オークの子を身籠りました。

もみじ

文字の大きさ
21 / 31
本編

20

しおりを挟む
 どうして?どうしてこんなことに・・・
 私は群衆に飛び込んで人を押し退けながら前へと進む。侵入禁止のロープをまたいで人のいない空間に出ると数人の兵士が私に飛びかかった。乗りかかられ、手足を抑えつけられて動けなくなる、だけどそれでも顔を上げて二人の友を見上げる。

 それを見たアロルドは呆然とした。

「あれはスティアーナか?なぜスティアーナが二人いる??」

「アロルド皇子、壇上に立っているのはお姉さまの影武者ですわ、身代わりを立てて逃げようとしたところを我が国の優秀な兵士が捕えたのでございます」

 ロギーニャの合図で男がリーネのカツラを取る。彼女の茶色い髪が衆目にさらされた。

「なにぃ~!?この期に及んでまだ私を騙そうとしていたのか?・・・許せん、断じて許せん!」

「ロギーニャは昔から知っておりました、スティアーナは魔性のクズでございます。どうかアロルド皇子の手で裁きを」

 ロギーニャの邪悪な笑みが見える。





!!!!!!!!!!!!」





 妹にハメられたことにようやく気づいて私は叫んだ。
 信じていたのに・・・

 二人の男が私の両脇を抱えて壇上へと登る。
 そこは血塗れだった、隅にはラルクが死んだように横たわっている。

 早く手当てをしないと本当に死んでしまう。

 だけど今の私にはどうすることもできない。私が心配そうにラルクを見つめていると急に髪を掴まれて無理矢理アロルドの方に顔を向けさせられた。

 私は睨む、唇を嚙み、憎しみを込めて、彼の隣に立つ妹を。











 これで満足か!?











 すると遠くの方で民衆の悲鳴が聞こえた。段々と、段々と騒がしくなっていく。こんな時に何事か?水を差されしばらく、アロルド達は刑の執行を忘れそれを注視する。

 ドスン・・・ドスン・・・と地鳴りが響いてくる。

 一人の兵士が血相を変えて国王の下にやってきた。

「国王様、国王様!」

「どうした、騒がしい」

「オークが、オークが我が国に攻めてきました!」

 たちまち空気が凍りつく。

「なん・・・だと・・・?」

 向こうの方からのっそのっそと黒い巨体が歩いてくる。忘れもしないあの姿、あの日私を犯したあいつがやって来る。何故今更?

 黒いオークは私を見るとほっと安堵の表情を浮かべた。

「良かった。どうやら間に合ったようだな」

 そして一声、



 ブヒィィィィィッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



 と大きく雄叫びを上げる。

 それに呼応して一人の女性が悲鳴をあげた。すると群がっていた民衆もクモの子を散らすようにその場から逃げ出す。

「オークだ、オークが出た!」

「犯される、助けて!」

 そんな声を上げながら他者を押し倒し、我先と逃げる。警備にあたっていた兵が混乱を収めようと必死になってなだめるも千を超える人の波は留まる事を知らない。
 それに兵士とて人間だ、平均身長3m超えの化物の軍勢とそのさらに倍はある怪物を前にしては立ちはだかる勇気も出ない。脇にそれ、それが我が物顔で通っていく様をただじっと見つめる。私の両腕を抑えていた二人の男も私を置いて逃げて行った。

 悪夢再び、まさかまた相まみえることになろうとは。奴の影が私に迫る。

 黒いオークは見下ろしながら言った。

「姫騎士よ、迎えに来たぞ」

 そして跪き私に目線を合わせる。

 また犯される!?

 そう思った次の瞬間奴の持っていた物に唖然とする。それは人の握り拳ほどもある大きなダイヤモンド、オークはそれを摘まんで私に捧げる。

「姫、俺様と結婚してくれ!」



 ・・・


 ”!?”



 驚き過ぎて言葉が出ない。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

助けた騎士団になつかれました。

藤 実花
恋愛
冥府を支配する国、アルハガウンの王女シルベーヌは、地上の大国ラシュカとの約束で王の妃になるためにやって来た。 しかし、シルベーヌを見た王は、彼女を『醜女』と呼び、結婚を保留して古い離宮へ行けと言う。 一方ある事情を抱えたシルベーヌは、鮮やかで美しい地上に残りたいと思う願いのため、異議を唱えず離宮へと旅立つが……。 ☆本編完結しました。ありがとうございました!☆ 番外編①~2020.03.11 終了

ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?

ねーさん
恋愛
   アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。  何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。  何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。  「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…

【完結】冷徹執事は、つれない侍女を溺愛し続ける。

たまこ
恋愛
 公爵の専属執事ハロルドは、美しい容姿に関わらず氷のように冷徹であり、多くの女性に思いを寄せられる。しかし、公爵の娘の侍女ソフィアだけは、ハロルドに見向きもしない。  ある日、ハロルドはソフィアの真っ直ぐすぎる内面に気付き、恋に落ちる。それからハロルドは、毎日ソフィアを口説き続けるが、ソフィアは靡いてくれないまま、五年の月日が経っていた。 ※『王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく。』のスピンオフ作品ですが、こちらだけでも楽しめるようになっております。

皇帝陛下の寵愛は、身に余りすぎて重すぎる

若松だんご
恋愛
――喜べ、エナ! お前にも縁談が来たぞ! 数年前の戦で父を、病で母を亡くしたエナ。 跡継ぎである幼い弟と二人、後見人(と言う名の乗っ取り)の叔父によりずっと塔に幽閉されていたエナ。 両親の不在、後見人の暴虐。弟を守らねばと、一生懸命だったあまりに、婚期を逃していたエナに、叔父が(お金目当ての)縁談を持ちかけてくるけれど。 ――すまないが、その縁談は無効にさせてもらう! エナを救ってくれたのは、幼馴染のリアハルト皇子……ではなく、今は皇帝となったリアハルト陛下。 彼は先帝の第一皇子だったけれど、父帝とその愛妾により、都から放逐され、エナの父のもとに身を寄せ、エナとともに育った人物。 ――結婚の約束、しただろう? 昔と違って、堂々と王者らしい風格を備えたリアハルト。驚くエナに妻になってくれと結婚を申し込むけれど。 (わたし、いつの間に、結婚の約束なんてしてたのっ!?) 記憶がない。記憶にない。 姉弟のように育ったけど。彼との別れに彼の無事を願ってハンカチを渡したけれど! それだけしかしてない! 都会の洗練された娘でもない。ずっと幽閉されてきた身。 若くもない、リアハルトより三つも年上。婚期を逃した身。 後ろ盾となる両親もいない。幼い弟を守らなきゃいけない身。 (そんなわたしが? リアハルト陛下の妻? 皇后?) ずっとエナを慕っていたというリアハルト。弟の後見人にもなってくれるというリアハルト。 エナの父は、彼が即位するため起こした戦争で亡くなっている。 だから。 この求婚は、その罪滅ぼし? 昔世話になった者への恩返し? 弟の後見になってくれるのはうれしいけれど。なんの取り柄もないわたしに求婚する理由はなに? ずっと好きだった彼女を手に入れたかったリアハルトと、彼の熱愛に、ありがたいけれど戸惑いしかないエナの物語。

悪役令嬢まさかの『家出』

にとこん。
恋愛
王国の侯爵令嬢ルゥナ=フェリシェは、些細なすれ違いから突発的に家出をする。本人にとっては軽いお散歩のつもりだったが、方向音痴の彼女はそのまま隣国の帝国に迷い込み、なぜか牢獄に収監される羽目に。しかし無自覚な怪力と天然ぶりで脱獄してしまい、道に迷うたびに騒動を巻き起こす。 一方、婚約破棄を告げようとした王子レオニスは、当日にルゥナが失踪したことで騒然。王宮も侯爵家も大混乱となり、レオニス自身が捜索に出るが、恐らく最後まで彼女とは一度も出会えない。 ルゥナは道に迷っただけなのに、なぜか人助けを繰り返し、帝国の各地で英雄視されていく。そして気づけば彼女を慕う男たちが集まり始め、逆ハーレムの中心に。だが本人は一切自覚がなく、むしろ全員の好意に対して煙たがっている。 帰るつもりもなく、目的もなく、ただ好奇心のままに彷徨う“無害で最強な天然令嬢”による、帝国大騒動ギャグ恋愛コメディ、ここに開幕!

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

処理中です...