52 / 242
幼少期
52 試作
しおりを挟む
しばらく待っていると執事は籠に入ったとうもろこしを抱えて戻って来た。
「こちらが畑で採れたとうもろこしです」
テーブルの上に置かれたとうもろこしを手に取って僕はしげしげと眺めた。
普段食べるとうもろこしよりもオレンジがかった実で皮が固い。
やっぱり爆裂種のとうもろこしのようだ。
「このとうもろこしはこのままでは食べられません。ちょっと試してみたい事があるので厨房をお借り出来ますか?」
「試してみたい事ですか?」
チャールズと執事は怪訝そうな顔をしていたけれど、藁にも縋る思いなのか、すぐに僕を厨房へと案内してくれた。
厨房では、数人の料理人がいたが、突然現れた僕達に戸惑いを隠せない様だった。
「だ、旦那様? 一体どのようなご用件でしょうか?」
料理長らしき人が代表してチャールズに問いかけてくる。
「ああ、少し厨房を借りるだけだ。気にせずに作業を続けてくれ」
「はい、かしこまりました」
料理長と料理人達は僕達に場所を開けてくれたけれど、こちらが気になるのか、チラチラと視線を向けてくる。
僕は籠に入ったとうもろこしの実を外してみたが、まだ完全には乾燥していないみたいだった。
「どなたか風魔法が使える人がいますか?」
チャールズに尋ねると、彼はコクンと頷いた。
「私が使えますが、風魔法をどうするのですか?」
「このとうもろこしの実を乾かしてください」
「風魔法で実を乾かす? 今までそんな事に風魔法を使った事はありませんがやってみましょう」
チャールズはザルに入ったとうもろこしの実に風魔法を当てる。
しばらく経つととうもろこしの実がカラカラに乾燥してきた。
「もう良いですよ。それではフライパンを火にかけて油を引いてください」
チャールズはそこで料理長を呼んで、フライパンを火にかけさせた。
まあ、貴族が調理器具を扱うなんてそうそうしないよね。
料理長はフライパンを火にかけると、温まったところで油を入れた。
「このとうもろこしの実を入れて蓋をしてください。決して蓋を開けてはいけませんよ」
料理長は怪訝な顔をしながら、とうもろこしの実をフライパンに入れると蓋をした。
しばらく待っていると、やがて「ポンッ」と小さな破裂音がフライパンの中から聞こえてきた。
「な、何ですか!? 今の音は!?」
チャールズだけでなく、料理長も驚いている。
そして厨房にいた人が皆、僕達の周りに押し寄せてきた。
やがて破裂音がひっきりなしに鳴り響き出す。
「だ、旦那様! 何が起こっているのでしょうか!?」
料理長がフライパンの柄を握ったまま、オロオロしている。
「エドアルド様、これは一体!?」
やがて、破裂音が聞こえなくなったので、火を消してもらってフライパンの蓋を取って貰った。
「こ、これは!?」
チャールズ達は驚いているが、僕は懐かしいポップコーンを見て顔をほころばせた。
「こうすると、僕達にも食べられる物になるんですよ。少し塩を振ってください」
「は、はい」
料理長がポップコーンの上にパラパラと塩を振りかけた。
僕はフライパンに手を伸ばしてポップコーンを一つ取り口に運ぶ。
…うん。
なかなか良く出来てるな。
「どうぞ、食べて見てください」
僕が勧めるとチャールズは恐る恐る手に取ったが、すぐには口に入れなかった。
不思議そうな顔でポップコーンを凝視している。
「これが、さっきのとうもろこしなんですか? どうしてこんなになるんでしょう?」
「このとうもろこしは熱を加えると膨らんでこんな形になるんです。まずは食べてみてください」
僕が口に入れたのを見ていたので、チャールズはようやく決心してポップコーンを口に入れた。
もぐもぐと咀嚼したと思うと、驚いたように目を見開いている。
「あれほど固かった実がこんなに柔らかくなるなんて…」
「旦那様、私も食べてみてよろしいでしょうか?」
料理長がチャールズに許可を求めてくると、他の料理人達もこぞって試食を求めてきた。
「ああ、食べてみなさい」
チャールズが許可すると、皆が一斉にフライパンに手を伸ばしている。
この後はチャールズとの話し合いだな。
その前にもう少しポップコーンを堪能することにしよう。
「こちらが畑で採れたとうもろこしです」
テーブルの上に置かれたとうもろこしを手に取って僕はしげしげと眺めた。
普段食べるとうもろこしよりもオレンジがかった実で皮が固い。
やっぱり爆裂種のとうもろこしのようだ。
「このとうもろこしはこのままでは食べられません。ちょっと試してみたい事があるので厨房をお借り出来ますか?」
「試してみたい事ですか?」
チャールズと執事は怪訝そうな顔をしていたけれど、藁にも縋る思いなのか、すぐに僕を厨房へと案内してくれた。
厨房では、数人の料理人がいたが、突然現れた僕達に戸惑いを隠せない様だった。
「だ、旦那様? 一体どのようなご用件でしょうか?」
料理長らしき人が代表してチャールズに問いかけてくる。
「ああ、少し厨房を借りるだけだ。気にせずに作業を続けてくれ」
「はい、かしこまりました」
料理長と料理人達は僕達に場所を開けてくれたけれど、こちらが気になるのか、チラチラと視線を向けてくる。
僕は籠に入ったとうもろこしの実を外してみたが、まだ完全には乾燥していないみたいだった。
「どなたか風魔法が使える人がいますか?」
チャールズに尋ねると、彼はコクンと頷いた。
「私が使えますが、風魔法をどうするのですか?」
「このとうもろこしの実を乾かしてください」
「風魔法で実を乾かす? 今までそんな事に風魔法を使った事はありませんがやってみましょう」
チャールズはザルに入ったとうもろこしの実に風魔法を当てる。
しばらく経つととうもろこしの実がカラカラに乾燥してきた。
「もう良いですよ。それではフライパンを火にかけて油を引いてください」
チャールズはそこで料理長を呼んで、フライパンを火にかけさせた。
まあ、貴族が調理器具を扱うなんてそうそうしないよね。
料理長はフライパンを火にかけると、温まったところで油を入れた。
「このとうもろこしの実を入れて蓋をしてください。決して蓋を開けてはいけませんよ」
料理長は怪訝な顔をしながら、とうもろこしの実をフライパンに入れると蓋をした。
しばらく待っていると、やがて「ポンッ」と小さな破裂音がフライパンの中から聞こえてきた。
「な、何ですか!? 今の音は!?」
チャールズだけでなく、料理長も驚いている。
そして厨房にいた人が皆、僕達の周りに押し寄せてきた。
やがて破裂音がひっきりなしに鳴り響き出す。
「だ、旦那様! 何が起こっているのでしょうか!?」
料理長がフライパンの柄を握ったまま、オロオロしている。
「エドアルド様、これは一体!?」
やがて、破裂音が聞こえなくなったので、火を消してもらってフライパンの蓋を取って貰った。
「こ、これは!?」
チャールズ達は驚いているが、僕は懐かしいポップコーンを見て顔をほころばせた。
「こうすると、僕達にも食べられる物になるんですよ。少し塩を振ってください」
「は、はい」
料理長がポップコーンの上にパラパラと塩を振りかけた。
僕はフライパンに手を伸ばしてポップコーンを一つ取り口に運ぶ。
…うん。
なかなか良く出来てるな。
「どうぞ、食べて見てください」
僕が勧めるとチャールズは恐る恐る手に取ったが、すぐには口に入れなかった。
不思議そうな顔でポップコーンを凝視している。
「これが、さっきのとうもろこしなんですか? どうしてこんなになるんでしょう?」
「このとうもろこしは熱を加えると膨らんでこんな形になるんです。まずは食べてみてください」
僕が口に入れたのを見ていたので、チャールズはようやく決心してポップコーンを口に入れた。
もぐもぐと咀嚼したと思うと、驚いたように目を見開いている。
「あれほど固かった実がこんなに柔らかくなるなんて…」
「旦那様、私も食べてみてよろしいでしょうか?」
料理長がチャールズに許可を求めてくると、他の料理人達もこぞって試食を求めてきた。
「ああ、食べてみなさい」
チャールズが許可すると、皆が一斉にフライパンに手を伸ばしている。
この後はチャールズとの話し合いだな。
その前にもう少しポップコーンを堪能することにしよう。
362
あなたにおすすめの小説
あっ、追放されちゃった…。
satomi
恋愛
ガイダール侯爵家の長女であるパールは精霊の話を聞くことができる。がそのことは誰にも話してはいない。亡き母との約束。
母が亡くなって喪も明けないうちに義母を父は連れてきた。義妹付きで。義妹はパールのものをなんでも欲しがった。事前に精霊の話を聞いていたパールは対処なりをできていたけれど、これは…。
ついにウラルはパールの婚約者である王太子を横取りした。
そのことについては王太子は特に魅力のある人ではないし、なんにも感じなかったのですが、王宮内でも噂になり、家の恥だと、家まで追い出されてしまったのです。
精霊さんのアドバイスによりブルハング帝国へと行ったパールですが…。
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
心が折れた日に神の声を聞く
木嶋うめ香
ファンタジー
ある日目を覚ましたアンカーは、自分が何度も何度も自分に生まれ変わり、父と義母と義妹に虐げられ冤罪で処刑された人生を送っていたと気が付く。
どうして何度も生まれ変わっているの、もう繰り返したくない、生まれ変わりたくなんてない。
何度生まれ変わりを繰り返しても、苦しい人生を送った末に処刑される。
絶望のあまり、アンカーは自ら命を断とうとした瞬間、神の声を聞く。
没ネタ供養、第二弾の短編です。
結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた
夏菜しの
恋愛
幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。
彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。
そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。
彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。
いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。
のらりくらりと躱すがもう限界。
いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。
彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。
これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?
エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる