オークの子を身籠りました。

もみじ

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本編

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 アルトは私をただじっと見つめた。沈んだ顔はまるで私を哀れんでいるかのよう・・・何で?どうしてそんな目で私を見るの?

「ルゥア、悪いけどふもとまで人質になってもらうわよ。怪我したくなかったら大人しくしてなさい」

「馬鹿な真似はよすんだお姉ちゃん、こんな事しても逃げられないよ?」

 うるさい!いつまでも土人と一緒なんて御免だ、私は人間、獣のようには生きられない。想像してみてよ、オークとの暮らしを、一体どんな生活が待っていると思う?タンパク源は芋虫、真冬には草のベッドで凍え、風邪をひいても薬すらない、こんな原始的な生活愛がなきゃやってられないよ、そして私にはその愛がない、どんなに優しくされようとオークに微塵の愛も感じない。

「スティアーナ、俺様達と一緒にいるのは嫌か?」

 当たり前だ、そもそもこうなったのは全部アルトのせい、望んでもいないのに孕まされ、頼んでもいないのに連れて来られ、なのにどうして嫌じゃないと言えるの?アルトは私に良くしているつもりだろうけど、人間とオークとではあまりに価値観が違いすぎた。

 アルトが手を伸ばしてきたので私は剣で彼の人差し指を傷つける。ピクッと一瞬反応し大きな手が動きを止める、小さな傷口から赤い血が滴った。

「そうか・・・」

 アルトは残念そうにしょぼくれる。

「どうして・・・どうしてそんな顔をするの?あなたの行為が私の心をどれだけ傷つけたと、私がどれだけ泣いてきたと思ってるの!?人の気持ちも知らないで・・・今更許せるはずないじゃない!」

「すまなかった」

「謝るくらいなら最初っから犯すなよ! 責任取ってよ!!」

 アルトは膝をつき、そして深々と頭を垂れた。

「スティアーナ、お前には酷いことをした、決して許されることではない、だから、どうか俺様に責任を取らせてくれないか?」

「あなたバカなの?望まれてないことが分からないの!?」

「それでも!・・・お腹の子供に罪はない」

 彼の言葉に私はハッとした。まさかオークの口からそんな言葉を聞くとは思ってもみなかった。

「お前が望むなら努力もしよう、犯した罪も償おう、恨んでくれて構わない、全部俺が悪かった。別に俺を愛してくれなくてもいい、だけどその分子供は愛してやってくれないか?」

 カランと剣が地面に落ちる。

 感情がこみ上げる。あんなに嫌がってたのに、あんなに恨んでいたのに謝られて許してしまいそうになる。オークは最低の種族だ、下衆で、醜悪で・・・ただ、やっぱり子供には父親が必要だ。ここから逃げたとして、果たしてそこに子供の幸せはあるだろうか?冷静に考えれば彼等と一緒にいるのが子供のためだ。

 気持ちに押され、ふと私はとんでもないことを口走る。





「アルト・・・子供のために・・・結婚しようか?」





「お姉ちゃん???」

 ルゥアが唖然とする、まあ気持は分からないでもない。私だっていきなり何言いだしてんのか分からない。でももう逃げるつもりはない。これが子供の力なのかな?敵同士だった私達を強く引き寄せる。例え好きでなくとも子供のためなら向き合える、今はそう思えた。

「アルト様大変っス!」

 クロードが泡を吹いてやって来る。

「何だクロード、今は取り込み中だ。急ぎじゃなかったら後にしろ」

「急ぎも急ぎ、緊急事態っス!・・・王国の奴らが軍勢引き連れてこの森に攻めてきたっス!」

 !?


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感想 10

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みんなの感想(10件)

安奈
2017.08.12 安奈

初めまして。
楽しくて一気読みしてしまいました。
これからも頑張って下さい!!

解除
megumi
2017.05.05 megumi
ネタバレ含む
2017.05.05 もみじ

子供の顔を見て父親の本当の顔を連想してみるのも良いですねw

解除
双葉みんと
2017.05.04 双葉みんと
ネタバレ含む
2017.05.05 もみじ

もし「エルフの子を身籠りました」だったらお話も大分変っていたかもしれませんね?

解除

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