クローバーをあげたくて

たみやえる

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時は過ぎて 2

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 冬木はぼんやりと、自分と洸夜の立ち位置の距離を頭の中で測ってみる。
 自分と洸夜の年の差の分、二年分だけきっちり開いてるそれは、一生かかっても追いつけない、追い越せない距離で。
 自分も来年の春には就職しているはず……なのに、その先の自分が全く想像できないでいる冬木なのだ。これから先どんどん引き離されていきそうな不安にきゅぅと胸がしめつけられる。
 できれば自分の世界の中にずっと閉じ込めておけたら……なんて非建設的な考えが頭に浮かぶ。
 近頃特に考えてしまう。
 でも同時に、
 (どう? 俺の洸夜はこんなにも綺麗なんだぞ)
と、つい自慢して見せびらかしたくなる。自分の宝物を見せつけて羨ましがられたいという欲にも抗い難いものがあって……。
 魂が抜けたみたいに洸夜に見とれるカップルに冬木が顔を向けると、慌てたようすで目をそらされた。
 こちらも礼儀として目線をずらしたのだが、後を追うような気配を感じてチラッと見ると、躊躇っている感じを出しつつ彼らが洸夜の腰のあたりを注目している。
 (あっ)となった冬木は、
「ごめん。つい……っ」
 洸夜の腰に巻き付けていた自分の腕をパッと離した。
 エスカレーターに運ばれるまま、自分達を見るカップルの視線をすり抜けてゆく。
「えぇっと。じゃ、服とか靴、ひとまわり見たら行きましょう……じゃない、行こっか」
 丁寧語になりかけた語尾を慌ててなおした冬木に、洸夜がうふふとふくみ笑いをする。
 言い直したのは、洸夜から会話する時、なるだけタメ口にしろと言われているからだった。
「あの、ホントごめん。つい、家に居る感覚でやっちまった……会社の人に見られたらマズイよな」
「別に? 気にしてないけど?」
 すん、と鼻を鳴らした洸夜が離れかけていた冬木の腕をつかみ、もう一度自分の腰に巻きつけさせようとする。
 冬木は(マズイって!)と腕を引こうとするのだが、洸夜にがっちり握られてどうにもならない。結局両腕を取られ、強制的に、洸夜に横から抱きつく体勢でホールドさせられてしまった。
(……俺たち男同士)
と眼差しで訴えても、
「何? 今更だろ?」
と唇をとがらせて離してくれない。拗ねた表情が可愛くて脱力する。結局、洸夜の手をほどこうとするのをやめた。
「冬木は上にいたカップルに見られて意識しちゃったみたいだけど、人間は上下左右、真後ろにだっているんだからね」
とささやかれて冬木は思わず後ろを振り向いた。後ろのステップに人はいなかった。クククと喉奥で笑った洸夜が口元をこぶしで隠す。



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