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010 - あるみぃ -
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(注意!)少し胸糞悪い展開があるかも!。
・・・ピッ、お客様です、リィ・オルネン様・・・。
「あ、リィお姉ちゃんだぁ!、パパー、ミィお買い物に行って来るのー」
「あぁ、気を付けて行っておいで、お姉ちゃんに迷惑をかけないように、それから知らない人に声を掛けられても・・・」
「分かってるのー」
とてとて・・・
ピッ・・・アルミィ様外出を確認、施錠します。
「はぁ・・・」
私の名前はスチール・カーン、王立義体研究所に勤務する技術者だ、魔王の誕生が王国民に周知されてから1年、私は寝る暇が無いくらい忙しかった。
今家を出て行ったのは娘のアルミィだ、彼女は今年6歳・・・もうすぐ7歳になるのだが外見は10代半ばの少女だ、胸だって平均よりは控え目だがそれなりにある・・・いや、私がそう作った。
娘が年齢を重ね真実を知れば私を恨むだろう、その日がなるべく来ない事を祈って私の犯した罪を告白しよう・・・。
事の起こりは1年前、所長に呼び出され一緒に王城に向かった時より始まった。
国王陛下から魔王誕生とそれに伴う勇者召喚の儀式を行った事を知らされた、この事は明後日には国民に周知されるらしい。
「勇者召喚は成功した、だが新たな問題が発生した」
国王陛下が重い口を開き私達に語った内容は衝撃的だった。
召喚された勇者はまだ幼い少女、あちらの世界で病を患っていたようでまともに剣すら握れない可能性がある、このままでは魔王に勝てない。
およそ100年ごとに繰り返される魔王の誕生、その恐怖は歴史に刻まれ国民に広く知られている。
「そこで勇者の身体に機械化改造手術を施し、戦闘力を極限まで高めたいと考えているのだが・・・君達技術者の意見を聞きたい」
「なっ・・・」
私は思わず声を上げた、我が国によって開発、発展させてきた人体の機械化改造技術・・・それは一昔前と比べても技術革新によってより安全なものとなっている、初期の頃に問題となっていた副作用も今では殆ど無いと言っていい。
今では一般市民が娯楽の為に電脳化し、力を得る為に肉体を機械に変えている・・・だが!。
「機械化改造手術は成人している者に限定されています、お話だと勇者様はまだ幼いと・・・未成年への施術は実績も少なく法律でも禁止されて・・・」
所長が陛下に説明している、身体が成長途中である未成年への施術は禁止されているのだ、肉体の一部を欠損した者であっても成人するまで待って手術が行われる。
理由は精神と肉体のバランスが崩れる危険性が高いからだ、小さな子供が急に成人の肉体にまで成長すると脳の処理が追い付けない、子供の筈なのに身体は大人・・・過去には精神障害を起こした事例もある。
機械化改造、特に全身の機械化は元の身体に極力似せたものが好ましいとされているのだが・・・子供サイズの義体というものもあまり実績が無い。
「勇者様の身体を確認しないと何とも言えないのですが・・・」
「我が国の・・・10代前半の少女ほどの身長だと思って貰えれば良い」
「それなら一番小さい規格の義体で・・・」
国王陛下と所長の間で話が続いているが私の心は穏やかでは無い。
「君の意見は・・・何かあるかね?」
国王陛下が私に話を振ったので気になっている事を伝えた。
「勇者様本人は機械化改造手術を承諾されているのでしょうか?」
なぜ目を逸らすのだ!、まさか承諾も無く勝手に手術するのか?、うちの国民でもそれをやると訴訟問題に発展して面倒な事になるのに!。
「国の為なのだ・・・戦いには必ず勝たねばならない、もし勇者が負けると世界が滅びる」
国王陛下の隣に立っている宰相が苦々しい表情でそう答えた。
本気か?、改造後の心のケアはどうする?、機械になった自分の身体を嫌悪して自傷する可能性もあるぞ。
「12歳・・・多く見積もって14歳といったところかな」
「思ったより小柄だな」
陛下との謁見の後、宰相に案内されて召喚された勇者様に会わせて貰った。
手術台のようなベッドに乗せられて眠っている、それにしても何で全裸なのだ?。
「一番小さな規格の義体より更に小さいな」
「勇者様の居た世界ではこれで成人なのかも・・・過去の記録には緑色の毛玉のような勇者が召喚された事もあると・・・」
所長と宰相が話している後ろで私はこの少女の未来を案じていた。
話し合いの結果、一度研究所に持ち帰り検討する事になった、但し可能な限り早急に結論を出す事と命じられたが・・・。
研究所の精鋭が急遽集められ勇者対策チームが組織された、そして私はその責任者に任命されたのだ・・・議論は夜明けまで続いたが結論は出なかった。
義体は既製品のサイズダウンで・・・いや、金はいくらかかっても良いと言われているのだから軍用規格で一から制作して・・・間に合わないだろう!、・・・間に合わせるんだよ!・・・。
我が国を代表する義体エンジニア達が唾を飛ばしながら口論してようやく出た結論は、軍用規格で勇者様の体格に合わせたものを新規設計する事だった。
ハードについてはプロトタイプを含めて3体分の制作が決定、設計班は打ち合わせから離れて設計と制作に取り掛かった。
「問題は実証試験だ、検証データが圧倒的に不足している、勇者様の脳と脊髄を移植した後で不具合が出る事は絶対に許されない」
所長の言葉に私も頷いた、だがどうする?。
「どこかから同じくらいの年齢の孤児を譲って貰って・・・」
「馬鹿な事を言うな!、冗談だとしても非常識過ぎるぞ!」
私は発言した技術者の頭を張り倒した、そんな事がバレたら大変だ、教会や人権団体も巻き込んで大問題になるだろう、それに倫理的にも許されない。
「ならどうするんです?」
「・・・」
論議は行き詰まった・・・机上のデータでは問題無い、だが本当に、絶対に問題が無いかと問われれば誰も答えられなかった。
僅か10日でプロトタイプの義体が完成した、もちろん脳や脊髄の部分には何も入っていない、私は何千通りものパターンを演算機に繋いで検証する・・・もうこれ以上ダミーデータで検証できる事は無い。
プロトタイプに続いて初号機も完成した、勇者様の生体部分が成長した場合の懸念が出て再設計し直したものだ、これも演算機に繋ぎ気が狂うほど検証を重ねた・・・完璧だ、だが・・・。
私はその頃から悪夢に悩まされるようになった、完成した義体、勇者様の脳と脊髄を移植・・・立ち上がる勇者様・・・突然頭を抱えて苦しみ始める・・・。
「何で!、何で私の身体が機械になってるの?、誰がこんな酷い事を!、戻して・・・戻して戻して!、元に戻せぇぇぇ!」
「うわぁぁぁっ!」
勇者様が私に襲い掛かり身体を串刺しにされたところで目が覚める・・・毎日その悪夢が繰り返された。
「やはり本番前に生体での検証が必要だ・・・」
「・・・」
私の発言に研究チームの皆は無言だ、ここにいる全員が気付いている、検証は絶対に必要だと・・・だがどうする?。
「皆疲れただろう、よく今日まで頑張ってくれた、3体目の義体が完成するまでまだ数日かかる・・・日程に少し余裕ができたな、明日より3日間休暇にしよう、本番に備えてゆっくり休んでくれ」
「おぉぉ!」
「わーい!」
「さすが主任!」
皆が帰ってしまった研究室、私の手にはある人物のスキャンデータが握られている、私は初号機の義体を眺めながら人道に外れた恐ろしい実験をする決意をした。
「わぁ・・・ここがパパのお仕事場なの?」
「そうだよ、いつかミィちゃんにも見せてあげたかったんだ」
「この人は?、眠ってるの?」
「これは機械の身体で、まだ中に誰も入ってないんだ、かっこいいだろう?」
「うん、ミィに少し似てるね」
「ミィがもう少し大きくなったらこうなるんじゃないかなーって想像してパパが作ったんだ、お胸も大きいだろう」
「うーん、でも動きにくくて邪魔になりそう、ミィ的にはぺったんこの方がいいなー」
「それはすぐにできるよ・・・ちょっと待ってね、サイズを5分の1に・・・形成!」
ぽちー
しゅこぉぉぉ・・・
ぉぉぉ・・・
・・・
「はい出来た、ここを・・・こうするとお胸が外れるから・・・取り替えて・・・これでどうかな?」
「うん!、すごくかっこいいと思う!」
ぽろ・・・ぽろっ・・・
「ぐすっ・・・ミィ・・・パパを恨んでいいからな・・・」
かちゃ・・・かちゃっ・・・
しゅこー・・・
しゅこー・・・
ぴっ・・・
ぴっ・・・
「・・・」
かちっ・・・
「ふぅ・・・」
「手伝おう」
「っ・・・所長っ!、どうしてここに」
「2日前、全員に休暇を出した時の君の顔を見れば誰だって分かる」
「・・・」
「・・・起動準備完了」
「はい、データ収集開始」
「脳波正常・・・暴れるかもしれないから身体の拘束はしておけ」
「了解です」
所長に続いて一人、また一人とここにやって来た、結局・・・プロジェクトチーム全員がここに揃ってミィが目覚めるのを待っている。
所長は陛下に謁見して私の違法行為に目を瞑ってもらえるよう交渉してくれていた、結果、この手術は私の知らない間に王命となり、この検証試験に関する全責任は陛下が被る事となった。
後で所長から聞いたのだが陛下は「娘さんの今後は悪いようにはしない、彼女も勇者と同様我が国を救った英雄だ、それに・・・私の首一つで世界が救われるのなら安いものだよ」と笑っていたらしい。
「うりゅ・・・ここどこ?・・・パパ?」
「ミィ、気分はどうかな?」
「わぁ・・・私・・・大人?になってりゅ?・・・わーい!、ミィね、早く大人になっていつもお仕事頑張ってるパパのお手伝いしたかったの!」
「あぅ・・・ミィィィィ!」
4年前に妻を事故で亡くし寂しい思いをさせていたミィがそんな事を考えていたなんて・・・私は涙と鼻水を流しながらミィに抱き付こうとした。
がしっ!
「ぐぇっ!」
「気持ちは分かるがまだデータ採取中だ」
所長に髪を掴まれた!、今首がコキってなったぞ!。
「わぁ・・・手足長いの!、背も高ぁーい!・・・パパぁ、見て見てー」
生体による実証試験とデータ採取が終わり研究所にある病室にミィが移された、しばらくここで術後の経過を観察する、ミィは・・・大きくなった自分の身体を動かし興味津々のようだ・・・良かった・・・。
起動直後の精神的な負荷を軽減する為に感情を抑える薬を同時投与したのだがその効果が切れて来たようだ。
結果としては大成功だった、今回の検証データを元に開発を進めれば不治の病に冒された子供の機械化改造手術も可能となるだろう・・・だが成功の喜びとは裏腹に娘を実験に利用してしまった罪悪感が私の中で生涯消えない傷として残った・・・。
ピッ!・・・アルミィ様が帰宅されました、リィ・オルネン様もご一緒です。
ぷしゅー
「パパただいまぁ!」
じゃんぷっ!
どすっ!
「ぐぇっ!」
「わぁぁ!、ミィちゃんダメだよ!、スチールさんの脇腹に膝が!」
「げほっ!・・・えふっ!・・・」
「あ・・・パパごめんなさい」
身体が大きくなっていてもミィはまだ7歳だ、帰宅して父親に飛び付いて甘える事もあるだろう・・・だが彼女の身体は強化骨格と人工筋肉で出来ていてかなり重量がある・・・私の身体は保つのだろうか・・・。
ミィが立ち上がり勇者様と並んで私に笑顔を向ける、黒髪ロングの勇者様と違ってミィは金髪ショートだ・・・買って貰ったのだろう・・・可愛いぬいぐるみが沢山入った紙袋を抱えている。
勇者様とは同じ部品が使われている同型の姉妹機だから身長は同じだが私のこだわりで胸はミィの方が少し大きい・・・機会があればもう少し大きくしたいな・・・そんな事を考えながら仲良くミィの部屋に向かう2人の姿を眺めた。
アルミィ・カーンさん(改造後)
アルミィ・カーンさん(改造後、服+靴)
・・・ピッ、お客様です、リィ・オルネン様・・・。
「あ、リィお姉ちゃんだぁ!、パパー、ミィお買い物に行って来るのー」
「あぁ、気を付けて行っておいで、お姉ちゃんに迷惑をかけないように、それから知らない人に声を掛けられても・・・」
「分かってるのー」
とてとて・・・
ピッ・・・アルミィ様外出を確認、施錠します。
「はぁ・・・」
私の名前はスチール・カーン、王立義体研究所に勤務する技術者だ、魔王の誕生が王国民に周知されてから1年、私は寝る暇が無いくらい忙しかった。
今家を出て行ったのは娘のアルミィだ、彼女は今年6歳・・・もうすぐ7歳になるのだが外見は10代半ばの少女だ、胸だって平均よりは控え目だがそれなりにある・・・いや、私がそう作った。
娘が年齢を重ね真実を知れば私を恨むだろう、その日がなるべく来ない事を祈って私の犯した罪を告白しよう・・・。
事の起こりは1年前、所長に呼び出され一緒に王城に向かった時より始まった。
国王陛下から魔王誕生とそれに伴う勇者召喚の儀式を行った事を知らされた、この事は明後日には国民に周知されるらしい。
「勇者召喚は成功した、だが新たな問題が発生した」
国王陛下が重い口を開き私達に語った内容は衝撃的だった。
召喚された勇者はまだ幼い少女、あちらの世界で病を患っていたようでまともに剣すら握れない可能性がある、このままでは魔王に勝てない。
およそ100年ごとに繰り返される魔王の誕生、その恐怖は歴史に刻まれ国民に広く知られている。
「そこで勇者の身体に機械化改造手術を施し、戦闘力を極限まで高めたいと考えているのだが・・・君達技術者の意見を聞きたい」
「なっ・・・」
私は思わず声を上げた、我が国によって開発、発展させてきた人体の機械化改造技術・・・それは一昔前と比べても技術革新によってより安全なものとなっている、初期の頃に問題となっていた副作用も今では殆ど無いと言っていい。
今では一般市民が娯楽の為に電脳化し、力を得る為に肉体を機械に変えている・・・だが!。
「機械化改造手術は成人している者に限定されています、お話だと勇者様はまだ幼いと・・・未成年への施術は実績も少なく法律でも禁止されて・・・」
所長が陛下に説明している、身体が成長途中である未成年への施術は禁止されているのだ、肉体の一部を欠損した者であっても成人するまで待って手術が行われる。
理由は精神と肉体のバランスが崩れる危険性が高いからだ、小さな子供が急に成人の肉体にまで成長すると脳の処理が追い付けない、子供の筈なのに身体は大人・・・過去には精神障害を起こした事例もある。
機械化改造、特に全身の機械化は元の身体に極力似せたものが好ましいとされているのだが・・・子供サイズの義体というものもあまり実績が無い。
「勇者様の身体を確認しないと何とも言えないのですが・・・」
「我が国の・・・10代前半の少女ほどの身長だと思って貰えれば良い」
「それなら一番小さい規格の義体で・・・」
国王陛下と所長の間で話が続いているが私の心は穏やかでは無い。
「君の意見は・・・何かあるかね?」
国王陛下が私に話を振ったので気になっている事を伝えた。
「勇者様本人は機械化改造手術を承諾されているのでしょうか?」
なぜ目を逸らすのだ!、まさか承諾も無く勝手に手術するのか?、うちの国民でもそれをやると訴訟問題に発展して面倒な事になるのに!。
「国の為なのだ・・・戦いには必ず勝たねばならない、もし勇者が負けると世界が滅びる」
国王陛下の隣に立っている宰相が苦々しい表情でそう答えた。
本気か?、改造後の心のケアはどうする?、機械になった自分の身体を嫌悪して自傷する可能性もあるぞ。
「12歳・・・多く見積もって14歳といったところかな」
「思ったより小柄だな」
陛下との謁見の後、宰相に案内されて召喚された勇者様に会わせて貰った。
手術台のようなベッドに乗せられて眠っている、それにしても何で全裸なのだ?。
「一番小さな規格の義体より更に小さいな」
「勇者様の居た世界ではこれで成人なのかも・・・過去の記録には緑色の毛玉のような勇者が召喚された事もあると・・・」
所長と宰相が話している後ろで私はこの少女の未来を案じていた。
話し合いの結果、一度研究所に持ち帰り検討する事になった、但し可能な限り早急に結論を出す事と命じられたが・・・。
研究所の精鋭が急遽集められ勇者対策チームが組織された、そして私はその責任者に任命されたのだ・・・議論は夜明けまで続いたが結論は出なかった。
義体は既製品のサイズダウンで・・・いや、金はいくらかかっても良いと言われているのだから軍用規格で一から制作して・・・間に合わないだろう!、・・・間に合わせるんだよ!・・・。
我が国を代表する義体エンジニア達が唾を飛ばしながら口論してようやく出た結論は、軍用規格で勇者様の体格に合わせたものを新規設計する事だった。
ハードについてはプロトタイプを含めて3体分の制作が決定、設計班は打ち合わせから離れて設計と制作に取り掛かった。
「問題は実証試験だ、検証データが圧倒的に不足している、勇者様の脳と脊髄を移植した後で不具合が出る事は絶対に許されない」
所長の言葉に私も頷いた、だがどうする?。
「どこかから同じくらいの年齢の孤児を譲って貰って・・・」
「馬鹿な事を言うな!、冗談だとしても非常識過ぎるぞ!」
私は発言した技術者の頭を張り倒した、そんな事がバレたら大変だ、教会や人権団体も巻き込んで大問題になるだろう、それに倫理的にも許されない。
「ならどうするんです?」
「・・・」
論議は行き詰まった・・・机上のデータでは問題無い、だが本当に、絶対に問題が無いかと問われれば誰も答えられなかった。
僅か10日でプロトタイプの義体が完成した、もちろん脳や脊髄の部分には何も入っていない、私は何千通りものパターンを演算機に繋いで検証する・・・もうこれ以上ダミーデータで検証できる事は無い。
プロトタイプに続いて初号機も完成した、勇者様の生体部分が成長した場合の懸念が出て再設計し直したものだ、これも演算機に繋ぎ気が狂うほど検証を重ねた・・・完璧だ、だが・・・。
私はその頃から悪夢に悩まされるようになった、完成した義体、勇者様の脳と脊髄を移植・・・立ち上がる勇者様・・・突然頭を抱えて苦しみ始める・・・。
「何で!、何で私の身体が機械になってるの?、誰がこんな酷い事を!、戻して・・・戻して戻して!、元に戻せぇぇぇ!」
「うわぁぁぁっ!」
勇者様が私に襲い掛かり身体を串刺しにされたところで目が覚める・・・毎日その悪夢が繰り返された。
「やはり本番前に生体での検証が必要だ・・・」
「・・・」
私の発言に研究チームの皆は無言だ、ここにいる全員が気付いている、検証は絶対に必要だと・・・だがどうする?。
「皆疲れただろう、よく今日まで頑張ってくれた、3体目の義体が完成するまでまだ数日かかる・・・日程に少し余裕ができたな、明日より3日間休暇にしよう、本番に備えてゆっくり休んでくれ」
「おぉぉ!」
「わーい!」
「さすが主任!」
皆が帰ってしまった研究室、私の手にはある人物のスキャンデータが握られている、私は初号機の義体を眺めながら人道に外れた恐ろしい実験をする決意をした。
「わぁ・・・ここがパパのお仕事場なの?」
「そうだよ、いつかミィちゃんにも見せてあげたかったんだ」
「この人は?、眠ってるの?」
「これは機械の身体で、まだ中に誰も入ってないんだ、かっこいいだろう?」
「うん、ミィに少し似てるね」
「ミィがもう少し大きくなったらこうなるんじゃないかなーって想像してパパが作ったんだ、お胸も大きいだろう」
「うーん、でも動きにくくて邪魔になりそう、ミィ的にはぺったんこの方がいいなー」
「それはすぐにできるよ・・・ちょっと待ってね、サイズを5分の1に・・・形成!」
ぽちー
しゅこぉぉぉ・・・
ぉぉぉ・・・
・・・
「はい出来た、ここを・・・こうするとお胸が外れるから・・・取り替えて・・・これでどうかな?」
「うん!、すごくかっこいいと思う!」
ぽろ・・・ぽろっ・・・
「ぐすっ・・・ミィ・・・パパを恨んでいいからな・・・」
かちゃ・・・かちゃっ・・・
しゅこー・・・
しゅこー・・・
ぴっ・・・
ぴっ・・・
「・・・」
かちっ・・・
「ふぅ・・・」
「手伝おう」
「っ・・・所長っ!、どうしてここに」
「2日前、全員に休暇を出した時の君の顔を見れば誰だって分かる」
「・・・」
「・・・起動準備完了」
「はい、データ収集開始」
「脳波正常・・・暴れるかもしれないから身体の拘束はしておけ」
「了解です」
所長に続いて一人、また一人とここにやって来た、結局・・・プロジェクトチーム全員がここに揃ってミィが目覚めるのを待っている。
所長は陛下に謁見して私の違法行為に目を瞑ってもらえるよう交渉してくれていた、結果、この手術は私の知らない間に王命となり、この検証試験に関する全責任は陛下が被る事となった。
後で所長から聞いたのだが陛下は「娘さんの今後は悪いようにはしない、彼女も勇者と同様我が国を救った英雄だ、それに・・・私の首一つで世界が救われるのなら安いものだよ」と笑っていたらしい。
「うりゅ・・・ここどこ?・・・パパ?」
「ミィ、気分はどうかな?」
「わぁ・・・私・・・大人?になってりゅ?・・・わーい!、ミィね、早く大人になっていつもお仕事頑張ってるパパのお手伝いしたかったの!」
「あぅ・・・ミィィィィ!」
4年前に妻を事故で亡くし寂しい思いをさせていたミィがそんな事を考えていたなんて・・・私は涙と鼻水を流しながらミィに抱き付こうとした。
がしっ!
「ぐぇっ!」
「気持ちは分かるがまだデータ採取中だ」
所長に髪を掴まれた!、今首がコキってなったぞ!。
「わぁ・・・手足長いの!、背も高ぁーい!・・・パパぁ、見て見てー」
生体による実証試験とデータ採取が終わり研究所にある病室にミィが移された、しばらくここで術後の経過を観察する、ミィは・・・大きくなった自分の身体を動かし興味津々のようだ・・・良かった・・・。
起動直後の精神的な負荷を軽減する為に感情を抑える薬を同時投与したのだがその効果が切れて来たようだ。
結果としては大成功だった、今回の検証データを元に開発を進めれば不治の病に冒された子供の機械化改造手術も可能となるだろう・・・だが成功の喜びとは裏腹に娘を実験に利用してしまった罪悪感が私の中で生涯消えない傷として残った・・・。
ピッ!・・・アルミィ様が帰宅されました、リィ・オルネン様もご一緒です。
ぷしゅー
「パパただいまぁ!」
じゃんぷっ!
どすっ!
「ぐぇっ!」
「わぁぁ!、ミィちゃんダメだよ!、スチールさんの脇腹に膝が!」
「げほっ!・・・えふっ!・・・」
「あ・・・パパごめんなさい」
身体が大きくなっていてもミィはまだ7歳だ、帰宅して父親に飛び付いて甘える事もあるだろう・・・だが彼女の身体は強化骨格と人工筋肉で出来ていてかなり重量がある・・・私の身体は保つのだろうか・・・。
ミィが立ち上がり勇者様と並んで私に笑顔を向ける、黒髪ロングの勇者様と違ってミィは金髪ショートだ・・・買って貰ったのだろう・・・可愛いぬいぐるみが沢山入った紙袋を抱えている。
勇者様とは同じ部品が使われている同型の姉妹機だから身長は同じだが私のこだわりで胸はミィの方が少し大きい・・・機会があればもう少し大きくしたいな・・・そんな事を考えながら仲良くミィの部屋に向かう2人の姿を眺めた。
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