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第四章 覚醒編
リスティーナの祈り
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ここに来てから、ルーファスの体調は急変することなく、穏やかに過ごしていた。
食欲もあり、リスティーナが作った食事も食べてくれている。
食の細いルーファスでも食べられるようにと、今日の昼食はパンプキンスープと胡桃パンにしてみた。
パンとスープを完食してくれたルーファスにリスティーナはホッとした。
このままきちんと食事を摂ってくれるといいな。
少しずつ食事の量を増やして、できれば精のつく料理も食べさせてあげたい。
だけど、急に食事の量を増やすと、ルーファス様の胃に負担をかけてしまう。
今は少しずつ様子を見ながら、食事の量と内容を変えていければ…、
「リスティーナ様。」
「あ、ルカ。」
ルーファスが食べ終えた皿を持って、廊下を歩いていると、ルカに会った。
「もしかして、それ厨房に持っていく洗い物ですか?それなら、僕が持って行きますから、リスティーナ様は殿下の傍にいてあげてください。」
「いいの?ありがとう。」
ルカの心遣いに感謝して、リスティーナはルカに皿を乗せたお盆を渡した。
「あ、そうだ。さっき、頂いたスープとパン、すごく美味しかったですよ。」
「本当?良かった。」
ルーファスの分を作るついでにルカ達の分も作っておいた食事のことだ。
美味しいと言って貰えてリスティーナは嬉しそうに頬を緩めた。
「何だか、元気が出たというか…、心なしか魔力が強くなった気がします。」
「そんなに喜んでくれるなんて思わなかったわ。ルーファス様がもう少し食べれるようになったら精のつく料理も食べてもらいたいと思ってるの。その時はまた、ルカの分も用意するわね。」
「本当ですか!?あ、それなら、僕は肉料理がいいです!」
「こら!ルカ!リスティーナ様に何て事を言うの!少しは遠慮なさい!」
「わっ!?リリアナ!?」
ルカとリスティーナの間に割って入ってきたのはリリアナだった。
「ロジャー様に言いつけるわよ!」
「うわあああ!ごめんなさい!もう二度と言いませんから、それだけは…!」
「り、リリアナ。別にそこまで大事にしなくても…。私は気にしてないから…。」
「まあ、リスティーナ様。何てお優しい。」
「それより、どうかしたの?」
「あ、そうでした。ルカに氷を分けてもらおうと思いまして…、ルカ。このバケツに氷を入れてくれない?」
「あ、はい。勿論です。」
ルカは懐から杖を取り出すと、呪文を唱えて、魔法を発動した。
いつもルカが使っている魔法だ。ルーファス様の氷枕を作る時もこの魔法を使っている。
いつもこれでバケツに八割程度の氷を出してくれるのだが…、魔法を発動した瞬間、大量の氷が溢れかえり、物凄い勢いで氷が生み出されていく。
「ちょ!?ルカ!多すぎ!こんなにいらないから!」
気付いた時にはバケツから零れ出た氷が床に散乱していた。しかも、氷の一つ一つが大きい。
「あ、あれ?おかしいな。いつもと同じようにやっただけなのに…。」
ルカは杖を見ながら、不思議そうに首を傾げた。
「ルカ。あなた、魔力増幅薬でも飲んだの?」
「飲んでませんよ!僕にも訳が分からなくて…。」
魔力が高くなった気がするって言ってたけど、本当だったのね。
魔力って、急に増えることもあるのかな。わたしは魔力がないからそういうことは分からない。
今度、エルザに手紙で聞いてみようかな。
結局、原因は分からないまま、リスティーナはルカ達と別れて、ルーファスの部屋に戻った。
「よし。ここなら、誰もいないし…。」
ルカは庭の広い場所に一人で来ると、周囲を見回した。
うん。人はいないから魔法を使っても大丈夫そうだ。
ルカは早速試しに魔法を使ってみる事にした。
「氷の刃」
杖を振って、魔法を発動すると、氷の刃が無数地面に突き刺さった。
その数にルカは自分でも驚いた。
え…。いつもこんなに大量の氷の刃を発動することはできなかったのに…。
「古代文字を解読できるようになったから?」
考えても仕方ない。今度は古代魔法の初級魔法を使ってみよう。
ルカは古代魔法の練習を始めた。
『凍結』
パキ、パキと音を立てて、地面が凍っていく。
よし!成功だ!そう思い、笑顔になったのも束の間…、ルカの魔法は地面だけでなく、花壇や木まで凍らせてしまい、広範囲にわたって凍結させてしまった。
勿論、そのせいでルカはロジャーにこっ酷く叱られた。
「ルーファス様。今日はおやつにチョコレートのムースを作ってみたんです。」
リスティーナはお茶の準備をしながら、おやつの時間に合わせて作っておいたムースを持ってきた。
スポンジや生クリームを使ったケーキだと、ルーファスの胃に負担になるかと思い、口当たりのいいムースにしてみた。
「もし、食べられそうでしたら、どうぞ。」
「ああ。ありがとう。今日のお茶はミントの香りがするな。」
リスティーナが淹れてくれたハーブティーの香りを嗅いだルーファスはそう口にした。
「今日はフレッシュミントティーにしてみました。今朝採ってきたばかりのミントを使ってるので新鮮なハーブティーですよ。」
「今朝?」
「ここの庭にミントが生えていたので少し分けてもらったんです。ここは野生のハーブがたくさんあるんですね。スペアミントにアップルミントもあったので、私ったらつい懐かしくて、はしゃいでしまって…。」
「君は本当にハーブや植物が好きなんだな。母国でも育てていたのか?」
「はい。小さな花壇でしたけど、エルザ達と一緒にハーブを育てていました。そのハーブでクッキーやスープを作ったり、ハーブティーにして飲んだりもして…。」
メイネシアでエルザ達と過ごした日々を思い返しながら、リスティーナはルーファスにその思い出を話した。
「メイネシアではどんなハーブを育てていたんだ?」
「スペアミントとアップルミントにカモミール、後はローズマリーに…、」
ハーブの話なんてしても、面白くないだろうにルーファスはリスティーナの話を真剣に聞いてくれた。
「昨日食べたハーブのクッキーも美味かったが、このムースも美味いな。お茶ともよく合う。」
「ありがとうございます。」
ルーファスの言葉にリスティーナは思わず笑顔になった。
「次は苺のババロアやかぼちゃのプリンを作ろうかなとも思ってるんです。もし、ルーファス様が食べたい物があればいつでも言って下さいね。」
どうせなら、ルーファス様が食べられる物、ルーファス様の好物を作る方がいい。
できる範囲でなら作ってみよう。そう意気込むリスティーナにルーファスは微笑んだ。
「君の料理やお菓子は何でも美味いから、俺の事は気にするな。リスティーナが食べたい物を作ってくれればそれでいい。」
ルーファスの気遣いが嬉しくて、リスティーナは微笑んだ。
ルーファス様とこうして、お茶を飲める時間が持てるなんて…。
幸せだと思った。できることなら、ずっとこうして、ルーファス様と一緒に過ごしたい。
このまま時が止まってしまえばいいのに…。
リスティーナは心からそう願った。
「はあ…。やっぱり、どこにも呪いを解く方法なんて載ってない…。」
リスティーナは山積みになった本を前にして、深い溜息を吐いた。
ここにある書庫で呪いに関する本はこれで全部だ。ここも駄目だった。
王宮の図書室に置いてある呪術に関する本も読んだけど、手掛かり一つない。
エルザから教えてもらった情報を頼りに調べてみたけど、そういった事例があるだけで肝心の解除方法が分からない。エルザの言った通り、ルーファス様と同じ呪いに罹った子は皆、成人前に亡くなっている。
どうしよう。早くして、呪いを解く方法を見つけないといけないのに…。
焦りばかりが募ってしまう。
やっぱり、自力で呪いを解く方法を見つけるなんて無理なのかな…。
どんどん悪い方向に考えてしまう自分を激励するようにリスティーナは頬を両手で叩く。
弱気になっては駄目!諦めないと心に決めたばかりなんだから…!
だけど、これ以上はもう調べようがない。一体、どうすれば…。
『信じなさい。』
その時、リスティーナの脳裏にあの老婆の言葉が甦った。
信じる…。リスティーナはそっと太陽のペンダントに手を触れる。
もし…、本当に女神様がこの世にいるなら…、ルーファス様を救ってくれることができるかもしれない。
だけど…、本当に?
リスティーナは母の死を思い出す。
本当に女神様がいるのなら、母を助けることができた筈…。
でも、五年前に母を救ってくれるように必死に祈っても、母は助からなかった。
穏やかで優しかった母。まだ若く、あんなに早く死ぬべき人じゃなかった。
どうして、優しい母が死んで、父王や王妃、異母兄弟達が生きているのだろうか。
思わず心の中でそんな黒い感情を抱いてしまったこともある。
大切な人や善人な人程、儚く消えてしまう。
それは身を持って経験している。
もうあんな思いはしたくない。
キュッと唇を噛み締める。
母が亡くなってから、リスティーナは心から祈ることができなくなってしまった。
祈った所でそれが聞き届けられることはない。
ずっとそう思っていた。だけど…、どうしてだろう。あの時のおばあさんの言葉が忘れられない。
現に今、リスティーナは心の中で葛藤している。
今の私にできる事…。それは何?
ギュッとペンダントを握り締め、リスティーナは心に決めた。
もう一度だけ…、信じてみよう。もう、今の私には女神様に祈る事しかできないのだから…。
最後の望みを…、託そう。
リスティーナは窓辺に向かって視線を向け、ペンダントを手にそっと女神様に祈りを捧げた。
癒しの女神、アリスティア様…。
どうか、お願いします…。ルーファス様を助けて下さい…!
窓辺から日の光が射しこみ、リスティーナに光が降り注いだ。
食欲もあり、リスティーナが作った食事も食べてくれている。
食の細いルーファスでも食べられるようにと、今日の昼食はパンプキンスープと胡桃パンにしてみた。
パンとスープを完食してくれたルーファスにリスティーナはホッとした。
このままきちんと食事を摂ってくれるといいな。
少しずつ食事の量を増やして、できれば精のつく料理も食べさせてあげたい。
だけど、急に食事の量を増やすと、ルーファス様の胃に負担をかけてしまう。
今は少しずつ様子を見ながら、食事の量と内容を変えていければ…、
「リスティーナ様。」
「あ、ルカ。」
ルーファスが食べ終えた皿を持って、廊下を歩いていると、ルカに会った。
「もしかして、それ厨房に持っていく洗い物ですか?それなら、僕が持って行きますから、リスティーナ様は殿下の傍にいてあげてください。」
「いいの?ありがとう。」
ルカの心遣いに感謝して、リスティーナはルカに皿を乗せたお盆を渡した。
「あ、そうだ。さっき、頂いたスープとパン、すごく美味しかったですよ。」
「本当?良かった。」
ルーファスの分を作るついでにルカ達の分も作っておいた食事のことだ。
美味しいと言って貰えてリスティーナは嬉しそうに頬を緩めた。
「何だか、元気が出たというか…、心なしか魔力が強くなった気がします。」
「そんなに喜んでくれるなんて思わなかったわ。ルーファス様がもう少し食べれるようになったら精のつく料理も食べてもらいたいと思ってるの。その時はまた、ルカの分も用意するわね。」
「本当ですか!?あ、それなら、僕は肉料理がいいです!」
「こら!ルカ!リスティーナ様に何て事を言うの!少しは遠慮なさい!」
「わっ!?リリアナ!?」
ルカとリスティーナの間に割って入ってきたのはリリアナだった。
「ロジャー様に言いつけるわよ!」
「うわあああ!ごめんなさい!もう二度と言いませんから、それだけは…!」
「り、リリアナ。別にそこまで大事にしなくても…。私は気にしてないから…。」
「まあ、リスティーナ様。何てお優しい。」
「それより、どうかしたの?」
「あ、そうでした。ルカに氷を分けてもらおうと思いまして…、ルカ。このバケツに氷を入れてくれない?」
「あ、はい。勿論です。」
ルカは懐から杖を取り出すと、呪文を唱えて、魔法を発動した。
いつもルカが使っている魔法だ。ルーファス様の氷枕を作る時もこの魔法を使っている。
いつもこれでバケツに八割程度の氷を出してくれるのだが…、魔法を発動した瞬間、大量の氷が溢れかえり、物凄い勢いで氷が生み出されていく。
「ちょ!?ルカ!多すぎ!こんなにいらないから!」
気付いた時にはバケツから零れ出た氷が床に散乱していた。しかも、氷の一つ一つが大きい。
「あ、あれ?おかしいな。いつもと同じようにやっただけなのに…。」
ルカは杖を見ながら、不思議そうに首を傾げた。
「ルカ。あなた、魔力増幅薬でも飲んだの?」
「飲んでませんよ!僕にも訳が分からなくて…。」
魔力が高くなった気がするって言ってたけど、本当だったのね。
魔力って、急に増えることもあるのかな。わたしは魔力がないからそういうことは分からない。
今度、エルザに手紙で聞いてみようかな。
結局、原因は分からないまま、リスティーナはルカ達と別れて、ルーファスの部屋に戻った。
「よし。ここなら、誰もいないし…。」
ルカは庭の広い場所に一人で来ると、周囲を見回した。
うん。人はいないから魔法を使っても大丈夫そうだ。
ルカは早速試しに魔法を使ってみる事にした。
「氷の刃」
杖を振って、魔法を発動すると、氷の刃が無数地面に突き刺さった。
その数にルカは自分でも驚いた。
え…。いつもこんなに大量の氷の刃を発動することはできなかったのに…。
「古代文字を解読できるようになったから?」
考えても仕方ない。今度は古代魔法の初級魔法を使ってみよう。
ルカは古代魔法の練習を始めた。
『凍結』
パキ、パキと音を立てて、地面が凍っていく。
よし!成功だ!そう思い、笑顔になったのも束の間…、ルカの魔法は地面だけでなく、花壇や木まで凍らせてしまい、広範囲にわたって凍結させてしまった。
勿論、そのせいでルカはロジャーにこっ酷く叱られた。
「ルーファス様。今日はおやつにチョコレートのムースを作ってみたんです。」
リスティーナはお茶の準備をしながら、おやつの時間に合わせて作っておいたムースを持ってきた。
スポンジや生クリームを使ったケーキだと、ルーファスの胃に負担になるかと思い、口当たりのいいムースにしてみた。
「もし、食べられそうでしたら、どうぞ。」
「ああ。ありがとう。今日のお茶はミントの香りがするな。」
リスティーナが淹れてくれたハーブティーの香りを嗅いだルーファスはそう口にした。
「今日はフレッシュミントティーにしてみました。今朝採ってきたばかりのミントを使ってるので新鮮なハーブティーですよ。」
「今朝?」
「ここの庭にミントが生えていたので少し分けてもらったんです。ここは野生のハーブがたくさんあるんですね。スペアミントにアップルミントもあったので、私ったらつい懐かしくて、はしゃいでしまって…。」
「君は本当にハーブや植物が好きなんだな。母国でも育てていたのか?」
「はい。小さな花壇でしたけど、エルザ達と一緒にハーブを育てていました。そのハーブでクッキーやスープを作ったり、ハーブティーにして飲んだりもして…。」
メイネシアでエルザ達と過ごした日々を思い返しながら、リスティーナはルーファスにその思い出を話した。
「メイネシアではどんなハーブを育てていたんだ?」
「スペアミントとアップルミントにカモミール、後はローズマリーに…、」
ハーブの話なんてしても、面白くないだろうにルーファスはリスティーナの話を真剣に聞いてくれた。
「昨日食べたハーブのクッキーも美味かったが、このムースも美味いな。お茶ともよく合う。」
「ありがとうございます。」
ルーファスの言葉にリスティーナは思わず笑顔になった。
「次は苺のババロアやかぼちゃのプリンを作ろうかなとも思ってるんです。もし、ルーファス様が食べたい物があればいつでも言って下さいね。」
どうせなら、ルーファス様が食べられる物、ルーファス様の好物を作る方がいい。
できる範囲でなら作ってみよう。そう意気込むリスティーナにルーファスは微笑んだ。
「君の料理やお菓子は何でも美味いから、俺の事は気にするな。リスティーナが食べたい物を作ってくれればそれでいい。」
ルーファスの気遣いが嬉しくて、リスティーナは微笑んだ。
ルーファス様とこうして、お茶を飲める時間が持てるなんて…。
幸せだと思った。できることなら、ずっとこうして、ルーファス様と一緒に過ごしたい。
このまま時が止まってしまえばいいのに…。
リスティーナは心からそう願った。
「はあ…。やっぱり、どこにも呪いを解く方法なんて載ってない…。」
リスティーナは山積みになった本を前にして、深い溜息を吐いた。
ここにある書庫で呪いに関する本はこれで全部だ。ここも駄目だった。
王宮の図書室に置いてある呪術に関する本も読んだけど、手掛かり一つない。
エルザから教えてもらった情報を頼りに調べてみたけど、そういった事例があるだけで肝心の解除方法が分からない。エルザの言った通り、ルーファス様と同じ呪いに罹った子は皆、成人前に亡くなっている。
どうしよう。早くして、呪いを解く方法を見つけないといけないのに…。
焦りばかりが募ってしまう。
やっぱり、自力で呪いを解く方法を見つけるなんて無理なのかな…。
どんどん悪い方向に考えてしまう自分を激励するようにリスティーナは頬を両手で叩く。
弱気になっては駄目!諦めないと心に決めたばかりなんだから…!
だけど、これ以上はもう調べようがない。一体、どうすれば…。
『信じなさい。』
その時、リスティーナの脳裏にあの老婆の言葉が甦った。
信じる…。リスティーナはそっと太陽のペンダントに手を触れる。
もし…、本当に女神様がこの世にいるなら…、ルーファス様を救ってくれることができるかもしれない。
だけど…、本当に?
リスティーナは母の死を思い出す。
本当に女神様がいるのなら、母を助けることができた筈…。
でも、五年前に母を救ってくれるように必死に祈っても、母は助からなかった。
穏やかで優しかった母。まだ若く、あんなに早く死ぬべき人じゃなかった。
どうして、優しい母が死んで、父王や王妃、異母兄弟達が生きているのだろうか。
思わず心の中でそんな黒い感情を抱いてしまったこともある。
大切な人や善人な人程、儚く消えてしまう。
それは身を持って経験している。
もうあんな思いはしたくない。
キュッと唇を噛み締める。
母が亡くなってから、リスティーナは心から祈ることができなくなってしまった。
祈った所でそれが聞き届けられることはない。
ずっとそう思っていた。だけど…、どうしてだろう。あの時のおばあさんの言葉が忘れられない。
現に今、リスティーナは心の中で葛藤している。
今の私にできる事…。それは何?
ギュッとペンダントを握り締め、リスティーナは心に決めた。
もう一度だけ…、信じてみよう。もう、今の私には女神様に祈る事しかできないのだから…。
最後の望みを…、託そう。
リスティーナは窓辺に向かって視線を向け、ペンダントを手にそっと女神様に祈りを捧げた。
癒しの女神、アリスティア様…。
どうか、お願いします…。ルーファス様を助けて下さい…!
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