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始まりの日②
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その日、アレンは半年に渡る長期の仕事から帰ってきたところだった。
隣街での仕事の成果の報告をしに店に向かため商店街を通り抜ける途中
世界が止まった。
ただ一人
アレンを除いて…
「もしもーし。おーい、あれ?息してるよね?」
っ..!
アレンが正気を取り戻すと、中性的な少年?がふわふわと浮きながら目の前で手を振っている。
「あぁ、やっと意識戻った」
「えっ?なっ?どっ?」
人が…世界が止まっている。
どういうことだ?
こ、子供!?
アレンが軽くパニックになっていると
「ねぇ、君、ボクとゲームをしよう。君の恋にチャンスを与えてあげるよ」
「はっ??」
「あの娘、泣いてる彼女、君が片思い拗らせてる相手でしょ?」
!!
神様が指した方向に焦っているディアナと手を引っ張られているシーラとがいた。
シーラの頬に涙が伝っていた。
「ふふっ、ボクはなんでも知ってるよ。ボクは君たちのいうところの神様だからね」
…?神様?
「疑ってる?まぁ、いいや」
「神様がなんで…?」
「ボク今ね、地上で探し物をしてるんだ。その途中でたまたま偶然居合わせたんだよ。ふふっ、彼女を取り巻く環境、面白いね」
「…」
「憐れな彼女に慈悲をってやつだね。ふふっ、やだなぁ。決して面白そうだからじゃないよ、ふふふっ」
神様が一瞬でシーラの元に移動して、そっと涙を回収した。
本音はそっちか…
「ふぅー。。。それで、俺は何をすればいいんだ?」
神様はヤレヤレって顔をして
「だから、最初に言ったじゃないか。ボクとゲームをしようって」
「…ゲーム?」
「そう、ゲーム。ルールは簡単、“彼女が君のことを好きになるかどうか”ただそれだけだよ」
神様はさらに続けた。
「期限は3日。長引かせても面白くないしね」
「はっ?」
「だって、君、このままずっと拗らせてんの?報われないよ。いいの?キッカケを神様直々にあげるよ」
難題すぎる…
「…悪魔か?」
「神様だってば」
頬を膨らませて食い気味に否定してきた。
無邪気な顔して悪魔の様な囁きをする神様なんているものか。
アレンが思案していると、
「ふふふっ、そんな難しい顔しないでよ。君が勝ったら君と彼女に一緒の祝福をあげる。君が負けたら君と彼女にそれぞれにそれぞれの祝福を。要は別々の道に進むってことだね。どう?損はないと思うよ」
…ものすごく胡散臭いが、自分が拗らせてすぎて終着点が見えなくなっている自覚はある。だが…
チラッと自称神様を見た。
銀髪紫眼…
確かあちこちでみる神様の絵と同じ…
一般的にはない色合い。
神様か…
…。
ここは腹を括ろう。
神様だってなんだって利用してこの拗らせた想い(…自分で言ってて虚しくなるが)に決着をつける。
「わかった。やるよ」
「君ならそう言うと思ったよ!」
「俺に拒否権ないだろう?」
「ふふっ、どうかな。あぁ、わかってると思うけど、深い関係になったらそこでゲーム失敗だよ。そんなの面白くないからね」
「当たり前だろ!」
「ふふっ。あっちの彼女、恐いもんね」
ディアナのことか…
わかるのは神様だからってことか…
目線をディアナから神様に戻すと
「はい。参加記念品。おたすけアイテムだよ」
そう言って神様はブレスレットと水晶をくれた。
「今日は気分がいいから特別にもう1つ貸してあげる」
そう言うと神様は光の玉をどこかに飛ばした。
「後で届くから。終わったら返してね。じゃあ、健闘を祈るね」
その瞬間、神様は消え、街が動き出した。
隣街での仕事の成果の報告をしに店に向かため商店街を通り抜ける途中
世界が止まった。
ただ一人
アレンを除いて…
「もしもーし。おーい、あれ?息してるよね?」
っ..!
アレンが正気を取り戻すと、中性的な少年?がふわふわと浮きながら目の前で手を振っている。
「あぁ、やっと意識戻った」
「えっ?なっ?どっ?」
人が…世界が止まっている。
どういうことだ?
こ、子供!?
アレンが軽くパニックになっていると
「ねぇ、君、ボクとゲームをしよう。君の恋にチャンスを与えてあげるよ」
「はっ??」
「あの娘、泣いてる彼女、君が片思い拗らせてる相手でしょ?」
!!
神様が指した方向に焦っているディアナと手を引っ張られているシーラとがいた。
シーラの頬に涙が伝っていた。
「ふふっ、ボクはなんでも知ってるよ。ボクは君たちのいうところの神様だからね」
…?神様?
「疑ってる?まぁ、いいや」
「神様がなんで…?」
「ボク今ね、地上で探し物をしてるんだ。その途中でたまたま偶然居合わせたんだよ。ふふっ、彼女を取り巻く環境、面白いね」
「…」
「憐れな彼女に慈悲をってやつだね。ふふっ、やだなぁ。決して面白そうだからじゃないよ、ふふふっ」
神様が一瞬でシーラの元に移動して、そっと涙を回収した。
本音はそっちか…
「ふぅー。。。それで、俺は何をすればいいんだ?」
神様はヤレヤレって顔をして
「だから、最初に言ったじゃないか。ボクとゲームをしようって」
「…ゲーム?」
「そう、ゲーム。ルールは簡単、“彼女が君のことを好きになるかどうか”ただそれだけだよ」
神様はさらに続けた。
「期限は3日。長引かせても面白くないしね」
「はっ?」
「だって、君、このままずっと拗らせてんの?報われないよ。いいの?キッカケを神様直々にあげるよ」
難題すぎる…
「…悪魔か?」
「神様だってば」
頬を膨らませて食い気味に否定してきた。
無邪気な顔して悪魔の様な囁きをする神様なんているものか。
アレンが思案していると、
「ふふふっ、そんな難しい顔しないでよ。君が勝ったら君と彼女に一緒の祝福をあげる。君が負けたら君と彼女にそれぞれにそれぞれの祝福を。要は別々の道に進むってことだね。どう?損はないと思うよ」
…ものすごく胡散臭いが、自分が拗らせてすぎて終着点が見えなくなっている自覚はある。だが…
チラッと自称神様を見た。
銀髪紫眼…
確かあちこちでみる神様の絵と同じ…
一般的にはない色合い。
神様か…
…。
ここは腹を括ろう。
神様だってなんだって利用してこの拗らせた想い(…自分で言ってて虚しくなるが)に決着をつける。
「わかった。やるよ」
「君ならそう言うと思ったよ!」
「俺に拒否権ないだろう?」
「ふふっ、どうかな。あぁ、わかってると思うけど、深い関係になったらそこでゲーム失敗だよ。そんなの面白くないからね」
「当たり前だろ!」
「ふふっ。あっちの彼女、恐いもんね」
ディアナのことか…
わかるのは神様だからってことか…
目線をディアナから神様に戻すと
「はい。参加記念品。おたすけアイテムだよ」
そう言って神様はブレスレットと水晶をくれた。
「今日は気分がいいから特別にもう1つ貸してあげる」
そう言うと神様は光の玉をどこかに飛ばした。
「後で届くから。終わったら返してね。じゃあ、健闘を祈るね」
その瞬間、神様は消え、街が動き出した。
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