オークの子を身籠りました。

もみじ

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本編

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 暗い洞窟はアリの巣のように複雑に入り組んでいて、私が連れて来られた大空洞とは別に武器庫、食糧庫、宝物庫など用途に応じて幾つもの部屋に分かれている。そこは地下の大迷宮と言ったところ、私一人なら絶対に迷う自信がある。だけどオーク達は住み慣れているだけに自分の庭のようにすいすいと歩いていった。
 私はルゥアに案内されて厨房へとやって来る。扉を開けると”もわっ”とカビの臭いが漂ってきて、堪らず口を押さえ咳き込んでしまった。何年、何十年と封印されていた台所、いたる所に埃が積もり、調理道具もこれでもかと錆びついている。

 まずは掃除から始めないと。

 私は見張りのオーク達に指示をした。

「ルゥア、まずは部屋の換気と掃除をして」

「えっ、僕が!?」

「それと手下のオーク、水汲みと火を起こしてくれる?」

「姉さん、オレ達もっスか?」

「当たり前でしょ、このまま私を餓死させる気?」

 顔を渋めるルゥア達、お互い顔を合わせると嫌々作業をし始める。

「どうして僕がこんなことを・・・」

 そうブツクサ垂れながらルゥアは部屋に雑巾をかけた。その間に私は刃こぼれした包丁を研ぐ。

 オークAが言う。

「姉さん、水汲んで参りやした!」

 オークBが言う。

「姉さん、火おこし完了っス!」

「ありがとう、オークA、オークB」

「姉さん!オークA、Bって、それはあんまりじゃありやせんかね?一応自分達にもシュナイダーとクロードって言う名前があるんで」

 オークの癖に無駄に名前がカッコイイ、豚に真珠とはまさにこのこと。あれ、ことわざの使い方間違ってないよね?

「で、どっちがシュナイダーでどっちがクロード?全然見分けつかないんだけど」

「そりゃないっスよ~、お互い武器を交えた仲じゃないっスか?」

 どんな仲だ!?

「ほら、姉さんを取り囲んだ四体の内の一体、この顔に見覚えありません?クロードっスよ」

「ごめん、全然分からない。皆同じ顔に見える」

「そんな~・・・とにかく語尾にスを付けてるのがオレっス、そんでやすやす言ってる奴がシュナイダー」

「あっそう、説明ありがとうシュナイダー」

「クロードっス!」

 そして片付けも掃除も終わり、準備できたところで調理開始、私は冒険者としてつちったサバイバル術をもって手際よく蛇やカエルを捌いていく。蛇は串焼き、カエルは煮込む、トカゲはいぶして日持ちするよう燻製くんせいにした。そして塩で味付けして出来上がりだ。早速それをアルトのところへ持って行く。

「これが料理ってものよ、ちょっと食べてみてアルト」

「ふん、時間ばかりかけてただ綺麗に着飾っただけじゃないか?こんな物腹に入れたらどれも同じだ」

 アルトは蛇の串焼きを口にする。

 モグモグ・・・

「どう?」

「・・・・・・・・・・・・・・・むぅ、美味い・・・」

「分かった?料理と豪語するなら最低でもこれくらいはやってよね」

「うぅ・・・確かに料理の腕は俺様より上と認めざるをえない、料理の腕だけはな!」

「アルト様、オレ達も食いたいっス!」

「クロード抜け駆けはズルいぞ!」

「えぇ~い黙れ雑魚共!これはスティアーナが俺様のために作った料理だ、俺様が全部食う!」

「いや、これ私が自分のために作った料理だから!全部はあげないよ!」

 私は両手を広げ自分の食べるおかずを死守した。



               ~王国サイド~

 まぶたに光が差す。

「ラル・・・ラルク・・・」

 友が自分を呼んでいる・・・

 ・・・・・・・・・・・レフィ!?

 ラルクはベッドから飛び起きて目の前の友に抱き着いた。

「レフィ無事だったんだな、良かった!」



 夢か幻か、さらわれた友がここにいる。


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