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学院編
89 ヴィンセントの話
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見つめ合う二人の前で僕はこれ見よがしに咳払いをしてみせた。
すぐに二人は見つめ合うのを止めて、ヴィンセントはバツの悪そうな顔を僕に向ける。
「やあ、失礼。オーウェンから僕の子孫らしい人物がこのクラスにいると聞いてね。ぜひとも会ってみたくてオーウェンに頼んだんだ。だけど、まさかオーウェンがあんな事をしているとは思わなかったからね。僕が来るのが遅れたばかりにエドアルドには怖い思いをさせたね。…今夜はお仕置きだな」
最後にボソッと呟いたヴィンセントの言葉にオーウェンはちょっと嬉しそうな顔を見せた。
もしかしてオーウェンってマゾっ気があるのかな?
いや、僕の首を絞めてる時、どことなく恍惚とした表情を見せていたからサドっ気もあるのかも?
だけど僕はそんな事には気付かないフリをしてみせるのだが、二人は相変わらず見つめ合ったままだ。
だから、そういうのは他所でやってくれよ!
エヘン!
再び咳払いをしてみせると、ヴィンセントはまたもやバツの悪そうな顔をする。
こういうやり取りってこの後も続くのかな?
ヴィンセントは気を取り直したように話し始める。
「それで? エドアルドはどうしてこのクラスにいたんだ?」
「私が視た所によると、双子で生まれたために孤児院に捨てられたみたいですね。それから今の男爵家に養子に入ったようですよ」
「双子で生まれたから捨てられた? もしかしてあの時の騒動が原因か?」
ヴィンセントがオーウェンを振り返ると、オーウェンは軽く頷いた。
「そのようですね。再び双子が生まれないようにしたのですが、効力が薄れてしまっていたようです。次の王妃が決まったら術をかけ直さないといけませんね」
オーウェンは痛ましそうな表情でため息をついた。
双子の片割れを殺したから、二度とそういう事をしないために双子が生まれないようにするのだろうか?
「二百年前に双子が争った時に、この国を二つに分ければ良かったのではないですか? 何も兄王子を殺す事はなかったでしょう?」
僕が抗議をすると、ヴィンセントは驚いたように目を瞬かせる。
「兄王子を殺した? 誰が?」
ヴィンセントの反応に僕も驚く。
まさか、オーウェンはヴィンセントに黙って兄王子を殺したのだろうか?
僕とヴィンセントが驚いた顔で見つめ合っていると、オーウェンがプッと吹き出した。
「ハハハッ! さっきの私の言葉を信じていたんですか? 本当に驚くほど素直な人ですね」
ケラケラと笑うオーウェンに僕はムッとする。
どうやらさっきの言葉は僕をからかって出た言葉のようだ。
「全く! すまない、エドアルド。後で良く言い聞かせておくからな。兄王子を殺したのは弟王子を支援していた貴族の一人だ。エルフは人間社会にはなるべく手を出さないように生きているため、私達が気付いた時には既に兄王子は殺された後だった。だから、せめてものお詫びに双子が生まれないように術をかけていたんだが…」
「そうでしたか。でも、王家が兄王子を支援していた貴族の当主を処刑というのはやり過ぎではないんですか?」
降爵だけで済ませる事は出来なかったのだろうか?
突然、当主が居なくなって残された家族は大変苦労をしたんじゃないだろうか。
だが、僕のその考えをヴィンセントは否定してくる。
「それはあまりにも危険な考えだ。そんな事をすれば、玉座を狙う者が王族の血を引く者を祭り上げて謀反を起こす可能性がある。それをさせない為にも抑止力は必要なんだ」
つまり、重い罰則を科する事で王家を守るわけか。
確かに、普通の人間は誰だって好き好んで人を殺したりはしないよね。
目の前にいる二人のエルフが、兄王子を殺したのではないと知って少しホッとした。
だけど、それとはまた別の疑問が湧いてくる。
今の二人は恋人同士みたいだけれど、それってヴィンセントが人間だった時からそうだったのだろうか?
すぐに二人は見つめ合うのを止めて、ヴィンセントはバツの悪そうな顔を僕に向ける。
「やあ、失礼。オーウェンから僕の子孫らしい人物がこのクラスにいると聞いてね。ぜひとも会ってみたくてオーウェンに頼んだんだ。だけど、まさかオーウェンがあんな事をしているとは思わなかったからね。僕が来るのが遅れたばかりにエドアルドには怖い思いをさせたね。…今夜はお仕置きだな」
最後にボソッと呟いたヴィンセントの言葉にオーウェンはちょっと嬉しそうな顔を見せた。
もしかしてオーウェンってマゾっ気があるのかな?
いや、僕の首を絞めてる時、どことなく恍惚とした表情を見せていたからサドっ気もあるのかも?
だけど僕はそんな事には気付かないフリをしてみせるのだが、二人は相変わらず見つめ合ったままだ。
だから、そういうのは他所でやってくれよ!
エヘン!
再び咳払いをしてみせると、ヴィンセントはまたもやバツの悪そうな顔をする。
こういうやり取りってこの後も続くのかな?
ヴィンセントは気を取り直したように話し始める。
「それで? エドアルドはどうしてこのクラスにいたんだ?」
「私が視た所によると、双子で生まれたために孤児院に捨てられたみたいですね。それから今の男爵家に養子に入ったようですよ」
「双子で生まれたから捨てられた? もしかしてあの時の騒動が原因か?」
ヴィンセントがオーウェンを振り返ると、オーウェンは軽く頷いた。
「そのようですね。再び双子が生まれないようにしたのですが、効力が薄れてしまっていたようです。次の王妃が決まったら術をかけ直さないといけませんね」
オーウェンは痛ましそうな表情でため息をついた。
双子の片割れを殺したから、二度とそういう事をしないために双子が生まれないようにするのだろうか?
「二百年前に双子が争った時に、この国を二つに分ければ良かったのではないですか? 何も兄王子を殺す事はなかったでしょう?」
僕が抗議をすると、ヴィンセントは驚いたように目を瞬かせる。
「兄王子を殺した? 誰が?」
ヴィンセントの反応に僕も驚く。
まさか、オーウェンはヴィンセントに黙って兄王子を殺したのだろうか?
僕とヴィンセントが驚いた顔で見つめ合っていると、オーウェンがプッと吹き出した。
「ハハハッ! さっきの私の言葉を信じていたんですか? 本当に驚くほど素直な人ですね」
ケラケラと笑うオーウェンに僕はムッとする。
どうやらさっきの言葉は僕をからかって出た言葉のようだ。
「全く! すまない、エドアルド。後で良く言い聞かせておくからな。兄王子を殺したのは弟王子を支援していた貴族の一人だ。エルフは人間社会にはなるべく手を出さないように生きているため、私達が気付いた時には既に兄王子は殺された後だった。だから、せめてものお詫びに双子が生まれないように術をかけていたんだが…」
「そうでしたか。でも、王家が兄王子を支援していた貴族の当主を処刑というのはやり過ぎではないんですか?」
降爵だけで済ませる事は出来なかったのだろうか?
突然、当主が居なくなって残された家族は大変苦労をしたんじゃないだろうか。
だが、僕のその考えをヴィンセントは否定してくる。
「それはあまりにも危険な考えだ。そんな事をすれば、玉座を狙う者が王族の血を引く者を祭り上げて謀反を起こす可能性がある。それをさせない為にも抑止力は必要なんだ」
つまり、重い罰則を科する事で王家を守るわけか。
確かに、普通の人間は誰だって好き好んで人を殺したりはしないよね。
目の前にいる二人のエルフが、兄王子を殺したのではないと知って少しホッとした。
だけど、それとはまた別の疑問が湧いてくる。
今の二人は恋人同士みたいだけれど、それってヴィンセントが人間だった時からそうだったのだろうか?
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