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学院編
81 授業
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翌日から授業が始まった。
国語については皆、字の読み書きは出来るので、特に問題はなかった。
計算については、足し算引き算は出来ても、掛け算割り算は使う場面はないので、ほとんどの生徒が躓いていた。
僕は前世の九九のおかげで難なくこなせていた。
「計算って本当に必要なのか? 全然わからないよ。足し算引き算はともかく、掛け算割り算なんて全くわからないんだけど…」
アーサーが宿題として出されたプリントを見ながらブツブツと文句を言っている。
ここは一つ、アーサーに九九を教えてあげようかな。
アーサーには前世の記憶があると打ち明けているから、九九を教えても問題はないだろう。
そして歴史の授業が始まった。
ディクソン先生は黒板に年表を貼り付けると、それぞれの出来事について解説していく。
僕はディクソン先生の解説を聞きながら、黒板に貼られた年表に軽く目を通した。
二百年前辺りの箇所に目をやる。
…あれ?
その辺りの年代に『双子王子』に関する記述が見当たらない。
おかしいな。
年代を間違えたかな?
もう一度、今度はじっくりと見ていったが、やはり『双子王子』による騒動の記述はなかった。
どうしてだろう。
ディクソン先生に質問しようかと思ったが、その事で僕が注目されて藪蛇にならないとも限らない。
ここは大人しく黙っていよう。
ディクソン先生の解説が二百年前の辺りに来た頃、一人の男子生徒が手を挙げた。
「ディクソン先生。どうして二百年前の事件が書かれて居ないのですか?」
その男子生徒が放った言葉に僕はドキリとする。
教室内も少しざわついた空気が流れる。
後ろの席から見ていると、『双子王子』の事を知っている人と知らない人がいるのがわかる。
質問した彼の名前は確かパークス子爵家のジェイミーだと言っていた。
もしかしたら彼の家系も『双子王子』の事件によって爵位を落とされたのだろうか?
「に、二百年前の事件ですか…」
ディクソン先生はジェイミーの質問に明らかに動揺して、どう答えようかと目を泳がせている。
しばらくディクソン先生は迷っていたが、やがて意を決したように顔を引き締めた。
「わかりました。お話しましょう。但し、この事は他所で口にしてはいけませんよ」
そう前置きすると、ディクソン先生は説明を始めた。
「この件については今では知らない家系の方もいらっしゃるようですね。簡単に説明しますね。今から二百年前、王家に双子の王子がいらっしゃいました。どちらが王位を継ぐかで揉めて、弟王子の方が跡を継ぐことになりました。敗れた兄王子は処刑され、兄王子を支援していた貴族も当主の処刑、及び降爵・奪爵を受けました」
ディクソン先生はそこで一旦言葉を切った。
「年表からこの事実が抜けているのは再びこの様な事が起きないように、『双子王子』の記述は載せないようにと王家から通達されているからです。ご理解いただけましたか?」
ディクソン先生の最後の言葉はジェイミーに向けられたものだった。
だが、ジェイミーは明らかに不満そうな声を上げる。
「いくら敗れた兄王子を支援していたからといって、当主の処刑はやり過ぎだと思いませんか? それに、その事実をなかったようにしているなんて…」
ジェイミーの王家への反発とも取れるような発言にディクソン先生が慌てる。
「パークスさん。不用意な発言は控えられた方がよろしいですよ。何処でどう伝わるかわかりませんからね」
ディクソン先生に諭されてジェイミーは不承不承ながら頷いていた。
その後ろ姿を見ながら、他にも王家に不満を抱いている貴族がいるんじゃないかと考える。
当時は降爵、奪爵は仕方がなかったにしても、その後のフォローが足りないんじゃないかと思う。
王家の血を引いているとはいえ、王子でもない僕がそう思ったところでどうしようもない。
やがてチャイムが鳴り、その日の授業は終了となった。
国語については皆、字の読み書きは出来るので、特に問題はなかった。
計算については、足し算引き算は出来ても、掛け算割り算は使う場面はないので、ほとんどの生徒が躓いていた。
僕は前世の九九のおかげで難なくこなせていた。
「計算って本当に必要なのか? 全然わからないよ。足し算引き算はともかく、掛け算割り算なんて全くわからないんだけど…」
アーサーが宿題として出されたプリントを見ながらブツブツと文句を言っている。
ここは一つ、アーサーに九九を教えてあげようかな。
アーサーには前世の記憶があると打ち明けているから、九九を教えても問題はないだろう。
そして歴史の授業が始まった。
ディクソン先生は黒板に年表を貼り付けると、それぞれの出来事について解説していく。
僕はディクソン先生の解説を聞きながら、黒板に貼られた年表に軽く目を通した。
二百年前辺りの箇所に目をやる。
…あれ?
その辺りの年代に『双子王子』に関する記述が見当たらない。
おかしいな。
年代を間違えたかな?
もう一度、今度はじっくりと見ていったが、やはり『双子王子』による騒動の記述はなかった。
どうしてだろう。
ディクソン先生に質問しようかと思ったが、その事で僕が注目されて藪蛇にならないとも限らない。
ここは大人しく黙っていよう。
ディクソン先生の解説が二百年前の辺りに来た頃、一人の男子生徒が手を挙げた。
「ディクソン先生。どうして二百年前の事件が書かれて居ないのですか?」
その男子生徒が放った言葉に僕はドキリとする。
教室内も少しざわついた空気が流れる。
後ろの席から見ていると、『双子王子』の事を知っている人と知らない人がいるのがわかる。
質問した彼の名前は確かパークス子爵家のジェイミーだと言っていた。
もしかしたら彼の家系も『双子王子』の事件によって爵位を落とされたのだろうか?
「に、二百年前の事件ですか…」
ディクソン先生はジェイミーの質問に明らかに動揺して、どう答えようかと目を泳がせている。
しばらくディクソン先生は迷っていたが、やがて意を決したように顔を引き締めた。
「わかりました。お話しましょう。但し、この事は他所で口にしてはいけませんよ」
そう前置きすると、ディクソン先生は説明を始めた。
「この件については今では知らない家系の方もいらっしゃるようですね。簡単に説明しますね。今から二百年前、王家に双子の王子がいらっしゃいました。どちらが王位を継ぐかで揉めて、弟王子の方が跡を継ぐことになりました。敗れた兄王子は処刑され、兄王子を支援していた貴族も当主の処刑、及び降爵・奪爵を受けました」
ディクソン先生はそこで一旦言葉を切った。
「年表からこの事実が抜けているのは再びこの様な事が起きないように、『双子王子』の記述は載せないようにと王家から通達されているからです。ご理解いただけましたか?」
ディクソン先生の最後の言葉はジェイミーに向けられたものだった。
だが、ジェイミーは明らかに不満そうな声を上げる。
「いくら敗れた兄王子を支援していたからといって、当主の処刑はやり過ぎだと思いませんか? それに、その事実をなかったようにしているなんて…」
ジェイミーの王家への反発とも取れるような発言にディクソン先生が慌てる。
「パークスさん。不用意な発言は控えられた方がよろしいですよ。何処でどう伝わるかわかりませんからね」
ディクソン先生に諭されてジェイミーは不承不承ながら頷いていた。
その後ろ姿を見ながら、他にも王家に不満を抱いている貴族がいるんじゃないかと考える。
当時は降爵、奪爵は仕方がなかったにしても、その後のフォローが足りないんじゃないかと思う。
王家の血を引いているとはいえ、王子でもない僕がそう思ったところでどうしようもない。
やがてチャイムが鳴り、その日の授業は終了となった。
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