132 / 242
学院編
132 反撃
しおりを挟む
途方に暮れた僕はオーウェンに助言を求めようと視線を投げるが、オーウェンは何も答えようとしない、
オーウェンからヴィンセントに視線を移しても、やはり何の返事も得られない。
諦めてエドワード王子を見ると、エドワード王子も途方に暮れたような目で僕を見ていた。
オーウェンは僕達に何をさせたいのだろうか?
二人で魔法を唱える?
だが、一緒に魔法を使った所で相乗効果があるとは思えない。
あれこれ考えを巡らせていると、オーウェンがポツリと呟いた。
「あの大蛇が何か知っていますか? あれはニーズヘッグですよ」
ニーズヘッグ?
たしか北欧神話で世界樹の根に齧り付いているという蛇の事だったな。
『腐敗』や『死』を表す象徴とされているんだっけ。
そんな相手に立ち向かえる魔法と言ったら『光魔法』くらいのものだろうか?
「エドワード王子。光魔法は使えますか?」
「ああ、使える。全属性の魔法が使えるからな。エドアルドだってそうだろう?」
エドワード王子に確認されて僕はコクリと頷いた。
アーサーとブライアンが聞いているけれど、今は非常時だ。細かい事は気にしていられない。
「あの大蛇がニーズヘッグだとしたら、対抗出来るのは光魔法だけだと思うんです。試してみませんか?」
「いつまでもここにこうしているわけにはいかないからな。やってみよう」
エドワード王子は魔法を唱えようとしたが、何かを思い出したようにオーウェンを振り返った。
「オーウェン。このバリアを張ったままでこちらから魔法が出せるんですか?」
オーウェンは銀髪をかきあげながら優雅に微笑んでみせる。
「勿論ですとも。向こうからの魔法は防ぐけれど、こちらからの攻撃は通してくれる優れものですよ」
オーウェンは得意満面でツンと顔を反らしているが、今ここで威張る事ではないと思う。
得意満面の顔になっているオーウェンは放っておいて今はニーズヘッグを退治するのが先だ。
エドワード王子もオーウェンを無視してニーズヘッグに魔法を繰り出した。
「ホーリーランス!」
光輝く槍が何本もニーズヘッグに向かって降り注ぐ。
だが、その槍は大蛇の鱗によって全て弾かれていた。
「効かないか! それならばこれはどうだ? ホーリーフレア!」
エドワード王子が今度は聖なる炎をニーズヘッグに向けて放った。
だが、これも先ほどの「ファイア」と同じように何の効果もなかった。
僕も思いつくままに光魔法を繰り出すが、一向にニーズヘッグにダメージを与えられない。
このままでは魔力切れになってしまいそうだ。
打つ手がなくオーウェンとヴィンセントをチラリと見るが、二人ともすっかり高みの見物を決め込んでいる。
何かヒントくらいくれても良さそうなのにな。
「どうしました? もう終わりですか? エドアルド様、そんな役立たずはあなたには相応しくありません。さあ、私と一緒に新しい王国を作りましょう」
『新しい王国』って、そんな大蛇の身体で一体何が出来るって言うんだよ。
そもそもあんな大きな大蛇を相手に僕達が戦えるわけがない。
同じくらいの大きさじゃないと不公平だよ。
…同じ大きさ?
もしかして、あのニーズヘッグと渡り合える大きさの何かを召喚しろって事なのだろうか?
そう考えて僕はチラッとオーウェンに視線を向けた。
オーウェンは僕の考えがわかったのか、軽く口角を上げている。
ニーズヘッグと対になる幻獣と言えば何だろうか?
『腐敗』『死』の対義語と言えば『再生』『不死』と言った所だろうか?
そうなると呼ぶべき幻獣はフェニックスとなるが、どうやって呼ぶのだろうか?
不意にオーウェンが自分の両手の指を胸の前で組んだ。
何だ?
お祈りでもするのか?
…いや、あれは僕にヒントをくれたんだ。
僕は考えを実行すべく、エドワード王子に向き直った。
オーウェンからヴィンセントに視線を移しても、やはり何の返事も得られない。
諦めてエドワード王子を見ると、エドワード王子も途方に暮れたような目で僕を見ていた。
オーウェンは僕達に何をさせたいのだろうか?
二人で魔法を唱える?
だが、一緒に魔法を使った所で相乗効果があるとは思えない。
あれこれ考えを巡らせていると、オーウェンがポツリと呟いた。
「あの大蛇が何か知っていますか? あれはニーズヘッグですよ」
ニーズヘッグ?
たしか北欧神話で世界樹の根に齧り付いているという蛇の事だったな。
『腐敗』や『死』を表す象徴とされているんだっけ。
そんな相手に立ち向かえる魔法と言ったら『光魔法』くらいのものだろうか?
「エドワード王子。光魔法は使えますか?」
「ああ、使える。全属性の魔法が使えるからな。エドアルドだってそうだろう?」
エドワード王子に確認されて僕はコクリと頷いた。
アーサーとブライアンが聞いているけれど、今は非常時だ。細かい事は気にしていられない。
「あの大蛇がニーズヘッグだとしたら、対抗出来るのは光魔法だけだと思うんです。試してみませんか?」
「いつまでもここにこうしているわけにはいかないからな。やってみよう」
エドワード王子は魔法を唱えようとしたが、何かを思い出したようにオーウェンを振り返った。
「オーウェン。このバリアを張ったままでこちらから魔法が出せるんですか?」
オーウェンは銀髪をかきあげながら優雅に微笑んでみせる。
「勿論ですとも。向こうからの魔法は防ぐけれど、こちらからの攻撃は通してくれる優れものですよ」
オーウェンは得意満面でツンと顔を反らしているが、今ここで威張る事ではないと思う。
得意満面の顔になっているオーウェンは放っておいて今はニーズヘッグを退治するのが先だ。
エドワード王子もオーウェンを無視してニーズヘッグに魔法を繰り出した。
「ホーリーランス!」
光輝く槍が何本もニーズヘッグに向かって降り注ぐ。
だが、その槍は大蛇の鱗によって全て弾かれていた。
「効かないか! それならばこれはどうだ? ホーリーフレア!」
エドワード王子が今度は聖なる炎をニーズヘッグに向けて放った。
だが、これも先ほどの「ファイア」と同じように何の効果もなかった。
僕も思いつくままに光魔法を繰り出すが、一向にニーズヘッグにダメージを与えられない。
このままでは魔力切れになってしまいそうだ。
打つ手がなくオーウェンとヴィンセントをチラリと見るが、二人ともすっかり高みの見物を決め込んでいる。
何かヒントくらいくれても良さそうなのにな。
「どうしました? もう終わりですか? エドアルド様、そんな役立たずはあなたには相応しくありません。さあ、私と一緒に新しい王国を作りましょう」
『新しい王国』って、そんな大蛇の身体で一体何が出来るって言うんだよ。
そもそもあんな大きな大蛇を相手に僕達が戦えるわけがない。
同じくらいの大きさじゃないと不公平だよ。
…同じ大きさ?
もしかして、あのニーズヘッグと渡り合える大きさの何かを召喚しろって事なのだろうか?
そう考えて僕はチラッとオーウェンに視線を向けた。
オーウェンは僕の考えがわかったのか、軽く口角を上げている。
ニーズヘッグと対になる幻獣と言えば何だろうか?
『腐敗』『死』の対義語と言えば『再生』『不死』と言った所だろうか?
そうなると呼ぶべき幻獣はフェニックスとなるが、どうやって呼ぶのだろうか?
不意にオーウェンが自分の両手の指を胸の前で組んだ。
何だ?
お祈りでもするのか?
…いや、あれは僕にヒントをくれたんだ。
僕は考えを実行すべく、エドワード王子に向き直った。
274
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる