主人公は高みの見物していたい

ポリ 外丸

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3学年 前期

第182話

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「……ジェネラル3体なんて、本当にやばいな……」

「「「ギギッ!」」」

 キングやクイーンに次ぐ強さを持ち、1体でも大きな被害をもたらすと言われているゴブリンジェネラル。
 そのゴブリンジェネラルが、伸の前には3体も存在している。
 この3体が野放しになっていたらと思うと、どれほどの数の人間が犠牲になっていたか分からない。
 近くの町に侵攻する前に自分が見つけることができたことに、本当に運がよかったと伸は思っていた。

「ギギッ!!」

「ゲギャ?」

「んっ?」

 脇差を構えて少しずつ近づいてくる伸に対し、ゴブリンジェネラルの1体が近くにいたゴブリンの首に手を伸ばす。
 2mほどある身長のゴブリンジェネラルからすると、普通のゴブリンの首なんて値した太さではないのだろう。
 首を掴んだゴブリンジェネラルは、ゴブリンを片手で軽々と持ち上げた。
 何をする気なのか分からず、伸だけでなく捕まれたゴブリンも疑問の声を漏らした。

「ガッ!!」

「おわっ!!」

 何をするのかと思ったら、ゴブリンジェネラルは掴んだゴブリンを伸目掛けて放り投げてきた。
 小さいとはいえ、ゴブリンだって結構な重さのはず。
 それなのにも関わらず、ボールを投げるがごとく高速で放り投げてくるなんて、とんでもない腕力だ。
 予想外の攻撃に驚くが、避けられないほどではない。
 飛んできたゴブリンに対し、伸は横に動いて回避する。
 そして、伸に当たらす飛んで行ったゴブリンは、洞窟の壁にぶつかってトマトが潰れたように弾けた。

「「「ガアッ!!」」」

「おいおい、仲間を球代わりかよ……」

 どうやら、先ほどの投擲は飛んでくるゴブリンに意識を向けさせ、その間に伸との距離を詰めるためだったようだ。
 その考えは成功と言っていいだろう。
 攻撃を躱した伸に、3体のゴブリンジェネラルが同時に襲い掛かった。
 ゴブリン同士ではどういう関係なのか分からないが、一応仲間だというのに球代わりに使うなんてひどい扱いだ。
 ゴブリンジェネラルに通じるか分からないが、伸は思わず抗議の言葉を投げかけた。

「「「ガアッ!!」」」

 接近したゴブリンジェネラルたちは、前と左右から拳を突き出してきた。

「フンッ!」

「「「ガッ!?」」」

 3方向からの攻撃だが、後方に飛べば躱せるだろう。
 しかし、ゴブリンジェネラルは一回躱しただけで止まるとは思えない。
 調子づかせるわけにはいかないため、伸は左から迫る拳を左手で、右から迫る拳を脇差で、前から迫る拳を蹴り上げることで止めた。
 それにより、伸が躱すことを想定していたゴブリンジェネラルたちは驚きの声を上げた。

「ギッ!」

「おっ?」

 右から攻撃してきたゴブリンジェネラルは、脇差で受け止められたため、拳に伸の脇差が刺さっている。
 その痛みに耐えつつ、そのゴブリンジェネラルは左手で脇差を掴んできた。

「「ガウッ!!」」

「チッ!」

 1体が脇差を掴んだ瞬間、残りの2体は伸に向かってまたも殴り掛かった。
 ゴブリンも軽々投げることからも分かるように、脇差を掴んでいるゴブリンジェネラルの力はかなりのもの。
 押し引きしていては残りの2体の攻撃を躱せない。
 仕方がないので、舌打ちした伸は脇差から手を放してバックステップした。

「ギギャギャ!」

「……汚い笑い声だな」

 伸から武器を取り上げることに成功したからか、拳から血を流すゴブリンジェネラルは笑い声をあげる。
 その不愉快な笑い声に、伸はイラっとしつつ文句を呟いた。

「「「ガアァー!!」」」

 後退した伸に対し、3体のゴブリンジェネラルたちは再度突っ込んでくる。
 今度は脇差を奪った1体を先頭にし、縦に一列で迫ってくる。

「ゲギャ!!」

「っ!?」

 2mほどの結構な巨体にもかかわらず、かなりの速度で接近すると、伸から奪い取った脇差で突きを放ってきた。
 その攻撃を、伸は横に飛んで躱す。

「ガアッ!!」

「むっ!?」

 攻撃を躱した伸に対し、次のゴブリンジェネラルが襲い掛かる。
 先程のように殴りつけるのではなく、低空のタックルを放ってきた。
 伸を捕まえてしまおうとでも考えたのだろう。
 そのタックルを、伸はジャンプすることで回避した。

「ゲギャ!!」

「おぉっ!」

 ジャンプするのを待っていたのだろう。
 最後の1体が空中にいる伸に飛びついてきた。
 どうやら、最初から三段階の攻撃だったようだ。
 空中にいる状態なら、避けることはできないと考えたのだろう。
 やはり普通のゴブリンと違って、ゴブリンジェネラルともなると知能が上がっているようだ。

「フッ!」

「ガッ!?」

 空中で方向転換できない。
 それは魔術を使わない場合の話だ。
 魔術さえ使えば、空中であろうと方向転換なんて難しいことではない。
 足元に魔力障壁を張り、それを足場にすれば良いだけの話なのだから。
 魔力障壁を足場にして横へと飛んだ伸に、飛びついてきたゴブリンジェネラルは驚きの声を上げる。
 捕まえてしまえば伸を殺せると思っていただけに、これだけ段階を踏んでも捕まえられなかったことが信じられないようだ。

「甘いんだよ!」

「ギャ!!」

 躱されることを考えていなかったらしく、回避して背後に回った伸からすると、3体は背中を見せて無防備状態だ。
 ゴブリンジェネラル3体が動き回れるだけの広い洞窟とはいえ、凸凹していて刀を振り回すのは壁にぶつかってしまう可能性を感じて脇差を使っていたが、完全に無防備の状態の敵を斬りつけるだけならそんなこともない。
 最後に飛びかかってきていた一番隙だらけの1体に対して、伸は腰の刀を抜いて首を斬りつけた。
 その一刀によって、伸はゴブリンジェネラルの1体を始末することに成功した。

「ガアッ!!」

「返してくれてどうも!」

 伸が1体始末している間に、残りの2体は体勢を整えていた。
 そして、脇差を持っていたゴブリンジェネラルは、伸に向かってその脇差を投げつけてきた。
 巨体のゴブリンジェネラルからすると、脇差なんて短剣みたいなものだろう。
 ゴブリンを投げるよりも高速で投げつけられた脇差を、伸は難なく受け止め、からかうように礼を言った。

「ガウッ!!」「ゲギャ!!」

 脇差を投げたのも僅かな時間稼ぎ。
 その時間を利用して接近したゴブリンジェネラルたちは、左右から伸に攻めかかってきた。
 脇差を奪うことで右手を負傷しているゴブリンジェネラルは、左手で伸の足元を捕まえるように。
 もう1体は、右から伸の顔面目掛けて殴りかかってきた。

「シッ!」

「ギッ!?」「ガッ!?」

 左右の上下からの攻撃に対し、伸は迎撃に動く。
 短く息を吐くとともに、2体に対して同時にカウンターを放った。
 左下の1体に対しては蹴りを、右上を攻めてきた1体に対しては、脇差で斬り上げて迫りくる拳を斬り飛ばした。

「フンッ!!」

「「っっっ!!」」

 伸の攻撃による痛みで、一瞬動きが止まった2体のゴブリンジェネラル。
 その隙を逃すわけもなく、伸は止めとばかりに動く。
 脇差と刀を振り、2体の体を斬り刻んだ。

「ふ~……」

 ゴブリンジェネラルを倒すことに成功し、伸は一息つく。

「っと、最悪なのがまだ残っているんだ」

 危険な3体のゴブリンジェネラルを仕留めることに成功し、これで一安心と思ったところだが、まだ気を引き締めなければなならない相手が残っている。
 そのため、伸は緩みかけた気をもう一度引き締め直し、残っているゴブリンたちの始末を開始した。

「これで残りは……」

 伸からするとゴブリンなんてどんなにいようと関係ない。
 大量にいたゴブリンたちも指示を出す上位種がいなければ、なおさら相手になんてならない。
 数が多いために時間がかかったが、伸は魔法と剣を使ってゴブリンを仕留めることに成功した。
 そして、最後に残った強敵のいる場所に向かって、洞窟内を進んで行った。

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