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第1章
第17話
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「スライム多いな……」
組み立て式の橋を作り、拠点の小島の西にある陸地へ渡れるようになったケイは、今日も西側にやってきた。
探知をし、魔物がいないか探ってみると、発見した魔物はまたもスライムだった。
発見頻度の多さから、この島にはスライムが溢れているのだろうかと思ってしまう。
「ハッ!」
発見したスライムに見つからないように少しずつ接近し、ケイは遠くから火魔法を放つ。
一直線に飛んで行った火の玉はスライムに着弾し、液体のようなその肉体を蒸発するように消滅させた。
「よしっ!」
いつも通りの結果に軽くガッツポーズをし、ケイはスライムが落とした魔石を拾いに向かった。
「っ!?」
屈んで魔石を拾った瞬間、ケイに影が差した。
背筋に冷たい汗が流れたケイは、何も考えずその場から後ろに飛びずさった。
すると、さっきまでケイがいた場所にスライムが落下してきた。
もしも上を見たりして確認をしようとしていたら、躱すことができずに押しつぶされていたかもしれない。
「くそっ! 失敗した!」
躱すことに成功したケイは、自分の失態に思わず愚痴が出た。
今まで強い魔物に遭遇しなかったことが油断を生んでしまった。
いつもなら安全を重ねて樹の上にも探知を巡らせるようにしていたのだが、地面にいる魔物ばかりに気を取られ、樹の上にいた敵を見逃していたようだ。
「っ!? 危ねっ!!」
押しつぶしを躱されたスライムは、ケイに対して液体を飛ばしてきた。
サッカーボールほどの大きさの水の球がかなりの勢いで飛んできて、ケイは右に飛び、水の球が当たるギリギリで躱した。
“シュ~……!!”
ケイに躱された水の球が地面に落ちると、地面から煙が立ち上がった。
「消化液か!?」
もしも食らっていた時のことを考え、ケイは冷や汗を掻いた。
小さな体のケイが食らっていたら、全身が爛れていたところだろう。
「っ!?」
食らった時のことを考えている暇はケイにはなかった。
攻撃を躱されたスライムはケイめがけて追撃をしてきた。
前の時もそうだったが、スライムの移動速度は結構早い。
これまでなら距離を取って戦っていたので危険など感じなかったが、今日に限ってはかなり接近している。
足に魔力を集めて逃げるにしても、集めている時間がない。
「くっ!?」
突進してきたスライムは、そのままケイに体当たりをしてきた。
ヤバいと思ったケイは、慌てて右へ飛び込んだ。
“ドガンッ!!”
寸での所でケイに躱されたスライムは止まることができず、そのまま後方に立っていた樹に激突した。
すると、スライムがぶつかった樹は、メキメキと音を立てて倒れていった。
「まじかよ!?」
それほど太くないとは言っても、まさか樹を折る程とは思わなかった。
直撃すれば人間の骨など簡単に折れてしまうだろう。
大きな音を立てて倒れた樹を見て、自分が食らった時の事を想像してケイは顔が蒼くなった。
「このっ!!」
追撃を警戒してすぐにケイは立ち上がる。
スライムも方向転換をし、またもケイに向かって接近してきた。
ケイもただ攻撃から逃げ回っていた訳ではない。
攻撃を躱しながらも、ちゃんと反撃をするために魔力を集めていた。
先程以上の速度で迫り来るスライムに対し、ケイは火魔法を放つ。
それがスライムに直撃し、スライムは蒸発して魔石を落とした。
「ふ~……、怖かった……」
今までは離れた距離からの攻撃だったので危険はなかったが、まさかスライムの攻撃がここまで危険だとは思わなかった。
一撃でも食らっていたら命を落としていた。
そのことを考えると体が震えてきた。
「……慢心はいけないな」
ちょっとでも油断をすればこの世界では即、死に直結する。
そのことを改めて思い知ったケイだった。
慢心から危険な目に遭ったため、ケイは気分的に今日はこれ以上魔物との戦闘は控えようと思った。
足取りも重くケイは拠点へと戻っていった。
「拠点を広げよう!」
魚介類や生えだした野草が少量と、食材はある程度確保している。
なので、今日の戦闘をやめたケイは時間ができた。
前から少し考えていたのだが、これまでは食材確保が忙しくてできなかった拠点としている洞窟の改良を暇つぶしに行おうと考えた。
今までは狭くても気にしないでいたのだが、この小島がかなり安全だと確認できたため、もう少し広げてもいいのではないかと考えた。
「中で調理できるようにしたいな」
これまでは冬の寒さから暖炉を作っておいたのだが、暖かくなりだしたことでこれからは使用頻度は減っていくだろう。
いつも外で火を焚いて調理をしているが、よくよく考えたらいつも天候が晴れているとは限らない。
この島に梅雨があるかは分からないが、もしも雨が続いた時の事を考えると、拠点内でも調理ができるようにしておきたい。
魔法の上達で土魔法の技術も上がってきているはずだ。
洞窟自体を広くすることもできるはず。
「よしっ! 成功だ!」
今まで1畳程度の広さしかなかった拠点の内部が4畳ほどの広さになった。
「前よりゆったりできそうだ」
竈も作り、煙も外に出るようにして、拠点内で調理ができるようにもした。
これで天候に左右されずに過ごせるだろう。
組み立て式の橋を作り、拠点の小島の西にある陸地へ渡れるようになったケイは、今日も西側にやってきた。
探知をし、魔物がいないか探ってみると、発見した魔物はまたもスライムだった。
発見頻度の多さから、この島にはスライムが溢れているのだろうかと思ってしまう。
「ハッ!」
発見したスライムに見つからないように少しずつ接近し、ケイは遠くから火魔法を放つ。
一直線に飛んで行った火の玉はスライムに着弾し、液体のようなその肉体を蒸発するように消滅させた。
「よしっ!」
いつも通りの結果に軽くガッツポーズをし、ケイはスライムが落とした魔石を拾いに向かった。
「っ!?」
屈んで魔石を拾った瞬間、ケイに影が差した。
背筋に冷たい汗が流れたケイは、何も考えずその場から後ろに飛びずさった。
すると、さっきまでケイがいた場所にスライムが落下してきた。
もしも上を見たりして確認をしようとしていたら、躱すことができずに押しつぶされていたかもしれない。
「くそっ! 失敗した!」
躱すことに成功したケイは、自分の失態に思わず愚痴が出た。
今まで強い魔物に遭遇しなかったことが油断を生んでしまった。
いつもなら安全を重ねて樹の上にも探知を巡らせるようにしていたのだが、地面にいる魔物ばかりに気を取られ、樹の上にいた敵を見逃していたようだ。
「っ!? 危ねっ!!」
押しつぶしを躱されたスライムは、ケイに対して液体を飛ばしてきた。
サッカーボールほどの大きさの水の球がかなりの勢いで飛んできて、ケイは右に飛び、水の球が当たるギリギリで躱した。
“シュ~……!!”
ケイに躱された水の球が地面に落ちると、地面から煙が立ち上がった。
「消化液か!?」
もしも食らっていた時のことを考え、ケイは冷や汗を掻いた。
小さな体のケイが食らっていたら、全身が爛れていたところだろう。
「っ!?」
食らった時のことを考えている暇はケイにはなかった。
攻撃を躱されたスライムはケイめがけて追撃をしてきた。
前の時もそうだったが、スライムの移動速度は結構早い。
これまでなら距離を取って戦っていたので危険など感じなかったが、今日に限ってはかなり接近している。
足に魔力を集めて逃げるにしても、集めている時間がない。
「くっ!?」
突進してきたスライムは、そのままケイに体当たりをしてきた。
ヤバいと思ったケイは、慌てて右へ飛び込んだ。
“ドガンッ!!”
寸での所でケイに躱されたスライムは止まることができず、そのまま後方に立っていた樹に激突した。
すると、スライムがぶつかった樹は、メキメキと音を立てて倒れていった。
「まじかよ!?」
それほど太くないとは言っても、まさか樹を折る程とは思わなかった。
直撃すれば人間の骨など簡単に折れてしまうだろう。
大きな音を立てて倒れた樹を見て、自分が食らった時の事を想像してケイは顔が蒼くなった。
「このっ!!」
追撃を警戒してすぐにケイは立ち上がる。
スライムも方向転換をし、またもケイに向かって接近してきた。
ケイもただ攻撃から逃げ回っていた訳ではない。
攻撃を躱しながらも、ちゃんと反撃をするために魔力を集めていた。
先程以上の速度で迫り来るスライムに対し、ケイは火魔法を放つ。
それがスライムに直撃し、スライムは蒸発して魔石を落とした。
「ふ~……、怖かった……」
今までは離れた距離からの攻撃だったので危険はなかったが、まさかスライムの攻撃がここまで危険だとは思わなかった。
一撃でも食らっていたら命を落としていた。
そのことを考えると体が震えてきた。
「……慢心はいけないな」
ちょっとでも油断をすればこの世界では即、死に直結する。
そのことを改めて思い知ったケイだった。
慢心から危険な目に遭ったため、ケイは気分的に今日はこれ以上魔物との戦闘は控えようと思った。
足取りも重くケイは拠点へと戻っていった。
「拠点を広げよう!」
魚介類や生えだした野草が少量と、食材はある程度確保している。
なので、今日の戦闘をやめたケイは時間ができた。
前から少し考えていたのだが、これまでは食材確保が忙しくてできなかった拠点としている洞窟の改良を暇つぶしに行おうと考えた。
今までは狭くても気にしないでいたのだが、この小島がかなり安全だと確認できたため、もう少し広げてもいいのではないかと考えた。
「中で調理できるようにしたいな」
これまでは冬の寒さから暖炉を作っておいたのだが、暖かくなりだしたことでこれからは使用頻度は減っていくだろう。
いつも外で火を焚いて調理をしているが、よくよく考えたらいつも天候が晴れているとは限らない。
この島に梅雨があるかは分からないが、もしも雨が続いた時の事を考えると、拠点内でも調理ができるようにしておきたい。
魔法の上達で土魔法の技術も上がってきているはずだ。
洞窟自体を広くすることもできるはず。
「よしっ! 成功だ!」
今まで1畳程度の広さしかなかった拠点の内部が4畳ほどの広さになった。
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竈も作り、煙も外に出るようにして、拠点内で調理ができるようにもした。
これで天候に左右されずに過ごせるだろう。
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