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神隠し
また、なにやら騒々しいな
しおりを挟むまた、なにやら騒々しいな。
三橋は外から聞こえてくるけたたましい声に溜息をもらした。
この甲高さからいって、安西久美に違いない。
壮絶な悲鳴、というわけでもないから、特にピンチなわけでもなさそうだ。
槻田の声ももれ聞こえてきているし。
なんというか――。
普段は、自分の好みではないが、わりと可愛らしい顔をしているので、好意的に見ていたのだが。
こういう場所では、さっきの男以上に厄介な存在になるなと思った。
だが、再び久美の悲鳴を聞いた七月はというと、どうやら笑いを堪えているようだった。
七月はの態度は、こちらに来てからの方が久美に対して好意的だ。
こいつがわからない、と思った。
誰より久美に迷惑かけられているのに。
だが、その思考がわからないからこそ、気になるのかもしれないと思った。
そんなことを考えていると、槻田がやってきた。
「安西は?」
と訊くと、
「校長と外に居る――
と思う」
と振り返りながら付け加える。
『――と思う』というのは、また何処かに向かって、一人が駆け出していってなければ、という意味だろう。
「なにか言ってたか?」
「わからん。
外に出たところで、また俺たちに驚いて。
何か叫びながら、頭を下げて、散々謝ったあと、しゃがみ込んだ」
……目に浮かぶようだ。
七月はリアルに想像してみたらしく、スタンガンを持ったまま、爆笑している。
「それは?」
と槻田が目に留め、訊いていた。
七月はスタンガンを見せながら、
「いや。
『夜道に気をつけろ』って人に貰ったのよ」
と言う。
「誰に?」
ともちろん、槻田は訊き返していた。
「お前に気をつけろって感じの人」
槻田は眉をひそめ、止まっていた。
ま、こちらにも多少同情する。
未だ七月の一番側に居る男だが。
彼女の訳のわからない言動に振り回されている槻田は、妬ましいというより、哀れな感じでさえある。
七月は槻田の戸惑いなど何処吹く風で、
「安西先生と校長、大丈夫かしらね」
と人の心配をしはじめる。
「二人だけになったから、焼却炉には近づかないよう言っておいたが」
久美の悲鳴と動転した様子を見て、すぐ駆けつけてきたのだろう。
彼もまだ、何も調べられてはいないようだった。
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