冷遇され、虐げられた王女は化け物と呼ばれた王子に恋をする

林檎

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第一章 出会い編

異変

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ガターン!と何かが倒れるような音がした。大きな物音に驚き、ハッと顔を上げた。
着替えも終わっていないので肌着姿のままであることも忘れ、慌てて部屋から飛び出した。
そこには、床に倒れているルーファスの姿があった。苦しそうに胸を押さえている。

「殿下!?大丈夫ですか!?」

急いで彼に駆け寄り、抱き起した。
その時、彼の仮面が外れて床に落ちてしまった。
仮面から現れたその素顔は…、顔半分が黒い紋様で覆われていた。驚いたが今はそれどころじゃないと思い直し、彼を抱き起こした。
息が荒いし、顔色も悪い。とても苦しそう…。額に手を触れる。

「…ひどい熱…!」

触れただけで高熱だと分かるほどに身体が熱かった。その間にも彼は苦しそうに胸を抑え、声を上げた。

「あ、グッ…!」

「殿下!しっかりなさってください!今、人を…!」

早く医者を呼ばなければと立ち上がろうとするが、その手をガッとルーファスの手が掴んだ。
はあはあ、と荒い息を吐きながらも絞り出すような声を出し、

「よ、呼ぶな…!誰も…!」

「でも…!」

「へい、きだ…!すぐに…、おさまる…!」

「殿下…。」

「や、休めば…、治る…。」

あまりにも必死な彼の様子に迷ったが、彼の言葉に従った。

「で、では、せめてベッドまでお連れします…。あの、立てますか?」

彼の身体を支えて歩くのを手伝った。ルーファスは辛そうにしながらも何とか自力で立ち上がり、おぼつかない足取りで歩いた。ドサッと倒れ込むようにベッドの上に横になる。

「うっ…!」

そのまま蹲ってシーツを掴んだ。呻き声を上げた彼は苦悶の表情を浮かべている。
思わず手を伸ばし、背中を摩った。

「殿下…!」

「く、そっ…!何だ…!どうして…、今日は…、こんなにも…!」

「殿下!大丈夫ですか!?殿下!?」

歯を食い縛るように何かに耐えようとするルーファス。

「どこか痛むのですか!?どうして、突然…!」

「っ…、大丈夫、だ…。少し、無茶を、し過ぎた…。よりにもよって…、満月の日に…。」

「満月?」

窓の外を見れば夜空には満月が浮かんでいる。満月が彼の体調に関係するというのだろうか。
その間にもルーファスは苦しそうに呻き声を上げ、息遣いが荒くなっていく。
やっぱり、お医者様を呼んだ方がいいのでは…、そう思っていると、

「…くれ。」

「はい?」

「出て行ってくれ!早く!」

切羽詰まったように叫んだ彼に肩をビクつかせた。

「今すぐここから出て行け!」

「ッ!?」

腕を振り払われ、突き放される。私はその場に立ち尽くしたまま彼を見つめる。

「頼むから…!早く出て行ってくれ…!俺の気が…、変わらない内に…!」

「殿下!どうなさったのですか?」

おかしい。様子が変だ。目つきが険しくなっているし、さっきよりも呼吸が荒い。
ガシッと強く腕を掴まれる。はあはあ、と荒い息を吐く彼はこちらを見つめる。
ギッ、とこちらを見つめる目に息を呑んだ。鋭く、射殺すような目…。
まるで獰猛な獣の様だ。

「この、ままだと…、俺は…!」

そこまで言いかけて、彼は俯き、震えた。

「殿下…?」

彼に話しかけた次の瞬間、グイッと身体を引っ張られるような感覚がしたかと思うと、視界が反転した。

「キャッ…!?」

気付けばベッドの上に押し倒されていた。ギシッと音がしたと思うと、黒い影が覆いかぶさった。
見上げると、こちらを見下ろすルーファスと目が合った。

長い前髪の隙間から覗くルーファスの表情に戸惑った。
いつも彼の目は無感動で生気を感じなかった。でも、今は…、違う。
彼の目はギラギラとしていて、まるで獲物を狩る肉食獣のように眼を光らせていた。その瞳の奥には欲情の色が宿っている。
彼からは紛れもない雄を感じる。突然、雰囲気が変わった彼の様子に恐怖を感じた。

「殿…、」

言い終えるより早くに彼が覆いかぶさり、首筋に唇を寄せた。ふわっとシトラスの香りが鼻腔を擽る。
彼の熱い吐息を感じ、思わず身を固くする。

「ん…!」

そのまま首筋に唇を押し付けられ、舌で舐められ、カリッと歯を立てられる。
思わずビクン、と身体が跳ねた。

「殿、下…!ど、どうし…!」

おかしい。ルーファス殿下の様子が変だ。明らかに正気じゃない。
肩に手をかけるがルーファスの動きは止まらず、首筋に寄せていた顔を離し、そのまま下に移動する。
彼は肌着をガッと歯を立てるように口に咥えると、ビリリッと音を立てて、力任せに引き裂いた。

「きゃああ!?」

肌着しか身に着けていなかった肌を覆っていた布は簡単に破かれ、染み一つない白い肌が彼の目の前に晒される。

「いやっ…!」

慌てて両手で胸を覆い隠そうとするが両手首をルーファスに掴まれ、そのまま頭の上で押さえつけられる。胸を隠すこともできずに彼の目の前に身体を曝け出している状態にかああ、と顔を赤くし、思わず身を竦ませる。

「や…!み、見ないで!見ないで下さい…!」

「これが女の…、」

ルーファスは飢えた獣のような目でじっと私の胸を見つめている。
そのまま彼の手が無遠慮に胸に触れる。
ハア…、と荒い息を吐きながら、彼は私の胸を揉みしだく。

「あっ…!で、殿下…!お、お止め下さ…!」

涙目になってそう叫ぶが彼は私の声など聞こえていない様子で胸を包み込むように揉み続ける。
時々、胸を撫でられるように触られる。揉んだり、撫でたりを繰り返され、初めて感じる刺激に段々身体が熱くなっていく。

「ふ、あ…、だ、め…、」

口から出る言葉は弱弱しいもので先程よりも張りがない。身体に力が入らない。
触られれば触られる程に自分の身体が敏感になっていくのが分かる。やがて、ルーファスは唇を胸に近付けると、そのまま舌を這わせた。

「ッあ…!や、あ…!」

彼の舌が自分の胸を舐めている。その事実と胸を舐める卑猥な音にリスティーナは強い羞恥心に襲われる。裸になった胸を見られて、触られて舐められている。
恥ずかしくて堪らない。それなのに…、どうしてか身体が熱くなってしまい、はしたない声を上げてしまう自分がいる。

「あっ…、んっ…!は、あ…!」

口から出るのは自分でも聞いたことがないような喘ぎ声…。
こんなの…、私じゃない。そんな感覚に囚われる。
このままだと自分がどうにかなってしまいそうでこの先の行為が怖くて堪らない。
それなのに…、それ以上に気持ちいいと思う自分がいる。もっとして欲しいとも思ってしまう。
そんな自分が信じられなかった。

「ああ…、甘い…。」

ルーファスは、はあ…、と熱い吐息を零しながら興奮した様子で呟いた。
息が胸にかかり、それだけでビクッ、と身体が震えた。
グッと胸を鷲掴みにされる。

「痛っ…!」

そのまま胸だけでなく、腹や腰、背中などを撫でまわされる。
ツツ―、と全身をなぞるように触れられる。

「柔らかい…。女の肌がこんなにも柔らかいとは…、」

「ん…、あ…!や…!」

彼の舌や指が触れるだけで強く反応してしまう。
首筋を舐められ、乳首を摘まれる。指の間に乳首を挟んでクリクリと揉みしだかれる。

「あ、あ…!ふ、あ…!」

もっと触って欲しい…。
縋るような目を向けると、尖った乳首をルーファスの指がピン、と弾いた。

「ああっ!」

強い刺激に喉をのけぞらせて、喘いだ。

「ハッ…!その声…、そそるな…。もっと、聞かせろ…。」

そう言って、ルーファスは胸の先端を口に含めると、コロコロと舌で転がした。
乳首を舐められ、音を立てて吸われる。

「は、あ…、ぁあっ!」

「ん…。やっぱり、甘い…。」

不意に彼は私を押さえつけていた手を離した。
そのまま私の右手首を手に取り、唇を近づけると、ペロッと指を赤い舌で舐めた。

「きゃ…!?あ、や…!」

慌てて手を引こうとするが手首を掴む力が強くてビクともしなかった。彼の熱い舌が私の指を舐め回す。

「や、やめ…、な、舐めないで…!」

生温い感触にぞくりとしたものが背筋に走った。

「ああ…。ここも甘いな…。お前はどこもかしこも甘そうだ…。」

彼は目を細めて唇の端を上げて笑った。獰猛な笑みと瞳の奥に獣じみた光を宿した目…。
そんな彼から私は目が離せなかった。
ルーファスは指から唇を離すと、ペロッと舌なめずりをした。
情欲を宿した目は逃がさないとでもいうかのようにそのまま私の首裏に手を回し、グッと顔を近づける。
今すぐ唇が重なりそうな位に密着したかと思えば彼は首筋に顔を埋める。

「いい匂いがする…。お前は匂いまで甘いんだな…。」

そのまま彼の手は私の太腿を撫で上げ、そのまま膝を掴むと、グッと押し広げるようにして固く閉じた足を開かせた。
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