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容疑者マグマと第二の殺人
これは連続殺人事件だろうか?
しおりを挟む入れ違いに倖田がやってきて、
「おい、そろそろ戻っていいらしいぞ」
と茉守に言った。
「まあ、警察が出てけと言っても、お前たちは此処に残りそうだが」
と言いながら、倖田は茉守の地図をまた見る。
眉をひそめた。
「墓があってはならない島に、墓がいっぱいあるみたいになってるな」
でも、墓の地図記号の上に、全部ニートさんが立ってますけどね、
と思う茉守に倖田が訊いてくる。
「お前、これは連続殺人だと思うか」
「署長さんの死因は?」
「急性心不全」
「……それは、なにもわからないと言っているのと一緒では」
と茉守は、あのおじいちゃん先生を見たが。
「昔は死因がわからないときにそう書いていたそうだが。
今は死亡診断書に急性心不全と書いてはいけなくなってるそうだからな。
今から本土に運んで、ちゃんとみてもらうそうだ。
まあ、普通に死んだんだったら、プチプチに包んで放置するなんてことしないだろうよ」
と倖田は、これから搬送されるらしい遺体を見る。
「プチプチつぶすの、子どもは好きですよね」
ああ、と頷いた倖田は言った。
「署長も、まさか生きてるときには、自分があれに包まれる日が来るとは思ってなかっただろうよ」
「何故、ニートさんの庭に放置したんですかね?」
「此処が墓のない島の墓代わりの場所だからじゃないのか?」
「でも、何処からか担いできたにしては、ご遺体の周り以外、砂紋が崩れてないですよね」
「じゃあ、上から落としたんじゃないのか?」
と倖田は木々の生えた斜面を見上げる。
「上って、山頂とかですか?」
「わからないが。
転がして落としたとか」
「転がして落とすのなら、もっといい場所がありますよね。
あの崩落した斜面」
崩落が自分がロープウェイを作る計画を推進したせいだと責められているらしい倖田が渋い顔をする。
「だが、あそこから落としたら、位置的に民家の裏にすごい勢いで突っ込むぞ」
「じゃあ、ロープウェイで上から下ろしたとか」
とやってきたマグマが口を挟む。
「山頂からロープウェイで下まで下ろして、ロープウェイ乗り場から、真横に森の中を引きずってきて、此処に落としたんだ」
マグマは茉守の墓だらけの地図を指差し言う。
「いや、目立つだろうが、ロープウェ……」
と言いかける倖田の言葉を塞ぐようにマグマは倖田を指差し、叫んだ。
「つまりっ。
犯人はお前だ、倖田っ」
「いや、なんでだ……」
「お前は山頂で署長を殺し。
その殺害場所を隠すために、ロープウェイに載せて、山から下ろしたんだ。
そして、ニートに罪を着せるために、此処に放置したっ。
お前が此処にロープウェイを作ったのは、山頂で殺した死体を下に下ろし、アリバイを作るためだったんだっ」
「どんな壮大な計画だっ」
と倖田は叫ぶ。
「そもそも、死体、殺したてじゃなかったろっ?
何時間か前なら、俺、本土に居たり、海の側に居たりしたからなっ」
自分の居た場所の方に死体を運んできてどうするっ、
とマグマは叫び返されていた。
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