御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
82 / 242
学院編

82 考察

しおりを挟む
 帰りの馬車の中で僕はアーサーに尋ねてみた。

「もしかしてパークス子爵って降爵されたのか?」

 なるべく小さな声を出したつもりだったが、アーサーは「しっ!」と人差し指を口に当てた。

「今ここで出来る話じゃないからね。このままエドの家にお邪魔しても良いかな? 無理なら諦めるけれど…」

「いいよ。義母様もアーサーなら怒ったりはしないと思うからね」

 ジェイミーはこの馬車には乗っていないけれど、他の生徒の口から僕達が話題にしていたと告げられるのも困る。

 馬車止まりに着くとアーサーは迎えに来ていた従僕に、これから僕の家に行くと告げた。

「かしこまりました。それでは後ほどエルガー家に迎えの馬車を寄越します。エドアルド様、アーサー様をよろしくお願いします」

 そう告げると従僕は恭しく頭を下げた。

 エミーは僕とアーサーを連れてエルガー家へと歩き出した。

 エルガー家に到着すると、エミーはすぐに応接室の準備を整えさせ、義母様へアーサーが来た事を報告させていた。

 素早く応接室が整えられ、僕達はそこへ足を運んだ。

 僕とアーサーが向かい合ってソファーに座ると、エミーがお茶を淹れてくれた。

「それではアーサー様、エドアルド様。ごゆっくりなさってくださいませ」

 エミーはそう告げると僕達を残して応接室を出て行った。

 バタンと扉が閉まって二人きりになると、畏まっていた姿勢を少しだけ崩す。

「それで? パークス子爵家の話だっけ?」

 アーサーがお茶を一口飲むと、僕に確認してくる。

「うん。ディクソン先生に随分と食い下がっていただろう? だからもしかして降爵されたのかなと思ったんだ」

「まあね。あれじゃ、パークス子爵家が降爵された家だと公表しているようなものだな。僕もまさか年表に『双子王子』の事が記述されていないとは思っていなかったからね」

 アーサーの言葉に僕は「ん?」と首を傾げた。

「アーサーは『双子王子』の事は知っていたのか?」

「まあね。…実は僕の家はこの『双子王子』の時に弟王子を支援していたとかで、男爵から子爵に陞爵されたんだ。だけど『他所で話題にするな』と言われたのはパークス子爵家みたいな家があるからなんだね。エドも黙っておいてくれるね」 

 アーサーにお願いされて僕は一も二もなく頷いてみせる。

「勿論だよ。それにしてもパークス子爵家みたいに降爵されたままの家って多いのかな?」

「どうだろうね。あの時は国を二分するほどの勢いだったらしいから、それなりの数の貴族が兄王子に付いていたんだろうね。万が一、兄王子が失脚しなければ、この国は二つに分かれていたかもしれないね」 

 アーサーの言葉を聞いて、僕はふと疑問に思った事を口にした。

「兄王子はどうして失脚したのかな?」

「さあ? それに関しては我が家に伝わる日記にも何も書かれていなかったからね。何があったかはわからないな」

 アーサーの言葉を聞きながら、僕の頭の中にはある考えが浮かんだ。

 もしかして、国を二分される事を阻止しようとした誰かが兄王子を失脚させたのではないだろうかと…。

 僕のように身近な誰かに裏切られた可能性はなきにしもあらずだろう。

「それにしても、エドがこんなにも『双子王子』の事に興味を示すとは思わなかったな。どうしてだ?」

 アーサーの言葉に僕はドキッとする。

 ここはなんとしても誤魔化さなくちゃ。

「今日初めて聞いた話だったからね。我が家ではそんな事は一言も聞いた事がなかったからね」

「ああ、なるほどね。中には中立を保つ家もあったらしいからね。それでも中立派もどちらかに付くように強要されたらしいけれどね」 

 強要か。

 もしかしたら、中立派が強要から逃れるために手を下したとも考えられるかな。

 今更、真相を暴いても何にもならないけどね。

 しばらくしてコールリッジ家から迎えの馬車が来て、アーサーは名残惜しそうに帰っていった。



 

 
 
しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

処理中です...