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ぬらりひょんの宝
海軍の隠した金塊
しおりを挟む……永遠に逃げられないかと思った。
メデューサが二体とお付きのものが居る感じだった、と思いながら、七月は縁側に行く。
「大丈夫か」
とそこに居た槻田が訊いてきた。
「何処に行ってたの?」
と恨みがましく見て言うと、トイレだ、と言ったあとで、
「高岡が助けに行ったろう」
と言う。
「助けに来てくれて、今、被害に遭ってる」
と言うと、ああ、という顔をする。
ああ、じゃないだろ、と思いながら、
「市長公舎にはお宝がある、と貴美さんが言ってたんだけど」
と言うと、お宝ねえ、とどうでも良さそうに槻田は言った。
「海軍の隠した金塊だかなんだかがあるとか」
「じゃあ、その辺の軍人を捕まえて訊いたらどうだ。
宝を隠しているのなら、それを心配して見張ってる霊も居るだろ」
と言ってくる。
「……なんか機嫌悪くない?」
そう訊いてみたが、別に、と言ったあとで、庭を見ながら槻田は言う。
「やはり、此処に泊まるのは勧めないな。
その辺で、ぬらりひょんを見たとでも言って帰れ」
いや、そんな適当な、と思っていると、
「おにーちゃんは心配なんだよ。
イケメンの市長の側に七月ちゃんを置いておくのが」
という英嗣の声がいきなりした。
居たのか……と槻田が渋い顔をする。
「僕はいつでも居るよ。
君たちの側にね」
どんな悪霊よりたちが悪いな、と思いながら、
「ぬらりひょんって、お金持ちっぽいおじいさんなんだっけ?」
と七月は二人に訊いた。
何処で見たって言おうかな、と呟いていると
「なんの悪だくみだ?」
と高岡の声がする。
「あ、先程はどうもありがとうございます」
と七月は慌てて頭を下げた。
「よくあの中から抜けられましたね」
と苦笑いして言ったが、高岡は後ろの障子を振り返りながら、
「いや、酒を取ってくると言って出てきただけだ」
と言う。
「橋本に持っていかせる。
あいつは、あのメンツでも平気な奴だから」
むしろ浮かれてそうだな。
熟女好きだそうだから……。
「お前、此処に七月を呼んだのは、本当は七竃のせいじゃないのか」
そう槻田が訊いていた。
「その件に関しては、別に此処に呼ぶ必要はないだろう。
槻田も来たことだし。
……お前らが、今日一晩、泊まって、なにも感じなければそれでいい」
そういう言い方をし、高岡は少し笑う。
「高岡市長、ひよりさんの弟さんだったの?」
部屋に戻った七月は槻田と布団を敷きながらそう呟く。
どうでもいいが、酒臭いんだが、この部屋、と壁に吊るしてある制服を心配して見た。
明日、学校で三橋とか、陽菜になんか言われそうだな、と思う。
「じゃあ、俺は高岡たちと離れで寝るから」
「はい、おやすみなさい」
と七月は頭を下げた。
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「なにかあったら、すぐ呼べよ」
と言われ、……はい、と答える。
「じゃあね、お兄ちゃん」
と手を振る英嗣を、
「お前も来い」
と槻田が睨んでいた。
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