オークの子を身籠りました。

もみじ

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本編

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 “!?”

 ラルクが声を荒げる。

「ふざけんな!異種強姦でガキが出来る訳ねぇだろ!?」

 当然私もそう思いたい、だけどノブは

「いや、可能性はゼロじゃない。人間とオークのハーフ、ウルクと呼ばれるものが伝承には存在する。ウルクは人並みの知能にオーク以上の力を持った化物だ、生まれれば必ず災いをもたらすだろう」

「そんなのただのお伽話だろ。あいつの腹ん中にいるのは間違いなくお前の子だフィール、胸張って抱きしめてやれよ!」

「それが出来るはずないんだよ!だって俺・・・ちゃんとつけてたし」

「は・・・何だよそれ?あんな愛し合ってたくせして律儀に避妊なんてしてたのかよ」

「ああそうだよ!まだこんな未熟者なのに子供なんて育てられる訳ないだろ?」

 信じられない!私は思いきり音を立てて扉を開けた。

「嘘・・・私のお腹にいる子がオークだなんて、絶対に嘘!」

 そんなの受け入れられる訳がない、生まれてくるのが最愛の人の子供でなくオークだなんて悪い冗談。不安と恐怖が心を支配する、居ても立っても居られず私は部屋を飛び出した。

 暗い夜、外はポツポツ雨が降り始めていた。町中に散りばめられていた松明たいまつの灯りはすっかり消え、私は暗闇の中をひたすら走る。

 もう頭の中ぐちゃぐちゃで訳分かんないよ、あの醜い化物が私のお腹の中にいて、私から栄養を吸って生まれてくるなんて想像もできない。生まれてくるのは間違いなくフィールの子、だけど子供を抱きかかえた時もしその顔が豚の顔だったらと思うと怖くて堪らなくなる。

 雨が土砂降りになって私の体を濡らす、もう顔に流れているのが涙なのか雨なのかも分らない。
 誰か言ってよ、私が身籠ったのは人の子だって!

 情緒不安定だ、私は自暴自棄になっていた。怖くて怖くて死にそう、いっそ死んでしまえばどんなに楽か・・・

 もう何も考えたくない、ただ体を動かしていれば気が紛れた。裸足で駆け、石につまずくと誰かが私の体を支えてくれた。
 ラルクは言う。

「冷えると体に障る」

「何でラルクなの?追いかけてきてくれたのがどうしてフィールじゃないの?ただ一言、お腹の子は俺の子だって言ってくれればそれで言いのに・・・」

「ごめん、あいつじゃなくて」

「何でラルクが謝るの?ラルクはバカなの?」

 私はしゅんとする彼女の胸を叩いて・・・叩いて、叩いて、何度も八つ当たりする。ラルクはただ黙って私の八つ当たりを耐えてくれた。その時のラルクの顔はとても悲しそうに見えた。どうしてそんな顔をするの?いつものように罵声を浴びせてくれればそれで良かったのに。



 それから私とラルクは民家のひさしで少し雨宿りした。二人きり、ただただ無言の時が過ぎる。初めはバケツをひっくり返したような大雨も時間が経つと次第に小降りになり、私はラルクに連れられてギルドに帰る。帰ったところで何も解決しないけれど、とりあえず帰る。

 私達は建物に入ると足を止めた。中には真っ黒なマントを羽織った黒い騎士、整えられた黒い髪、武勲を称える勲章をジャラジャラと鳴らせ、赤い瞳をこちらに向ける。

 “やばい!”

 こんなところで見つかったら大変なことになる、咄嗟に私はラルクの後ろに隠れる。でもその柔和な顔に私の警戒はすぐに解けた。

「お兄様?」

 驚いたことにそこには私の兄がいた。


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