御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅

文字の大きさ
50 / 242
幼少期 

50 説得

しおりを挟む
 今にも王宮に乗り込んで行きそうなチャールズに、僕は大げさにため息をついてみせる。

「チャールズさんのお話はわかりました。万が一、僕が王子だったとして、どうして僕は捨てられたんでしょうか?」

 僕が首を傾げてみせると、チャールズは目をパチクリさせている。

「おや、エドアルド様はこの国に起こった騒動をご存知なかったのですね。それでは私の方からお話して差し上げましょう。今からおよそ二百年前の事です。当時、王家には双子の王子がおられました。最初は兄王子が後継者だったのですが、弟王子を推す貴族が現れまして激しい後継者争いが始まったのです。その結果、弟王子が勝利し、兄王子は処刑されました。それ以来、王家では双子は忌み嫌われる存在となったのです」

 なんか見てきたような話し方だけど、実際にその場にいたわけじゃないよね。

 だけど、どうしてチャールズが僕を誘拐してまで王宮に連れて行こうとするんだろうか?

 その理由が知りたくて僕は更に質問する。

「なるほど。後継者争いを避けるために双子のうちの一人は捨てられたと言うのですね。だけど、どうしてチャールズさんがもう一人の王子を王宮に連れて行こうとしているんですか?」

 するとチャールズはキラリと目を光らせた。

「兄王子が処刑されるのと同時に兄王子を推していた貴族の当主は処刑され、その一族は降爵されたのです。その時我がスタンレイ家も侯爵から子爵へと落とされました。同じようにマクレガン家も子爵となったのに、今回の事で伯爵へと陞爵したのです。ですから、私はエドアルド様を後継者として推して我がスタンレイ家を再び侯爵へと押し上げたいのです」

 チャールズは両手で拳を握って力説している。

 どうやらそっちが本音のようだ。

 スタンレイ家を陞爵させる理由を作るために僕を利用しようとしているのだろう。

 ますますもって真っ平ごめんな話だ。

「お話はわかりました。だけど、僕は王宮には行きません。たとえ国王夫妻が僕の本当の親だとしても、向こうが僕を要らないからと捨てたのです。そんな人達に僕は会いたくありません!」

 父親である国王の顔は生まれた時に見ているし、母親である王妃とも体面を果たした。

 エドワードとはまだ会っていないけれど、この国の王子なのだから、そのうち何処かで見る機会はあるだろう。

 もしかしたら学院で出会えるかもしれない。

 僕がピシャリと断ると、チャールズは驚愕の顔を見せた。

「な、何をおっしゃいます。エドアルド様の実のご両親ですよ?」

「先に僕を捨てたのは向こうの方です。向こうが僕を探し出して来るのならともかく、僕から会いに行こうとは思いません。大体、また後継者争いが起こって僕が負けた場合、僕を推しているスタンレイ家にも影響がありますよ。今が子爵なら今度は平民に落とされるんじゃないですか!?」

 僕がそう指摘すると、チャールズは予想外の事を言われたかのように固まった。

 やれやれ。

 成功する事しか考えてなくて、失敗したらどうなるかなんて予想もしていなかったようだ。

 僕を王宮に連れて行っただけで、国王夫妻が僕を受け入れてくれると思っていたのかね。

「そ、そんな…」

 チャールズはワナワナと身体を震わせていたが、やがてガックリと肩を落とした。

 先ほどまでは元気ハツラツな姿は何処へやら、一気に老け込んだようにしょんぼりとしている。

 そんな様子を見たら何だかチャールズが可哀想になってきた。

 何とかしてやれないかな?



 
しおりを挟む
感想 144

あなたにおすすめの小説

あっ、追放されちゃった…。

satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。 母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。 ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。 そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。 精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方

ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。 注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

嫌われたと思って離れたのに

ラム猫
恋愛
 私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。  距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件

音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。 『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』 『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』 公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。 もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。 屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは…… *表紙絵自作

田舎娘をバカにした令嬢の末路

冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。 それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。 ――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。 田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。

心が折れた日に神の声を聞く

木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。 どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。 何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。 絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。 没ネタ供養、第二弾の短編です。

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

処理中です...