男批判の女 男として生きる~今を頑張る~

不思議な爺さん

文字の大きさ
1 / 3
揺れはじめた距離

「嫉妬しちゃう…」

しおりを挟む
今日もガールズバーに出勤している、のぞむ。

ママ
「のぞむくん、指名のお客様よ~」

のぞむ
「はい」

そう言って席に向かう。

美和
「のぞむくん、また来ちゃった」

最近は“イケメンの男性がいる”という噂が立ち、
女性客も増えていた。

のぞむ
「今日もありがとう」

美和
「だって筋肉すごくてイケメンなんだもん……」

のぞむ
「美和ちゃんも可愛いよ」

その言葉に、少しだけムッとした顔になる、のぶこ。

藤堂
「のぶこちゃん、どうしたの?」

のぶこ
「あ、いや……ちょっと考え事」

美和
「今日は無理だけど~次来た時、これ頼むからアフターしよ」

そう言って、メニュー表の一番高いボトルを指さす。

のぞむ
「うん、いいよ。急な予定ない限り行こ」

美和
「やった~!頑張って稼いじゃう!」

こんな感じで最近、のぞむは大人気である。

美和
「そろそろ帰るね」

のぞむ
「ありがとう。結構飲んだっぽいけど大丈夫?」

美和
「大丈夫じゃなかったら介抱してくれるの?」

のぞむ
「そういう事言えるって事は大丈夫だな」

美和
「もう~、バレたか」

笑いながら、会計を済ませる美和。

のぞむはドアまで見送る。

ドアの前で、美和がくるっと振り返る。

一瞬、間。

そして、のぞむに抱きついた。

美和
「またね」

ふわっと香水の匂いだけ残して、帰っていく。

そして、閉店時間となった。


ママ
「のぞむくんのおかげで売り上げも好調よ~」

ノゾミ
「本当に~女性人気すごいね~」

のぞむ
「いや、たまたまっすよ」

のぶこは、何も言わず黙々と片付けをしている。



片付けが終わり、
4人は店を出た。

のぞむが家に向かって歩き出すと――

のぶこ
「のぞむさん、途中まで一緒に帰ろ」

後ろから声がかかる。

のぞむ
「うん、いいよ」

並んで歩く。

少し沈黙。

のぶこ
「最近、すごい人気だね……」

のぞむ
「ま、まぁ、おかげ様で」

のぶこ
「なんか……嫉妬しちゃう……」

のぞむ
「え?」

のぶこは一瞬だけ笑う。

「……なんでもない」

少し歩いた先で足を止める。

「じゃ、私、こっちだから」

振り返らずに帰っていった。

のぞむは、その背中を少しだけ見送った。

ガールズバーは今日は休み。

いつもより少し静かな夜。
のぶこは、BARワンダーのカウンターに座っていた。

マスター
「最近、どうだ?のぶこちゃんも女になって1年ぐらいか?」

グラスを磨く音が、やけに響く。

のぶこ
「そうですね、なかなか大変だけど楽しいです」

笑っているのに、目が少しだけ揺れている。

社長
「それにしても浮かない顔してるように見えるで」

爺さん
「あの時の貴子ちゃんと同じ顔をしとるな」

マスター
「てことは俺が好きで、どうしようか迷ってるって事か…」

のぶこ
「マスターではないです…けど、そんな感じです…」

その空気を切るように、

カランカラン。

のぞむが入ってきた。

マスター
「いらっしゃい」

のぞむは何も考えず、いつもの席に腰を下ろす。

のぞむ
「あ、のぶこちゃん、来てたんだ」

のぶこ
「う、うん…」

ほんのり赤くなった頬を、グラスで隠す。

マスター
「最近、調子どう?」

のぞむ
「店に女性客も僕目当てできたりして結構大変です」

マスター
「そっか、こっちも俺目当てで、のぶこちゃんが来てる」

のぶこ
「マスター!違います!…好きな人はいますけど……」

一瞬、空気が止まる。

のぞむ
「そうなんだ両思いになるといいね」

のぶこ
「バカ……」小声でつぶやく

のぞむ
「えっ?」

そのタイミングで、

カランカラン。

1人の女性が入ってきた。

マスター
「いらっしゃい」

ドアのベルがまだ揺れている。

美和
「やっぱり、のぞむくん、ここだ~」

明るい声が、静かな店内に広がる。

サッと、のぞむの横に座って寄り添う。

のぞむ
「ちょ、ちょっと、近いよ~」

美和の香水がふわっと漂う。

のぶこ
「こんばんは…」

少し遅れて、視線を上げる。

美和
「こんばんは…あの店の子か……もしかしてデート?」

空気が、わずかに張る。

のぞむ
「違う違う、たまたま来たら居ただけだよ」

どこか慌てた声。

美和
「良かった~」

そう言って肩に顔を寄せる。

のぞむ
「だから、近いって…」

のぶこは、グラスをそっと置く。

のぶこ
「マスター…チェックで…」

マスター
「あいよ」

レジの音が、やけに静かに響く。

会計を済ませ、のぶこは店を出る。

ドアが閉まる音だけが残る。

マスター
「少々、席をはずします」

そう言って、のぶこを追いかけ店を出た。

店の外は、夜風が少し冷たかった。

マスター
「あのままでいいのか?」

少し前を歩くのぶこに、静かに声をかける。

のぶこは足を止めずに答える。

のぶこ
「まだ男を好きになるってのが、わからなくって…」

街灯の下、影が揺れる。

マスター
「貴子ちゃんも最初は、そうだった、爺さんの今を頑張る、今と向き合う、その言葉でかわった」

のぶこは、ほんの少しだけ視線を落とす。

のぶこ
「でも……ライバル多いんですもん、あの美和さんみたいな積極的な人は、いないけど…」

悔しさと、不安が混じった声。

マスター
「アイドルを好きになるって訳じゃないんだ、それだけ可愛いんだ自信持て」

のぶこ
「は、はい」

一瞬だけ、表情が柔らぐ。

マスター
「じゃ、また俺に会いたくなったら来て」

のぶこは振り返り、

のぶこ
「それはないでーす」とべ~って顔して、のぶこは去って行った

強がりの背中が、少しだけ軽く見える。

マスターは小さく笑い、店に戻った。

マスター
「ただいま戻りました」

ドアのベルが小さく鳴る。

社長
「えらい遅かったな」

美和
「もしかしてマスターのこれ?」と小指を立てる

店内の空気が少し緩む。

マスター
「違うよ、のぶこちゃんより、美和さんの方がタイプだな」

美和は鼻で笑う。

美和
「おっさんには興味無いでーす、あ、うちの店来てくれるなら、めちゃくちゃおもてなしするけど~」とマスターに名刺を渡す

マスターは受け取り、目を細める。

マスター
「キャバクラ「エンジェルブルー」かぁ、結構流行ってるらしいね」

美和
「のぞむくんも今度来てね」

のぞむは少し苦笑い。

のぞむ
「タイミングあったら行くよ」

美和
「約束だよ~、あ、そろそろ行かなきゃ、マスターチェック、のぞむくんの分も」

のぞむ
「え?いいよ、払うよ」

美和
「じゃあ、お店来た時に使って~、またね~」

軽く手を振りながら、会計を済ませ店を出た。

ベルの音が、ゆっくり静まる。

エンジェルブルー店内のトイレ。

鏡の前で、深く息をつく。

のぞむ
なんだよ、ちょっと触られただけで、こんなになるんだよ…

冷たい水で顔を洗い、何度か呼吸を整える。

しばらくして。

のぞむ
「ふぅ~、おさまった」

小さく呟き、制服を整えてからテーブルに戻る。

のぞむ
「お待たせ」

美和はすぐに顔を覗き込む。

美和
「大丈夫?お腹痛い?」

のぞむ
「いや、大丈夫、おさまったから」

少し視線を逸らす。

美和
「良かった~、でもさぁ、あの、のぶこって子と本当になんでもないのー?」

寄り添い、太ももに手をのせて、軽く動かす。

体温がじわりと伝わる。

杏奈
「何~?怪しい話~?」

と杏奈も寄り添い、太ももに手をのせる。

左右からの距離が一気に縮まる。

のぞむ
「なんでもないよ、ただの従業員仲間だよ~」

おさまったのに…やばいよ、なんだよ、これ…

呼吸がわずかに乱れる。

美和心の中
また反応してるw

杏奈をみてニヤつく。

杏奈もそれを見て、ニヤッとする。

美和
「次行った時…アフターしようね」

のぞむ
「うん……もちろん…」

美和
「いっぱい一緒に居てくれる?」

のぞむは、今は、おさまれ、って気持ちいっぱいで。

のぞむ
「うん…いいよ」

と返事をしてしまった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜

桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。 上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。 「私も……私も交配したい」 太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

処理中です...