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第二章 相思相愛編
晩餐のメニュー
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「ルーファス様。今日は晩餐の席にお誘い下さり、ありがとうございます。」
「いや…。礼を言うのはこちらの方だ。急な誘いにも関わらず、来てくれて感謝する。」
ルーファスはふと、リスティーナの背後で一礼して下がるロイドに目を向けた。
「ルーファス様?」
「ああ。いや。何でもない。晩餐の支度が整うまで、まだ時間がある。少し外を歩かないか?」
「はい。」
リスティーナはルーファスの言葉にニコッと嬉しそうに微笑んだ。
ルーファスは柔らかい笑みを浮かべ、片手を差し出した。
そんなルーファスにリスティーナはドキドキしながら、彼の掌の上に手を重ねた。そのまま彼にエスコートされながら、夜の庭園を歩いた。
「ロイドと何かあったのか?」
「あ…、実はロイドが迎えに来てくれた時に兜を外したら、侍女達が驚いて悲鳴を上げてしまって…。ロイドに申し訳ない事をしてしまいました。」
リスティーナは正直にさっきあったことを彼に説明した。
「ああ。ロイドの顔を見たのか。だが、君はロイドを見ても態度を変えなかったのだろう。」
「え?」
ルーファス様はその場にいなかったのにまるで何があったのか知っているような口振りだった。
どうして、知っているのだろう?リスティーナがそんな思いでルーファスを見つめていると、
「君は見た目で人を判断しない女性だということは俺がよく知っている。」
「そんな…。ルーファス様は私を買い被り過ぎです。」
そもそも、少し人と見た目が違うというだけで差別をする人達の方がおかしい。
初対面で悲鳴を上げたり、逃げ出すなんてあまりにも失礼だし、相手を傷つける行為だ。
「現にロイドは君を認めている。あの貴族と女嫌いのロイドからしたら、珍しい事だ。」
「そうなのですか?」
「ロイドが元奴隷だという話は知っているか?」
「あ、はい。ロイドから聞きました。」
「ロイドは元々、ある貴族の未亡人の奴隷だったそうだ。運が悪い事にロイドを買ったその女主人は血を見るのが好きという残虐性のある女だったらしい。その女は、今までにも数え切れない程、奴隷を甚振り、殺してきたそうだ。ロイドのあの火傷も主人の女につけられたものだ。」
「え!じゃあ、ロイドの傷は事故とかではなく、わざとあんな火傷を負わされたという事ですか!?」
「ああ。実験と称して、劇薬をロイドの顔にかけたそうだ。その後、火傷の痕が残ったロイドを見て、醜いという理由でロイドを捨てたらしい。」
吐き捨てるように言うルーファスにリスティーナは絶句した。
ひどい!何て惨い事をするのだろうか。おまけに自分でロイドの顔に傷を負わせておきながら、捨てるだなんて…!
「暗い話をして、悪かったな。ロイドは俺の専属騎士だから、君とも今後は関わることになる。だから、君にも話しておきたかったんだ。」
「いえ。そんな…!でも、あの…、私が聞いてもいい話だったのでしょうか?」
「ああ。さっきのロイドを見たら、すぐに分かった。あいつは、君を信用している。ロイドは元々、リスティーナを俺の妻として認めることができたら、自分の過去を話してくれて構わないと言っていたからな。」
「そうだったんですか…。ということは、私、ロイドに認められたんですね。」
リスティーナはホッとした。あの短いやり取りだけでどうして、リスティーナを認めてくれたのかは分からないけど…。良かった。そう安堵していると、ルーファスはフッと笑った。
「そこで怒らないのが君らしいな。普通なら、奴隷出身の男が生意気な、とでも言って怒りだす所だ。」
「そんな事…、ロイドは確かに元は奴隷だったかもしれませんが今ではルーファス様の騎士なのでしょう?それに、ロイドはずっとルーファス様に仕えてくれているのです。ルーファス様が信頼している騎士をそのように軽んじる事なんてできません。」
「本当に、君は…。」
ルーファスはそう言って、リスティーナを優しい眼差しで見つめた。
その視線にリスティーナは胸がドキドキした。熱い…。熱くて、身体が溶けてしまいそう…。
リスティーナは慌てて目を逸らした。
これ以上、見ていたら、本当にどうにかなってしまいそうだ。
その後、ルーファスに連れられて、部屋に戻ったリスティーナは椅子に座り、出された食事に目を留めた。
「どうした?何か気に入らない料理でもあったか?」
「い、いえ!違います!そうではなくて…、その…、私が好きな料理ばかりだったので…、」
トマトとバジルにチーズの前菜、豆のスープ、葉野菜とオリーブのサラダ、きのこのソテーにアスパラガスのバター炒め、ふわふわの白パンに鮭のムニエル…。全部、私の好物ばかり…。
これは、偶然?いや。偶然でこんなに好物のメニューが被る筈がない。
「あの…、もしかして、私の好きな料理をわざわざ…?」
「そうですよ。殿下がリスティーナ様の好物を用意するようにって言うので、僕がスザンヌさんに事前にリスティーナ様の好みを聞いておいたんです。」
「ルカ。余計な事を言うな。」
得意げなルカにルーファスはジロッと睨みつけた。
ルーファス様がわざわざ私の為に…。リスティーナは胸の中にじんわりと温かいものが広がった。
とても嬉しいけど、リスティーナは気になる事があった。
「あの…、でも、ルーファス様は野菜が苦手だったのでは…?」
リスティーナの好物は野菜だ。でも、確か彼は野菜が苦手だった筈。
「…別に嫌いではない。」
「何、言ってるんですか。殿下は僕達が野菜を幾ら勧めても一口も食べないじゃないですか。
だから、僕、リスティーナ様と一緒に食事をした時に殿下が野菜を食べたと聞いた時はびっくりしましたよ。」
「ルカ。」
ルーファスはルカをまたしても睨みつけた。が、ルーファスの従者をしているだけあってルカも慣れてきたのか素知らぬ顔で給仕を続けた。リスティーナの給仕をしていたリリアナがそっとその耳に囁いた。
「リスティーナ様のおかげで殿下の野菜嫌いも改善されそうですわ。ありがとうございます。こちらの料理は全て殿下がリスティーナ様の為に用意させたものです。ですから、どうぞ遠慮せずにお召し上がりください。」
「リリアナ…。」
リスティーナはリリアナの言葉に少しだけホッとした。
彼に嫌いな料理を食べさせてしまったという申し訳ない気持ちが少しだけ薄らいだ気がする。
そうだ。殿下に悪いと思うよりも先に伝えなければならない事がある。
「ルーファス様。ありがとうございます。わざわざ私の為にここまでして下さって…、嬉しいです。とても。」
それは、リスティーナの本心だった。
一緒に食事を共にできるだけでも嬉しいのに、私の好物まで用意してくれるなんて思わなかった。
リスティーナが微笑んで礼を口にすると、ルーファスは少しだけ照れたように、頷いた。
「君は野菜が好きなんだな。他に好きな食べ物はあるのか?」
「はい。野菜も好きですけど、後は果物が好きです。特にオレンジが好きで…、後はレモンを使ったお菓子や飲み物も好きです。」
「そうか。」
リスティーナの言葉にルーファスは静かに頷いた。
「ルーファス様は?何か好きな食べ物はありませんか?」
「いや。俺は…、特にこれといった好物はない。」
好物の料理を堪能しながら、リスティーナはルーファスとの会話を楽しんだ。
ルーファスは口数が多い方ではないがそれでも彼と過ごす空間はとても心地よいものだった。
それに、会話が途切れて、お互い無言になっても気まずくなるということもない。
むしろ、無言になってもその空気は穏やかで一緒にいるだけで安心する。
好きな人と一緒に過ごせるのだ。それだけでリスティーナは幸せな気持ちで一杯だった。
そんな二人をルカ達は生暖かい目で見守った。
食事を終えた二人が部屋に戻ったのを見送ったルカ達ははしゃいだ。
「やりましたね!ロジャーさん!あの反応を見るにリスティーナ様は殿下にときめいていましたよ!やっぱり、女性が男の意外性な一面に弱いというのは間違っていなかった!」
「正直、あんなことしなくても、あの二人なら大丈夫そうな気はするのですけど…、」
「甘いですよ!リリアナ!リスティーナ様程の美人さんなら、他にも狙ってくる男がいるに決まっているでしょう!幾ら、今は殿下の側室でも、人妻だからって狙ってくる男は世の中たくさんいるんですから!例えば、顔良し、性格良し。権力も金もある男に言い寄られたら、リスティーナ様だってコロッと靡いてしまうかもしれないじゃないですか!だから、今の内にもっと殿下に夢中になって貰わないと…!」
「リスティーナ様が美しいのは十分知っているわ。でも、リスティーナ様はそんな不誠実な方ではないわ。それに、リスティーナ様はもう十分、殿下に恋をしている。だから、そんなに焦らなくても、大丈夫…、」
「そういった油断が命取りになるんです!というか、リスティーナ様みたいな清純そうな女性が一番危険なんですよ!ああいう純粋無垢な女性を穢したい、自分の色に染めたいって考える男がどれだけ多い事か!最初は無理矢理でも段々と気持ちよくなって、背徳感に目覚めて快楽に溺れるなんてこともあるんですから!一度関係を持ってしまったら、最後。ずるずると関係を続ける羽目になって最終的には夫よりもその不倫相手の方が気持ちいいと思うようになったりとか…!」
「…何だか、妙に内容が具体的すぎない?」
「ルカ。お前はまた、下らない官能小説でも読んだのか?」
呆れた視線を向けるロジャーとリリアナにルカはギクッとした。
「ち、違いますよ!僕を何だと思っているんですか!これは、例えばの話です!別に最近、下町で流行りの『狙われた人妻』なんて読んでませんって!」
「…あなたに恋人ができない理由が分かった気がするわ。」
見事に自爆したルカにリリアナが溜息を吐きながら、そう言った。
その言葉にルカはガーン!とショックを受けたように固まった。
そんな二人を横目にロジャーは目元の皺を和ませながら、ルーファスとリスティーナの去った方向を見つめ、安堵したように微笑んでいた。
「いや…。礼を言うのはこちらの方だ。急な誘いにも関わらず、来てくれて感謝する。」
ルーファスはふと、リスティーナの背後で一礼して下がるロイドに目を向けた。
「ルーファス様?」
「ああ。いや。何でもない。晩餐の支度が整うまで、まだ時間がある。少し外を歩かないか?」
「はい。」
リスティーナはルーファスの言葉にニコッと嬉しそうに微笑んだ。
ルーファスは柔らかい笑みを浮かべ、片手を差し出した。
そんなルーファスにリスティーナはドキドキしながら、彼の掌の上に手を重ねた。そのまま彼にエスコートされながら、夜の庭園を歩いた。
「ロイドと何かあったのか?」
「あ…、実はロイドが迎えに来てくれた時に兜を外したら、侍女達が驚いて悲鳴を上げてしまって…。ロイドに申し訳ない事をしてしまいました。」
リスティーナは正直にさっきあったことを彼に説明した。
「ああ。ロイドの顔を見たのか。だが、君はロイドを見ても態度を変えなかったのだろう。」
「え?」
ルーファス様はその場にいなかったのにまるで何があったのか知っているような口振りだった。
どうして、知っているのだろう?リスティーナがそんな思いでルーファスを見つめていると、
「君は見た目で人を判断しない女性だということは俺がよく知っている。」
「そんな…。ルーファス様は私を買い被り過ぎです。」
そもそも、少し人と見た目が違うというだけで差別をする人達の方がおかしい。
初対面で悲鳴を上げたり、逃げ出すなんてあまりにも失礼だし、相手を傷つける行為だ。
「現にロイドは君を認めている。あの貴族と女嫌いのロイドからしたら、珍しい事だ。」
「そうなのですか?」
「ロイドが元奴隷だという話は知っているか?」
「あ、はい。ロイドから聞きました。」
「ロイドは元々、ある貴族の未亡人の奴隷だったそうだ。運が悪い事にロイドを買ったその女主人は血を見るのが好きという残虐性のある女だったらしい。その女は、今までにも数え切れない程、奴隷を甚振り、殺してきたそうだ。ロイドのあの火傷も主人の女につけられたものだ。」
「え!じゃあ、ロイドの傷は事故とかではなく、わざとあんな火傷を負わされたという事ですか!?」
「ああ。実験と称して、劇薬をロイドの顔にかけたそうだ。その後、火傷の痕が残ったロイドを見て、醜いという理由でロイドを捨てたらしい。」
吐き捨てるように言うルーファスにリスティーナは絶句した。
ひどい!何て惨い事をするのだろうか。おまけに自分でロイドの顔に傷を負わせておきながら、捨てるだなんて…!
「暗い話をして、悪かったな。ロイドは俺の専属騎士だから、君とも今後は関わることになる。だから、君にも話しておきたかったんだ。」
「いえ。そんな…!でも、あの…、私が聞いてもいい話だったのでしょうか?」
「ああ。さっきのロイドを見たら、すぐに分かった。あいつは、君を信用している。ロイドは元々、リスティーナを俺の妻として認めることができたら、自分の過去を話してくれて構わないと言っていたからな。」
「そうだったんですか…。ということは、私、ロイドに認められたんですね。」
リスティーナはホッとした。あの短いやり取りだけでどうして、リスティーナを認めてくれたのかは分からないけど…。良かった。そう安堵していると、ルーファスはフッと笑った。
「そこで怒らないのが君らしいな。普通なら、奴隷出身の男が生意気な、とでも言って怒りだす所だ。」
「そんな事…、ロイドは確かに元は奴隷だったかもしれませんが今ではルーファス様の騎士なのでしょう?それに、ロイドはずっとルーファス様に仕えてくれているのです。ルーファス様が信頼している騎士をそのように軽んじる事なんてできません。」
「本当に、君は…。」
ルーファスはそう言って、リスティーナを優しい眼差しで見つめた。
その視線にリスティーナは胸がドキドキした。熱い…。熱くて、身体が溶けてしまいそう…。
リスティーナは慌てて目を逸らした。
これ以上、見ていたら、本当にどうにかなってしまいそうだ。
その後、ルーファスに連れられて、部屋に戻ったリスティーナは椅子に座り、出された食事に目を留めた。
「どうした?何か気に入らない料理でもあったか?」
「い、いえ!違います!そうではなくて…、その…、私が好きな料理ばかりだったので…、」
トマトとバジルにチーズの前菜、豆のスープ、葉野菜とオリーブのサラダ、きのこのソテーにアスパラガスのバター炒め、ふわふわの白パンに鮭のムニエル…。全部、私の好物ばかり…。
これは、偶然?いや。偶然でこんなに好物のメニューが被る筈がない。
「あの…、もしかして、私の好きな料理をわざわざ…?」
「そうですよ。殿下がリスティーナ様の好物を用意するようにって言うので、僕がスザンヌさんに事前にリスティーナ様の好みを聞いておいたんです。」
「ルカ。余計な事を言うな。」
得意げなルカにルーファスはジロッと睨みつけた。
ルーファス様がわざわざ私の為に…。リスティーナは胸の中にじんわりと温かいものが広がった。
とても嬉しいけど、リスティーナは気になる事があった。
「あの…、でも、ルーファス様は野菜が苦手だったのでは…?」
リスティーナの好物は野菜だ。でも、確か彼は野菜が苦手だった筈。
「…別に嫌いではない。」
「何、言ってるんですか。殿下は僕達が野菜を幾ら勧めても一口も食べないじゃないですか。
だから、僕、リスティーナ様と一緒に食事をした時に殿下が野菜を食べたと聞いた時はびっくりしましたよ。」
「ルカ。」
ルーファスはルカをまたしても睨みつけた。が、ルーファスの従者をしているだけあってルカも慣れてきたのか素知らぬ顔で給仕を続けた。リスティーナの給仕をしていたリリアナがそっとその耳に囁いた。
「リスティーナ様のおかげで殿下の野菜嫌いも改善されそうですわ。ありがとうございます。こちらの料理は全て殿下がリスティーナ様の為に用意させたものです。ですから、どうぞ遠慮せずにお召し上がりください。」
「リリアナ…。」
リスティーナはリリアナの言葉に少しだけホッとした。
彼に嫌いな料理を食べさせてしまったという申し訳ない気持ちが少しだけ薄らいだ気がする。
そうだ。殿下に悪いと思うよりも先に伝えなければならない事がある。
「ルーファス様。ありがとうございます。わざわざ私の為にここまでして下さって…、嬉しいです。とても。」
それは、リスティーナの本心だった。
一緒に食事を共にできるだけでも嬉しいのに、私の好物まで用意してくれるなんて思わなかった。
リスティーナが微笑んで礼を口にすると、ルーファスは少しだけ照れたように、頷いた。
「君は野菜が好きなんだな。他に好きな食べ物はあるのか?」
「はい。野菜も好きですけど、後は果物が好きです。特にオレンジが好きで…、後はレモンを使ったお菓子や飲み物も好きです。」
「そうか。」
リスティーナの言葉にルーファスは静かに頷いた。
「ルーファス様は?何か好きな食べ物はありませんか?」
「いや。俺は…、特にこれといった好物はない。」
好物の料理を堪能しながら、リスティーナはルーファスとの会話を楽しんだ。
ルーファスは口数が多い方ではないがそれでも彼と過ごす空間はとても心地よいものだった。
それに、会話が途切れて、お互い無言になっても気まずくなるということもない。
むしろ、無言になってもその空気は穏やかで一緒にいるだけで安心する。
好きな人と一緒に過ごせるのだ。それだけでリスティーナは幸せな気持ちで一杯だった。
そんな二人をルカ達は生暖かい目で見守った。
食事を終えた二人が部屋に戻ったのを見送ったルカ達ははしゃいだ。
「やりましたね!ロジャーさん!あの反応を見るにリスティーナ様は殿下にときめいていましたよ!やっぱり、女性が男の意外性な一面に弱いというのは間違っていなかった!」
「正直、あんなことしなくても、あの二人なら大丈夫そうな気はするのですけど…、」
「甘いですよ!リリアナ!リスティーナ様程の美人さんなら、他にも狙ってくる男がいるに決まっているでしょう!幾ら、今は殿下の側室でも、人妻だからって狙ってくる男は世の中たくさんいるんですから!例えば、顔良し、性格良し。権力も金もある男に言い寄られたら、リスティーナ様だってコロッと靡いてしまうかもしれないじゃないですか!だから、今の内にもっと殿下に夢中になって貰わないと…!」
「リスティーナ様が美しいのは十分知っているわ。でも、リスティーナ様はそんな不誠実な方ではないわ。それに、リスティーナ様はもう十分、殿下に恋をしている。だから、そんなに焦らなくても、大丈夫…、」
「そういった油断が命取りになるんです!というか、リスティーナ様みたいな清純そうな女性が一番危険なんですよ!ああいう純粋無垢な女性を穢したい、自分の色に染めたいって考える男がどれだけ多い事か!最初は無理矢理でも段々と気持ちよくなって、背徳感に目覚めて快楽に溺れるなんてこともあるんですから!一度関係を持ってしまったら、最後。ずるずると関係を続ける羽目になって最終的には夫よりもその不倫相手の方が気持ちいいと思うようになったりとか…!」
「…何だか、妙に内容が具体的すぎない?」
「ルカ。お前はまた、下らない官能小説でも読んだのか?」
呆れた視線を向けるロジャーとリリアナにルカはギクッとした。
「ち、違いますよ!僕を何だと思っているんですか!これは、例えばの話です!別に最近、下町で流行りの『狙われた人妻』なんて読んでませんって!」
「…あなたに恋人ができない理由が分かった気がするわ。」
見事に自爆したルカにリリアナが溜息を吐きながら、そう言った。
その言葉にルカはガーン!とショックを受けたように固まった。
そんな二人を横目にロジャーは目元の皺を和ませながら、ルーファスとリスティーナの去った方向を見つめ、安堵したように微笑んでいた。
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