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本編
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ラルクにはどうしても納得できないことがあった。あの日、悪いようにはしないと言ったあいつ、その言葉を信じて友を預けた。なのに・・・
「レフィの公開中絶?ふざけんな!!」
張り出されたお触書を力任せに破り捨てる。裏切られた思いだ、誰がこんなことを望んだだろうか?余りにも酷すぎる。やはり友をあの腐った肥溜に返したのは間違えだった。そういきり立って赤い王子服に着替え始める。
「ちょっと待てよ!」
フィールはラルクの肩を掴んで彼女の無謀を制止した。気持ちは分かる、だけど死地へと向かう幼馴染をこのまま黙っては見過ごせない。
「またレフィをさらうつもりか?いくら何でも無茶だ。この前の騒動で国も警備を厳重にしてくるはず、いくらお前でも忍び込めっこない」
「じゃあレフィを見捨てろってか?お前はあいつが人の前で股を晒されて腹の子を引きずり出される瞬間を見たいのか?」
ラルクの言葉にフィールは顔を曇らせる。
「そりゃあ俺だって・・・」
「なら助けに行けよ、お前の女だろ?取り返せ、奪い返すんだ!」
「出来る訳ないだろ!本当に俺の子かどうかも分からないのに」
「フィールが信じなくて誰が信じるんだ!?お前があいつの王子様にならないって言うならあたしがなってやる」
フィールはラルクの強い眼光に気圧される。一瞬、彼女をカッコいいと思ってしまった。いや、自分が情けないのか。彼女に真っすぐ見つめられ堪らず目を反らしてしまう。
ラルクはフィールの胸倉を掴んでこう言い放った。
「いらないならあいつはあたしが貰ってく」
そして彼女は彼を突き飛ばし何処かへ去ってしまう。
恋人として、男として本当に情けない。
フィールは地面に尻餅をついてただただ俯いた。
私は一人檻の中、鉄格子から外を眺めた。両手に枷をはめられ、捕らわれの小鳥のように天を仰ぐ。
あれから私は兄に連れられ城へと戻った。そして今までの経緯を一切合切家族に話す。父は激怒し、母は泣きじゃくる。でも私は、
ー産みたいー
そう願った。例えそれが誰の子であろうと1%でも人の子の可能性があるなら私はそれに賭けたい。だけど親は反対した、人知れず下ろせと、そして何事もなかったように今まで通りの暮らしに戻れと。他言は無用、家族だけの秘密、それは身籠った子供と共に歴史の闇に葬られるはずだった。
だけど・・・
私の咎は城の兵士達に噂され、アロルドの耳に入り、瞬く間に国中に広がる。どこで聞かれたのか分からない、誰が漏らしたのか分からない。おかげで私は良い見世物になった、王国の恥さらしと罵られ、ヤリマン姫の汚名まで着せられて投獄される。
アロルドは私を許さない、汚れた姫を受け入れられるほど彼の器は大きくない。私の名を地に落とし、誇りも、名誉も、尊厳も、ズタズタに切り裂かないと気が収まらないようだ。
公開中絶を明日に控え、私はまだ実感のないお腹を摩る。今、この子を守ってあげられるのは私だけだ。
「お姉さま、お食事を持ってきました」
すると妹のロギーニャが食事を持って檻の前に立った。パンとスープだけの、さながら囚人扱いした質素な昼食。とても王族に出す代物ではない。
「ロギーニャ、リーネはどうしたの?」
「あの侍女なら辞めましたよ、もうお姉さまには愛想が尽きたと」
そうか、リーネだけはどんなことがあっても私を見捨てないと思っていたのに、最後の拠り所を失い力を落とす。
「そう・・・」
残念そうに俯くとロギーニャは私を励ました。
「お姉さま、そう気を落とさないで。あんな恩知らずな女もう忘れて下さい。お姉さまにはロギーニャがついていますから」
「ありがとうロギーニャ、私の味方はもうあなただけよ」
「ちょっとお姉さま・・・」
ロギーニャが小さく手招きする。何かと思い私は妹の側に寄った。
妹が小声で耳打ちする。
「お姉さまを逃がすための抜け道をご用意しました、明日、それを使ってお逃げください」
ロギーニャ!?
私は驚いた、まさか妹が私のために手を回してくれていたなんて思ってもみなかった。僅かながら希望の光が差す。
「ロギーニャ、自分が何をしているか分かってるの?逃亡の手助けなんてしたらあなたもただじゃ済まないわよ!?」
「バレなければ問題ありません、それにロギーニャは大好きなお姉さまの恥辱に塗れたお姿なんて見たくないのです。どうか遠い地で幸せにお暮し下さい」
私は妹の手を両手で握りしめ頭を深々と下げた。
「ありがとう、本当にありがとう・・・」
何度も何度も・・・感謝の言葉を繰り返す。
私には過ぎた妹、この恩は一生忘れない。
「レフィの公開中絶?ふざけんな!!」
張り出されたお触書を力任せに破り捨てる。裏切られた思いだ、誰がこんなことを望んだだろうか?余りにも酷すぎる。やはり友をあの腐った肥溜に返したのは間違えだった。そういきり立って赤い王子服に着替え始める。
「ちょっと待てよ!」
フィールはラルクの肩を掴んで彼女の無謀を制止した。気持ちは分かる、だけど死地へと向かう幼馴染をこのまま黙っては見過ごせない。
「またレフィをさらうつもりか?いくら何でも無茶だ。この前の騒動で国も警備を厳重にしてくるはず、いくらお前でも忍び込めっこない」
「じゃあレフィを見捨てろってか?お前はあいつが人の前で股を晒されて腹の子を引きずり出される瞬間を見たいのか?」
ラルクの言葉にフィールは顔を曇らせる。
「そりゃあ俺だって・・・」
「なら助けに行けよ、お前の女だろ?取り返せ、奪い返すんだ!」
「出来る訳ないだろ!本当に俺の子かどうかも分からないのに」
「フィールが信じなくて誰が信じるんだ!?お前があいつの王子様にならないって言うならあたしがなってやる」
フィールはラルクの強い眼光に気圧される。一瞬、彼女をカッコいいと思ってしまった。いや、自分が情けないのか。彼女に真っすぐ見つめられ堪らず目を反らしてしまう。
ラルクはフィールの胸倉を掴んでこう言い放った。
「いらないならあいつはあたしが貰ってく」
そして彼女は彼を突き飛ばし何処かへ去ってしまう。
恋人として、男として本当に情けない。
フィールは地面に尻餅をついてただただ俯いた。
私は一人檻の中、鉄格子から外を眺めた。両手に枷をはめられ、捕らわれの小鳥のように天を仰ぐ。
あれから私は兄に連れられ城へと戻った。そして今までの経緯を一切合切家族に話す。父は激怒し、母は泣きじゃくる。でも私は、
ー産みたいー
そう願った。例えそれが誰の子であろうと1%でも人の子の可能性があるなら私はそれに賭けたい。だけど親は反対した、人知れず下ろせと、そして何事もなかったように今まで通りの暮らしに戻れと。他言は無用、家族だけの秘密、それは身籠った子供と共に歴史の闇に葬られるはずだった。
だけど・・・
私の咎は城の兵士達に噂され、アロルドの耳に入り、瞬く間に国中に広がる。どこで聞かれたのか分からない、誰が漏らしたのか分からない。おかげで私は良い見世物になった、王国の恥さらしと罵られ、ヤリマン姫の汚名まで着せられて投獄される。
アロルドは私を許さない、汚れた姫を受け入れられるほど彼の器は大きくない。私の名を地に落とし、誇りも、名誉も、尊厳も、ズタズタに切り裂かないと気が収まらないようだ。
公開中絶を明日に控え、私はまだ実感のないお腹を摩る。今、この子を守ってあげられるのは私だけだ。
「お姉さま、お食事を持ってきました」
すると妹のロギーニャが食事を持って檻の前に立った。パンとスープだけの、さながら囚人扱いした質素な昼食。とても王族に出す代物ではない。
「ロギーニャ、リーネはどうしたの?」
「あの侍女なら辞めましたよ、もうお姉さまには愛想が尽きたと」
そうか、リーネだけはどんなことがあっても私を見捨てないと思っていたのに、最後の拠り所を失い力を落とす。
「そう・・・」
残念そうに俯くとロギーニャは私を励ました。
「お姉さま、そう気を落とさないで。あんな恩知らずな女もう忘れて下さい。お姉さまにはロギーニャがついていますから」
「ありがとうロギーニャ、私の味方はもうあなただけよ」
「ちょっとお姉さま・・・」
ロギーニャが小さく手招きする。何かと思い私は妹の側に寄った。
妹が小声で耳打ちする。
「お姉さまを逃がすための抜け道をご用意しました、明日、それを使ってお逃げください」
ロギーニャ!?
私は驚いた、まさか妹が私のために手を回してくれていたなんて思ってもみなかった。僅かながら希望の光が差す。
「ロギーニャ、自分が何をしているか分かってるの?逃亡の手助けなんてしたらあなたもただじゃ済まないわよ!?」
「バレなければ問題ありません、それにロギーニャは大好きなお姉さまの恥辱に塗れたお姿なんて見たくないのです。どうか遠い地で幸せにお暮し下さい」
私は妹の手を両手で握りしめ頭を深々と下げた。
「ありがとう、本当にありがとう・・・」
何度も何度も・・・感謝の言葉を繰り返す。
私には過ぎた妹、この恩は一生忘れない。
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