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幼少期
58 義母様との話
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馬車に乗るアーサーを見送って玄関を入ると、そこには義母様が立っていた。
「さあ、エドアルド。ちゃんと話を聞かせてもらいますよ」
義母様はニコッと笑顔を見せているけれど、その目はまったく笑っていない。
ゾクリと背中に冷たいものを感じつつも僕は義母様の後をついて歩く。
義母様の執務室に入るとソファーに向かい合わせに座った。
「エドアルド。今日は何処へ行っていたの? てっきりコールリッジ家に行っていると思っていたら、アーサー様が来て『迎えは寄越してない』と仰るし、あなたはなかなか帰ってこないし…。先ほどエミーに何処に行っていたのかと聞いても『別室に待機していたのでわかりません』としか言わないし…」
義母様はそこでほうっと大きなため息をつく。
「あなたが誰かに攫われたんじゃないかと気が気じゃなかったのよ。お願いだから何があったのか話してちょうだい」
義母様の目はうるうるとしてちょっと涙ぐんでいるようにも見える。
義母様に心配をかけた事は申し訳ないとは思うけれど、チャールズと何があったのかを話す事は出来ない。
「心配をかけてごめんなさい、義母様」
僕はペコリと頭を下げた。
「僕を連れ出した人は、僕を他の人と間違えたらしいんです」
「エドアルドを誰かと間違えた?」
「はい。僕は養子でしょう? その人が探している人も孤児院にいたらしいので、それで間違えたんじゃないかと…」
義母様はそこまで聞くと、手を顎に当ててじっと考えていたが、やがて顔を上げて僕に尋ねてくる、
「それで? エドアルドは誰の所に行っていたの? その人は名乗ったのでしょう?」
僕はゆるりと首を振る。
「ごめんなさい、義母様。その人の事は話せません。我が家よりも上の身分の方だし、誰にも話さないと約束したんです」
そう言って義母様をじっと見つめると、義母様はまたしてもほうっと大きなため息をついた。
「我が家よりも身分が上の方なのね。エドアルドが話さないと約束したのなら守らないとダメなんでしょうね。こうしてエドアルドも無事に帰って来たんだし…」
その後で義母様は背筋を伸ばすと僕にこう告げた。
「だけど、これからはこのような事は許しませんからね。素性のはっきりしない方のお誘いは一切応じてはなりませんよ」
義母様に言われて僕も背筋を伸ばす。
「わかりました。今後は知らない。馬車には乗らないと誓います」
そう誓った後で僕はふと義母様に問いかけた。
「それで、今日の事は義父様に報告するのですか?」
すると義母様はブルブルと首を横に振る。
「とんでもない! 旦那様に話したら余計な心配をかけてしまうわ。今日の事は旦那様には絶対に内緒ですからね。後で皆にも口止めしておかなくては…」
義母様に釘を刺されて僕はコクリと頷いた。
そこへノックの音が響いたかと思うと、メイドの一人が入ってきた。
「奥様。クリス様がミルクの時間らしく泣いていらっしゃいます」
どうやら義母様はクリスの授乳の時間のようだ。
クリスの世話は主に乳母が見ているが、義母様もお乳が張るので時折クリスにおっぱいをあげている。
「あら、もうそんな時間なのね。すぐに行くわ。エドアルドも自分の部屋に戻りなさい」
「はい、義母様」
僕と義母様は連れ立って義母様の執務室を出て歩き出す。
クリスの部屋が近づくにつれてクリスの泣き声が大きくなってくる。
義母様がクリスの部屋に入って行くのを横目で見ながら、僕は隣にある自分の部屋へと入っていった。
部屋に入って一人になった途端、どっと疲れが押し寄せてきた。
僕はそのままベッドに近づくと、パタリとベットに倒れ込んだ。
あー、疲れた。
だけど、これでポップコーンが手に入るようになるよね。
いつ頃になるんだろう?
僕はワクワクしながら、その日が来るのを心待ちにするのだった。
「さあ、エドアルド。ちゃんと話を聞かせてもらいますよ」
義母様はニコッと笑顔を見せているけれど、その目はまったく笑っていない。
ゾクリと背中に冷たいものを感じつつも僕は義母様の後をついて歩く。
義母様の執務室に入るとソファーに向かい合わせに座った。
「エドアルド。今日は何処へ行っていたの? てっきりコールリッジ家に行っていると思っていたら、アーサー様が来て『迎えは寄越してない』と仰るし、あなたはなかなか帰ってこないし…。先ほどエミーに何処に行っていたのかと聞いても『別室に待機していたのでわかりません』としか言わないし…」
義母様はそこでほうっと大きなため息をつく。
「あなたが誰かに攫われたんじゃないかと気が気じゃなかったのよ。お願いだから何があったのか話してちょうだい」
義母様の目はうるうるとしてちょっと涙ぐんでいるようにも見える。
義母様に心配をかけた事は申し訳ないとは思うけれど、チャールズと何があったのかを話す事は出来ない。
「心配をかけてごめんなさい、義母様」
僕はペコリと頭を下げた。
「僕を連れ出した人は、僕を他の人と間違えたらしいんです」
「エドアルドを誰かと間違えた?」
「はい。僕は養子でしょう? その人が探している人も孤児院にいたらしいので、それで間違えたんじゃないかと…」
義母様はそこまで聞くと、手を顎に当ててじっと考えていたが、やがて顔を上げて僕に尋ねてくる、
「それで? エドアルドは誰の所に行っていたの? その人は名乗ったのでしょう?」
僕はゆるりと首を振る。
「ごめんなさい、義母様。その人の事は話せません。我が家よりも上の身分の方だし、誰にも話さないと約束したんです」
そう言って義母様をじっと見つめると、義母様はまたしてもほうっと大きなため息をついた。
「我が家よりも身分が上の方なのね。エドアルドが話さないと約束したのなら守らないとダメなんでしょうね。こうしてエドアルドも無事に帰って来たんだし…」
その後で義母様は背筋を伸ばすと僕にこう告げた。
「だけど、これからはこのような事は許しませんからね。素性のはっきりしない方のお誘いは一切応じてはなりませんよ」
義母様に言われて僕も背筋を伸ばす。
「わかりました。今後は知らない。馬車には乗らないと誓います」
そう誓った後で僕はふと義母様に問いかけた。
「それで、今日の事は義父様に報告するのですか?」
すると義母様はブルブルと首を横に振る。
「とんでもない! 旦那様に話したら余計な心配をかけてしまうわ。今日の事は旦那様には絶対に内緒ですからね。後で皆にも口止めしておかなくては…」
義母様に釘を刺されて僕はコクリと頷いた。
そこへノックの音が響いたかと思うと、メイドの一人が入ってきた。
「奥様。クリス様がミルクの時間らしく泣いていらっしゃいます」
どうやら義母様はクリスの授乳の時間のようだ。
クリスの世話は主に乳母が見ているが、義母様もお乳が張るので時折クリスにおっぱいをあげている。
「あら、もうそんな時間なのね。すぐに行くわ。エドアルドも自分の部屋に戻りなさい」
「はい、義母様」
僕と義母様は連れ立って義母様の執務室を出て歩き出す。
クリスの部屋が近づくにつれてクリスの泣き声が大きくなってくる。
義母様がクリスの部屋に入って行くのを横目で見ながら、僕は隣にある自分の部屋へと入っていった。
部屋に入って一人になった途端、どっと疲れが押し寄せてきた。
僕はそのままベッドに近づくと、パタリとベットに倒れ込んだ。
あー、疲れた。
だけど、これでポップコーンが手に入るようになるよね。
いつ頃になるんだろう?
僕はワクワクしながら、その日が来るのを心待ちにするのだった。
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