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幼少期
51 陞爵の対象
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このままチャールズを放ったらかして帰る事は出来るかもしれないけれど、その気落ちした姿に前世の祖父の姿が重なる。
前世の祖父も会社を一から立ち上げて、バリバリと仕事に打ち込んでいた。
忙しそうにしながらも、僕達が遊びに行くと時間を作って相手をしてくれた。
そんな祖父もある日突然、父に社長業を譲るように迫られた。
何とか抗おうとしていたが次第に社内に味方もなくなり、泣く泣く父に社長の椅子を明け渡した。
生きがいだった仕事を奪われ、祖父は一気に老け込んでいった。
それに比例するように元気も無くなり、寝たきりになった挙げ句に儚くなってしまった。
亡くなる前、握った祖父のか細い腕が今も忘れられない。
そんな祖父の姿とチャールズの姿が重なる。
僕を誘拐した事は許せないけれど、同じく子爵に落とされたマクレガン家がいとも簡単に陞爵されたのを見たら、『自分も…』と思うのも無理はない。
ああ、まったく!
どうしてこう僕はどこまでも他人に甘すぎるんだろう?
そんな事だから前世でも和也と夏姫に良いようにしてやられるんだよ。
だけど、ここでチャールズに恩を売っておくのも悪くない。
隠居の身とはいえ子爵家の人間だ。
エルガー家の味方になってもらえれば、ゆくゆくはクリスの助けになるはずだ。
僕は項垂れているチャールズの顔を覗き込んだ。
「チャールズさん。何をしたら陞爵の対象になるんですか?」
チャールズはゆっくりと顔を上げて、どんよりとした瞳を僕に向けた。
すぐには僕の言葉が理解出来なかったようで、パチパチとまばたきを繰り返した。
「…陞爵の対象?」
ポツリと呟くと顎に手を当てて考え込んでいる。
「まずは武勲を上げる事ですね。けれど、今は何処とも戦争をしていないから、それはないでしょう。後は、社会、経済、文化などの発展に貢献した場合もありますが…。それが何か?」
チャールズが答えながらも困惑した視線を僕に向ける。
前世の知識でチャールズに功績を上げさせて、スタンレイ家の陞爵に繋げたいと思っているのだが、甘いだろうか?
「そうですか。ところでスタンレイ家に領地は有りますか?」
そう尋ねるとチャールズはますます困惑した表情を顔に貼り付ける。
「領地ですか? 残念ながらありません。二百年前の騒動で領地は取り上げられてしまいました。ただ、屋敷はそのまま残っておりまして、その中の一角を農地にして生計を立てています」
農地かぁ。
何を作っているんだろう。
「農地では何を作っているのですか?」
「今は家畜用のとうもろこしですね。本当は私達が食べられる物を作りたかったのですが、皮は固いし甘くないのでとても食べられた物じゃないんですよ」
皮が固い?
それってもしかして爆裂種じゃないのかな。
だとしたらポップコーンが作れるかも。
そう思ったらワクワクが止まらなくなった。
この世界に転生したら、前世で食べていた食べ物が恋しくて仕方がない。
食べられないとなると余計に食べたくなってしまうんだよね。
まずはそのとうもろこしがどんな物なのか見せてもらおう。
「そのとうもろこしを見せてもらえますか?」
「とうもろこしを…ですか?」
チャールズは渋々ながら部屋の隅に立っている御者にとうもろこしを持ってくるように言いつけている。
チャールズの説明によると彼はチャールズの執事で、チャールズと共にこのスタンレイ家の離れに隠居してきたそうだ。
待っている間にチャールズはメイドに言いつけて、僕にお茶を出させた。
その彼女の姿を見て、僕はまだ馬車に閉じ込められているメイドの事を思い出した。
今すぐに出してあげたいけれど、今からやる事はあまり知られたくはないな。
可哀想だけれど、もうしばらく馬車の中で我慢してもらう事にしよう。
前世の祖父も会社を一から立ち上げて、バリバリと仕事に打ち込んでいた。
忙しそうにしながらも、僕達が遊びに行くと時間を作って相手をしてくれた。
そんな祖父もある日突然、父に社長業を譲るように迫られた。
何とか抗おうとしていたが次第に社内に味方もなくなり、泣く泣く父に社長の椅子を明け渡した。
生きがいだった仕事を奪われ、祖父は一気に老け込んでいった。
それに比例するように元気も無くなり、寝たきりになった挙げ句に儚くなってしまった。
亡くなる前、握った祖父のか細い腕が今も忘れられない。
そんな祖父の姿とチャールズの姿が重なる。
僕を誘拐した事は許せないけれど、同じく子爵に落とされたマクレガン家がいとも簡単に陞爵されたのを見たら、『自分も…』と思うのも無理はない。
ああ、まったく!
どうしてこう僕はどこまでも他人に甘すぎるんだろう?
そんな事だから前世でも和也と夏姫に良いようにしてやられるんだよ。
だけど、ここでチャールズに恩を売っておくのも悪くない。
隠居の身とはいえ子爵家の人間だ。
エルガー家の味方になってもらえれば、ゆくゆくはクリスの助けになるはずだ。
僕は項垂れているチャールズの顔を覗き込んだ。
「チャールズさん。何をしたら陞爵の対象になるんですか?」
チャールズはゆっくりと顔を上げて、どんよりとした瞳を僕に向けた。
すぐには僕の言葉が理解出来なかったようで、パチパチとまばたきを繰り返した。
「…陞爵の対象?」
ポツリと呟くと顎に手を当てて考え込んでいる。
「まずは武勲を上げる事ですね。けれど、今は何処とも戦争をしていないから、それはないでしょう。後は、社会、経済、文化などの発展に貢献した場合もありますが…。それが何か?」
チャールズが答えながらも困惑した視線を僕に向ける。
前世の知識でチャールズに功績を上げさせて、スタンレイ家の陞爵に繋げたいと思っているのだが、甘いだろうか?
「そうですか。ところでスタンレイ家に領地は有りますか?」
そう尋ねるとチャールズはますます困惑した表情を顔に貼り付ける。
「領地ですか? 残念ながらありません。二百年前の騒動で領地は取り上げられてしまいました。ただ、屋敷はそのまま残っておりまして、その中の一角を農地にして生計を立てています」
農地かぁ。
何を作っているんだろう。
「農地では何を作っているのですか?」
「今は家畜用のとうもろこしですね。本当は私達が食べられる物を作りたかったのですが、皮は固いし甘くないのでとても食べられた物じゃないんですよ」
皮が固い?
それってもしかして爆裂種じゃないのかな。
だとしたらポップコーンが作れるかも。
そう思ったらワクワクが止まらなくなった。
この世界に転生したら、前世で食べていた食べ物が恋しくて仕方がない。
食べられないとなると余計に食べたくなってしまうんだよね。
まずはそのとうもろこしがどんな物なのか見せてもらおう。
「そのとうもろこしを見せてもらえますか?」
「とうもろこしを…ですか?」
チャールズは渋々ながら部屋の隅に立っている御者にとうもろこしを持ってくるように言いつけている。
チャールズの説明によると彼はチャールズの執事で、チャールズと共にこのスタンレイ家の離れに隠居してきたそうだ。
待っている間にチャールズはメイドに言いつけて、僕にお茶を出させた。
その彼女の姿を見て、僕はまだ馬車に閉じ込められているメイドの事を思い出した。
今すぐに出してあげたいけれど、今からやる事はあまり知られたくはないな。
可哀想だけれど、もうしばらく馬車の中で我慢してもらう事にしよう。
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