今もなお雨あられのように繰り出される九条の攻撃には、身体を左右に振ってスウェーバックすることも合わせることでダメージを軽減させている。
魔闘技はソアラの持つアドバンテージであるものの、攻撃に合わせてスウェーバックする技術は余程格闘戦を戦い慣れた者にしか身につかない技術である。
身体を左右に揺らすだけ、かと思われるが、ソアラはそれを相手にそれと悟らせることなく、自然にかつ最低限の動きでそれを成し遂げている。
また、これには相手の攻撃の方向、軌道を見抜く優れた動体視力に、その威力も予測する力も求められる。威力が大きい攻撃は、その分揺らす幅を大きくしなければ上手く減衰させることができないからだ。
こうしたソアラの持つスキルとこれまでに培ってきた戦闘技術により、彼女はただ攻撃を受けるサンドバッグと同じ立場ではあるものの、その実態は攻撃を受けながらも冷笑を浮かべられるほどの余裕があった。
陽が落ち、街が夜の帳に包まれる時間――それが彼らの本当の時間だ。
昼間の「偽りの自分」から夜の「本当の自分」へ。それは丁度、蛹から羽化する綺麗な蝶のように。
「うぅ……」
「…………」
この日、廃工場に群がる男たちは、自分たちの領域に連れ込まれた二人の女に湧いていた。両手首をロープで縛られ、白いブラウスとスカート姿で天井から吊られた茜とソアラである。
まるで自分たちを品定めするように、胸や尻などへ粘つく視線を向ける男たちに、茜は嫌悪感を露わにする一方、ソアラは全く動揺を見せることなく、ただ口を噤んでいるだけだ。
「ほぉ……こんな状況になってもまだ悲鳴一つないとはな。女とはいえ、恐れ入ったぜ」
ソアラたちがこの廃工場に連れ込まれてほどなく、場内の奥から九条武治が姿を現す。
「あ゛ぁ? なんだよ、二人いるじゃねぇか。オイ、俺は『写真の女』を連れて来い、つったよな?」
ソアラの横で同じように天井から吊るされている茜の存在に気付いた九条は、隣にいた幹部らしき男に訊ねる。
「えぇ……ですが、なかなか一人になる様子が無かったので、一緒に連れて来ました。目的は写真のあの女だけですし……どうします?」
「ふむ……」
少しばかり考え込む仕草を見せた九条は、たむろする男たちに一度だけチラリと目を向けると、その表情が邪悪なものに歪む。
「……俺はこのチームのボスとして、メンバーを労わる役目がある。折角ついでの獲物がかかったんだ。だから―そっちはお前たちの好きにすればいい。俺はコイツで十分だ」
「いやっほぅ! さっすが九条さんだぜ!」
「オイ! ボスから直々に許可が出たぞ!」
「なぁなぁ、早速だけど、どーするよ? 全部剥いて裸にしちまうか?」
「おいおい、折角のご馳走だ。壊れないように頼むぞ」
九条の言葉を受け、男たちは茜の方に躙り寄り、下卑た笑みを向けながら「どうやってこの玩具で遊ぼうか」と様々な意見を出し合う。
一方、ボスである九条はソアラに近づくと、その手で彼女の顎を持ち上げる。九条の顔を間近でみたソアラは、その彼の表情がまるで奴隷をアクセサリーか何かと同じ類のものとして買い漁る貴族と似たものであると思えてならなかった。
「ハッ! いいねぇ、その反抗的な目つき。ますますそそられるじゃねぇか……」
ソアラの強い意志が宿った目を見た九条は、その笑みを濃くしながら舌なめずりをする。
「知ってるか? 男――いや、オスにとって女ってのは自らの力と欲望を吐き出す対象なんだよ」
顎を持ち上げる手に力を込め、まるでペットを躾けるように持論を展開する九条に、ソアラは冷えた目を向けながらポツリと呟く。
「ふぅん……武闘派と息巻いているようだけど、実際にこの目で見ると……何なの? 女なんて力で簡単に屈服させられるだなんて。そんなの、自分が一番と錯覚している子どもとどこが違うっていうの? 正直、見ていて痛々しく思えるんだけど?」
この言葉に、九条のこめかみに太い血管が浮かび、着ていた白いブラウスがボタン部分が破られ、その勢いで穿いていたスカートがストンと下に落ちる。
破れたブラウスから覗くソアラの下着に、周囲にいた男たちがにわかに色めき立つ。隣の茜は終始ガタガタと恐怖で身を震わせ、目の端に涙を溜めながらか細い悲鳴を上げていたが、ソアラはここまでされてもまだ動じることはなかった。
「クハッ! ますます気に入ったぜ! これでもまだ怖がらないのかよ! 大したタマだぜ。だが……その目はイラッとすんだよ、な!」
九条は目と口の端を吊り上げながら、その右拳をソアラの頬に叩き込む。
「ソアラ!?」
「あーあ、やっちまったよ。ありゃあ、頬骨とか顎の骨でも折れたんじゃね?」
「最悪、粉々に砕けてるかもな。大の大人でも気を失うほど凄えからな、ボスの右ストレートは。子どもだとまず耐えられねぇだろうな……」
殴られたソアラに、茜の鋭い声が響き、同時に周囲にいた男たちが顔を顰めながら言葉を交わす。
だが――
「ねぇ……その程度? 私はまだ平気だけど?」
殴られた頬が真っ赤に腫れ上がりながらも、ソアラの態度は巌のように動じず、冷めた目で九条を見やりながら呟く。
口の中を切ったのか、ペッと地面に血を吐き出したが、ソアラにとってこの程度なダメージのうちにも入らない。
「このアマ……言わせておけばあああぁぁぁ!」
冷笑を湛えながらあからさまに嘲るソアラの態度に、九条は完全に堪忍袋の緒が切れ、ソアラの身体に拳と蹴りを叩き込む。天井から吊るされているソアラは、ボクシングのサンドバッグよろしくその身体に九条の攻撃を受けて右に左にと揺れた。
周囲の男たちは、キレた九条が無抵抗なソアラに拳と蹴りを叩き込む様子をただ眺めていた。そこには先ほどまでの色めきたった空気は掻き消え、誰も彼もが九条の一挙手一投足に注目している。
もはや完全に忘れ去られた存在となりつつある茜は、ただ呆然とした表情でソアラの様子を見ることしかできない。
(――よし。ちょっと不安だったケド、魔闘技のスキルはちゃんと発動してる。これなら……まだ大丈夫かな)
九条の攻撃を一身に受けながら、ソアラはポツリと心の中に呟く。
ソアラはただ何もせずに九条の攻撃を受けているわけではなかった。先ほど、九条の右ストレートを頬に受けた際、ソアラは反射的に「魔闘技」のスキルを発動させた。
魔闘技は自身の魔力を纏い、筋力や敏捷性その他の基礎的な身体能力を向上させるスキルだ。ディエヴスの手により界渡りする前、ソアラたちは魔物など敵との交戦時に、ほぼ無意識的にこのスキルを発動させていた。
今回、このスキルを反射的に発動できたのは、これまでの「クセ」によるところが大きい。魔闘技が向上させる基礎的な身体能力には、耐久力も該当する。ソアラはこのスキルで向上した耐久力によって見た目ほどのダメージを回避できた。
また、今もなお雨あられのように繰り出される九条の攻撃には、身体を左右に振ってスウェーバックすることも合わせることでダメージを軽減させている。
魔闘技はソアラの持つアドバンテージであるものの、攻撃に合わせてスウェーバックする技術は余程格闘戦を戦い慣れた者にしか身につかない技術である。
身体を左右に揺らすだけ、かと思われるが、ソアラはそれを相手にそれと悟らせることなく、自然にかつ最低限の動きでそれを成し遂げている。
また、これには相手の攻撃の方向、軌道を見抜く優れた動体視力に、その威力も予測する力も求められる。威力が大きい攻撃は、その分揺らす幅を大きくしなければ上手く減衰させることができないからだ。
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