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幼少期
55 初めての魔法
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僕は執事と共に馬車が置いてある玄関へと向かった。
チャールズもついて来たがったけれど、メイドにチャールズの顔を見せたくはなかったので断った。
そういえば彼女の名前は何だったかな?
僕はメイドの名前を一生懸命思い出そうと記憶をたどっていた。
玄関に到着すると、馬車からは時折ドンドンと内側から叩く音が響いている。
あれからずっと叩き続けていたのだろうか?
僕は足早に馬車に駆け寄ると中にいるメイドに向かって声をかけた。
「エミー、聞こえる? 今、馬車の扉を開けるからね」
僕は後ろをついて来た執事に目配せすると、執事は馬車の鍵を外して扉を開けた。
そこには馬車の床に座り込んでいるエミーの姿があった。
顔は涙でぐしゃぐしゃで、いつもきちんとしている彼女の姿はなかった。
エミーは僕の姿を見た途端、大きく目を見開いている。
「エドアルド様っ! ご無事ですかっ!」
エミーが両手を僕に伸ばしてくるが、その手は馬車の扉を叩き続けていたせいで真っ赤に腫れ上がり、血が滲んでいる箇所もある。
「エミー、こんなになるまで叩き続けるなんて…」
チャールズとの会話を聞かれたくなくて、馬車の中に放置してしまったけれど、こんな事ならもっと早く、ここから出してあげるべきだっただろうか?
僕はエミーの両手を握ったが、その手の熱さに心が痛んだ。
「ごめんね、エミー。もっと早くここから出してあげるべきだったね」
何とかこの手を元に戻してあげられないかな?
僕に回復魔法が使えたら、エミーの手を元通りにしてあげられるのに…。
そう思った時、僕の手がボウッと光ったかと思うと、エミーの手を優しい光が包んだ。
その光が消えると、エミーの手は腫れが引き元通りに戻っていた。
「エドアルド様!? まさか、回復魔法が使えるのですか!?」
エミーが驚きの声を上げ、執事も「おおっ!」と声を出して驚いている。
「え!? 僕が回復魔法?」
にわかには自分が回復魔法を使ったなんて信じられない。
「今のは僕が回復魔法を使ったの?」
僕はエミーから手を離して、自分の両手のひらをしげしげと眺めた。
まさか、こんなところで初めての魔法を使う事になるとは思わなかった。
「ありがとうございます、エドアルド様。私なんかのために魔法を使って頂いて…」
エミーは感動の眼差しを僕に向けてくれるけれど、エミーに対して後ろめたい思いがある僕にとってはちょっといたたまれない。
「エミーの手が元通りになって良かったよ。用事は済んだから帰ろうか。あの人が家まで送ってくれるって」
そう言って執事を指差したが、エミーは立ち上がって僕を庇うように執事との間に立ち塞がるとキッと執事を睨みつける。
「私とエドアルド様を離れ離れにした人物など信用できません! また、騙して何処かへ連れ去るのではないのですか!」
うん、まあ、エミーが警戒するのもわかるよ。
だけど、もうそういう警戒は不要なんだけどね。
「エミー。あの人はちょっとした勘違いで僕達をここに連れてきてしまったんだ。だけど、ちゃんと話をしたら間違っていた事に気づいてくれたんだ。それでお詫びにお菓子をご馳走になっていたんだよ」
そう説明すると、エミーはくん、と鼻をひくつかせて匂いを嗅いでみせた。
「お菓子ですか? 道理で先ほどからエドアルド様から甘い匂いがすると思いました」
どうやらキャラメルポップコーンの匂いが僕から漂っているようだ。
「ちょっと納得のいかないところもありますが、エドアルド様がそうおっしゃるのでしたら、今回は不問とすることにしましょう」
エミーは何処かしら納得のいかない顔をみせていたが、僕が何も言わないのでそれ以上は言わないでいてくれた。
執事は普通の馬車を出してきて僕達を乗せてくれた。
帰りは外の景色を楽しみながら帰る事にしよう。
チャールズもついて来たがったけれど、メイドにチャールズの顔を見せたくはなかったので断った。
そういえば彼女の名前は何だったかな?
僕はメイドの名前を一生懸命思い出そうと記憶をたどっていた。
玄関に到着すると、馬車からは時折ドンドンと内側から叩く音が響いている。
あれからずっと叩き続けていたのだろうか?
僕は足早に馬車に駆け寄ると中にいるメイドに向かって声をかけた。
「エミー、聞こえる? 今、馬車の扉を開けるからね」
僕は後ろをついて来た執事に目配せすると、執事は馬車の鍵を外して扉を開けた。
そこには馬車の床に座り込んでいるエミーの姿があった。
顔は涙でぐしゃぐしゃで、いつもきちんとしている彼女の姿はなかった。
エミーは僕の姿を見た途端、大きく目を見開いている。
「エドアルド様っ! ご無事ですかっ!」
エミーが両手を僕に伸ばしてくるが、その手は馬車の扉を叩き続けていたせいで真っ赤に腫れ上がり、血が滲んでいる箇所もある。
「エミー、こんなになるまで叩き続けるなんて…」
チャールズとの会話を聞かれたくなくて、馬車の中に放置してしまったけれど、こんな事ならもっと早く、ここから出してあげるべきだっただろうか?
僕はエミーの両手を握ったが、その手の熱さに心が痛んだ。
「ごめんね、エミー。もっと早くここから出してあげるべきだったね」
何とかこの手を元に戻してあげられないかな?
僕に回復魔法が使えたら、エミーの手を元通りにしてあげられるのに…。
そう思った時、僕の手がボウッと光ったかと思うと、エミーの手を優しい光が包んだ。
その光が消えると、エミーの手は腫れが引き元通りに戻っていた。
「エドアルド様!? まさか、回復魔法が使えるのですか!?」
エミーが驚きの声を上げ、執事も「おおっ!」と声を出して驚いている。
「え!? 僕が回復魔法?」
にわかには自分が回復魔法を使ったなんて信じられない。
「今のは僕が回復魔法を使ったの?」
僕はエミーから手を離して、自分の両手のひらをしげしげと眺めた。
まさか、こんなところで初めての魔法を使う事になるとは思わなかった。
「ありがとうございます、エドアルド様。私なんかのために魔法を使って頂いて…」
エミーは感動の眼差しを僕に向けてくれるけれど、エミーに対して後ろめたい思いがある僕にとってはちょっといたたまれない。
「エミーの手が元通りになって良かったよ。用事は済んだから帰ろうか。あの人が家まで送ってくれるって」
そう言って執事を指差したが、エミーは立ち上がって僕を庇うように執事との間に立ち塞がるとキッと執事を睨みつける。
「私とエドアルド様を離れ離れにした人物など信用できません! また、騙して何処かへ連れ去るのではないのですか!」
うん、まあ、エミーが警戒するのもわかるよ。
だけど、もうそういう警戒は不要なんだけどね。
「エミー。あの人はちょっとした勘違いで僕達をここに連れてきてしまったんだ。だけど、ちゃんと話をしたら間違っていた事に気づいてくれたんだ。それでお詫びにお菓子をご馳走になっていたんだよ」
そう説明すると、エミーはくん、と鼻をひくつかせて匂いを嗅いでみせた。
「お菓子ですか? 道理で先ほどからエドアルド様から甘い匂いがすると思いました」
どうやらキャラメルポップコーンの匂いが僕から漂っているようだ。
「ちょっと納得のいかないところもありますが、エドアルド様がそうおっしゃるのでしたら、今回は不問とすることにしましょう」
エミーは何処かしら納得のいかない顔をみせていたが、僕が何も言わないのでそれ以上は言わないでいてくれた。
執事は普通の馬車を出してきて僕達を乗せてくれた。
帰りは外の景色を楽しみながら帰る事にしよう。
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